表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/23

無色のパラノイア第17幕〜What color is your soul?その8〜

午後の授業も終わり放課後。

私、花崎 楓は下校の準備をしていた。

(そういえば、朝の奴気になるな……)

教科書類を鞄に入れながら、今日の行動のプランを考えていた。

「……ぃ。お〜い、楓。聞こえてる〜? 」

「あ、う、うん! 何? 」

やはり少し気持ち的にも追い込みすぎだな。

全く聞こえていなかった。


流石にあんな奴に私は殺せないだろう。

まあ、念には念を入れた方がいいかもしれないが……。

「楓は今日の放課後用事ある? 皆とカラオケ行こうと思うんだけど 」

このまま友人達と遊びに行った方が安全か。

その方が攻撃される心配も殆どない訳だし……。

いや、このまま追跡される方が面倒だ。

速いうちに手を打った方が。相手に余裕を与えない方がリスクは少ないだろう。

「ごめん、今日先生から進路で呼び出されてて……」

「あ〜、大変だね。分かった! 次行こうね〜」

「う、うん! 」

いつも絡んでいるグループとはそこで別れを告げ、私はとある場所に向かった……。



──────

私はとある教室の前に来た。

そこは他の教室よりも扉が西洋風で、外からでもその教室が高貴な雰囲気を醸し出しているのが分かる。

きっとここで間違えたら、私は2度とこのゲームで勝つことは無いだろう。

いや、次に殺されるのは真っ先に私だろう。

それぐらいの大勝負。ここで負ける訳にはいかない。悟られてはいけない。何を考えているかを感ずかれてはならない。


私は扉をノックし、扉の奥からの声を待った。

「……入れ」

太く、警戒している声を聞き私の集中力が高まった。

「こ、こんにちは会長。少しばかりお話があるのですが……」

「お前が一体何の用だ……いや。

皆、すまないが席を外してくれないか。重要な案件のようだ」

そう会長が言うと、すぐ様生徒会役員全員が速やかに退出した。

そう、私が会いに来たのは他でもない会長。工藤だ。

扉が閉まり、全員が教室から離れていくのを確認すると私は会長の方に向いた。

工藤の目は完全に敵を見る目だった。

いや、もしかしたら元々そういう人種なのかもしれない。

自分の能力の高さを何よりも過信し、他の人をまるで人形のように操作する。

誰も信用しようとしない。そんな男の目だ。

「実は……今、ストーカーに狙われてて……。

どうすればいいのか分からなくて……」

取り敢えず【普段通り】を表現してみる。

「…………お前はそんな奴ではないだろう? 【お前】で語らなければ、これ以上交わす言葉は無い。むしろ、俺たちは敵同士だろ?

こうして話を聞いてやると言ってるんだ。さっさと要件を言ってみろ」

はあ、まあそうだろうな。

私はため息をし、工藤の言う【お前】で話すことにした。

「ああ、そうだとも。 それじゃあ早速要件を言わせてもらう。会長さんは中山という参加者の情報を持っているはずだよな?

その情報を提供してもらいたい」

「冗談にも程があるだろう? 第一、それを話して俺になんの得があるんだ? 」

予想通りだ。こいつはやはり参加者全員の情報を持っている。

「それはそうだな。まあ勿論こっちにも掛け金はあるさ。とある情報を提供する」

「とあるというのは? 」

「……私の能力についてだ」

「ほう……」

よし、やはり食いついてきた。当然だが、他の参加者の能力までは知らないようだ。

いや、もしくは私のを知らないか……。

どちらにせよ掛け金にはなる。

「良いだろう。それでなら話に乗って……」

「いいや、それじゃまだフェアじゃないな。

追加で、越川、澤島、櫻井の情報提供を求める」

「……なぜお前は最も不利になる自分の【能力】を掛け金に選んだ? 俺がお前を狙ってるかもしれないんだぞ? なんならその情報を利用して他の奴らと取引するかもしれないぞ? 」

一生工藤にはきっと分からないだろう。

【私】という人間性をね。

「……なあ、会長さん。ゲームってやるか? 」

「それが一体どうした? 」

「いや、さっきの問いの答えをね。ハンデがあった方が燃えるだろ? 」

工藤はそれを聞いて完全に呆れていた。

「やはり、俺はお前という奴が心底気に入らないらしい。きっと前世に何かあったのかもしれんな」

「ふふ、まさかあんたがそこまでロマンチックな奴とは思わなかったよ」

どうやら、上手く交渉は成立したようだ。

第一関門は突破したが、問題はここから。

次はいろいろと、このガルム(ゲーム)について調べなきゃいけないこともあるしな……。

それにそろそろあのルールの適用される頃合だ……。

「さて、まずはお前の能力を実際にここで使って俺に教えろ。嘘は決して付けないようにな」

相変わらず面倒臭い奴だ。

まあ、警戒するのは分かるけどな。

「安心しろよ堅物会長さん。取引に嘘はねーよ。

私の能力は参加者以外の意思や思考を誘導出来る能力だ。そうだな……、さっきの役員を連れてきてくれないか? それで証明してやるよ。

最初に入ってきた1人に能力を使ってすぐに珈琲を入れるよう誘導させる」

私は少し自嘲気味に掛け金を支払った。

正直、この代償は相当でかい。知られたらいくらでも対処出来、きっとすぐ詰むだろう。

だが、これからのゲームには必要な掛け金。

こんなに面白いもの、面白くなきゃつまらないしな!

「良いだろう……。次に俺だな。中山、越川、澤島、櫻井の情報はメールで送る。

内容は生年月日血液型、経歴や成績その他教師からの評価等でいいか? 」

「ああ、充分だ」

「……最後に聞かせろ。俺がこの後、お前を殺したりメールを送らずに裏切るという可能性は考えなかったのか? 」

「それはお前が【堅物】なくせして脆いからな。それに信じてるだけだよ」

何人もの歪んだ奴らを見てきたからこそ、私は言える。こいつは脆すぎるんだ。

トランプタワーは凄いと思っても、崩れたらただの紙切れでしかない……。


そんな会話をして数十秒、生徒会役員達が入り口の扉からノックし入ってきた。

「会長、遅くなりました」

私はその扉から帰りつう、一番最初に入ってきたポニーテールの女子生徒に少し触れた。

「あ、珈琲入れますね」

彼女は速やかに珈琲を入れる準備をし始め、私はその場から立ち去った。


(さて、まずはあのストーカー野郎と決着をつけてやるか……)


ご精読ありがとうございます!

ブクマ評価してくださるとモチベ上がります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ