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アレから俺は...

 「よっこらせっと、これで今日の書類仕事は終わりだな。」


 首をくきっくきっと音を鳴らしながら左右に振ると背伸びをしながら執務室の机の前から立ち上がる。


 あん?お前何をやってんのかって?仕事だよ!仕事やってんだよ!!


 あのオヤジを追い出した後、大海という巣に戻れなくなった俺は仕方無しにオヤジの仕事を引き継いだのはいいのだがあのオヤジ.....無駄に金に物を言わせてこの地域の領主株まで買ってやがったじゃねえかよ!!


 パンピーの成り上がり金持ちだったんならそんな面倒な物を買ってんじゃねえよボケナスが!!


 しかも面倒だからと放置していたようでこの地域が散々に荒れていたから余計にめんどくせー。


 数年掛けてようやくマトモになってきたぜ。


 しかし何でモンスターの俺が人間の領民の面倒を見ているんかいな?マジで意味分かんねえぞ。


 ......面倒だから全部喰っちまうか?


 「フォルティーナ様、お疲れさまです。お茶をお持ちしました。」


 「うむ。良きにはからへ。」


 侍女が運んできたお茶を口にするとお茶が身体に染み渡っていく。


 はぁー、生き返るぜー。


 つかまじで何でこんな事になってんだろうな?


 <いやいや、君の領主としての仕事ね。なかなか公明正大で他の地域よりも良くなってきてるよ?>


 そんな事言われても全然嬉しくねえからな。


 そもそも俺にとって人間なんざ身分や貧富なんぞ関係無しに餌としか見れねえからね?そこをわかってる?天の声君。


 <君に人間の国を治めてもらったらいい国になりそうだよね?>


 やるかボケ。


 あーあ、早くエリュセルを領主にしないとな。


 今、俺は早く瞑想と言う名の惰眠を貪れるようになるよう隣の領にあるこの国では有名らしいでっかい学校にエリュセルをぶち込んでいる。


 経済学や経営学を学ばせるためだ。


 あん?大体ファンタジーの世界じゃ騎士とかの学校じゃねえのかだと?


 そんな無駄なもんに人間の短い時間を使えるかよ!


 武力なんぞこの領にいらん!必要なときは俺様が相手をジェノサイドで終了だぞ?


 ......まあそれもエミリアが生きている間のみ有効だがな。


 ドアをノックする音が聞こえると同時にドアが勢いよく開く。


 「フォルティーナ!この制服、どう!?」


 「お前は.....何べん言ったらわかるんだよ。ノックする意味がねえだろうが。」


 この順調なほどいい具合にアホの子に育ちやがった奴はエミリアだ。


 エミリアもエリュセルと同じ学校にぶち込む事になってるんだが.....心配なんだよな、アホすぎて。


 こいつは勉強は出来るんだがバカって言う典型で物覚えは良い癖に考え無しの行動をよくとりやがるおバカちゃんだ。


 しかもただのおバカちゃんではないぞ。


 こいつは俺との同調率とか言うのが上がって俺のステータスの10%が補正で掛かってるらしい。


 バカに力を持たせるとやべえだろ?


 だから暴走させると一番やばいことになる魔法を真面目に制御させる為に魔法学科にぶっ込むんだ。


 「フォルティーナも私の入学式の時に来てくれるんだよね?」


 「行くしかねえだろ。お前がキチンと出来るか確認しねえといけねえからな。」


 「やったー!」


 エミリアが俺に抱きついてきて胸に顔を埋める。


 「やっぱりフォルティーナの胸、柔らかいよー。」


 「お前、俺が雌雄同体って知ってんだろうが!!一応俺はオスっていう事になってんだ!.....一応俺の中ではな......。」


 領主になってからもメスに勘違いされる確立100%で人間共に心を折られた俺は性別について言い返す事を諦めた。


 もうね、俺は疲れたのよ。



 人生に。



 <人間じゃないけどね。>


 そこうるさい。


 「あー、そうだ。エミリア、お前は学校でエミリア・アルフェール・リヴァイアって名乗れ。」


 ずっと胸に顔を押しつけていたエミリアが俺の言葉できょとんとした顔で見上げてきた。


 リヴァイアと言うのは領主を引き継いだときに適当につけた俺の家名だ。


 まあ、名字だな。


 「え?いいの?リヴァイアってフォルティーナの家名だよね。.....それって私がここの子みたいに勘違いされちゃうよ?」


 「あん?何今更な事言ってんだ?俺を召喚獣として契約させたのはエミリアだろうが。それにもうエリュセルにも名乗って良いと手紙で送ってるからな。もう今から嫌だと言っても修正は効かねえぞ。」


 「嫌なんて言わない!嬉しい!!兄様の他にもフォルティーナが本当の家族になったみたいで嬉しいよ!!」


 笑顔で顔をほころばせるエミリアを見て、なるほど家族って感覚はこんな感じなのか....俺は産まれたときから一人で毎日が喰う、喰われるの世界だったから今まで気づかなかったんだろうな.....。


 だが.....


 「バカなガキは俺の家族にはいらんからな。しっかり自分の将来のために勉強せいよ?じゃねえと将来の職業選択が狭くなって自分が苦しむだけだ。」


 「はーい。わかってますよーだ!」


 少しぶーたれた顔でエミリアが答える。


 たくよー、何で俺がエサの将来まで気にせにゃならんのだ。


 <君、良い母親になってきたよね!>


 ......お前、いい加減オスだって俺が言ってんのがわかんねえのか?噛みつくぞワレ!!



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