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邪魔者の乱入

 第一軍へ送った矢文の返答が聖都ウィルドレル側の使者によってもたらされた。


 こちらの話を聞くだけはするとの返答だ。


 まああっちは自らの陣地にノコノコ来る俺や魔王の首を完全に狙って受けた話だろうけどな。


 俺もあっちの状況なら喜んで受けるぜ。


 バカが首を取られに来るってな。


 まっ、逆に今の俺はあっちのトップの首を落とす気満々だけどな!


 第三軍の司令の話では第一軍を率いているのはアウグスト枢機卿とか言う奴らしい。


 元々聖都ウィルドレルは国を挙げて信仰が熱心な国だったらしいがこのアウグストとか言う奴が枢機卿になってからおかしくなり始めたらしい。


 神の定めた運命と称して他国に侵攻、蹂躙を繰り返しそれによって得られる莫大な富に国民は熱狂しアウグストを実質的な国のトップへ押し上げたとの事だ。


 ...なるほど、他国を蹂躙する事で得られる富か。


 そんなもんで得られる物質的な幸せを得て本当に聖都ウィルドレルの国民は幸せなのか?


 <...どうだろうね。まあ一つ言えることは第三軍の司令みたいに気付いている人間は確実に居るって事だね。>


 ああ、そだな。


 ....取り敢えず今、俺に出来ることはここでアウグストとかいうゴミッカスを確実にぶっ殺しておかねえとファメルテウス民主国やクラルフェラン共和国、魔族領などこれらの国が聖都ウィルドレルの行動に国の行く末を大きく左右される時が来るかもしれないって事だ。


 エミリア、エリュセル、エリス、ヴァルファーレ....俺に関わって来た奴らが将来、辛い思いをする事になるかもしれない芽は早々に摘み取りに行かせてもらいやすかね~。





 「っで、そちら側の要求とは何かね?」


 偉そうな髭面のオッサンが敵陣地の指揮室の中で立派な椅子の上でふんぞり返って俺達を見下しているように聞いてくる。


 敵陣地へのカチコミには俺、魔王、ヴァランティーヌ、セレナ、第三軍の司令...そしてクソ猫ベヒモスがやっぱりついて来た。


 「あん?要求?決まってんだろうが!!お前等の負けは確定してんだから聖都ウィルドレルに兵を連れて帰れや!!」


 「ふん!まだ我らが負けたとは決まっておらぬだろう?...まあ良い。我が輩は寛大だ!なんせファメルテウスを国盗りするような輩だ、強欲にも他に要求は有るのだろう?」


 ゲスな笑みを浮かべ俺達をアウグストは上から目線で眺めて来やがる。


 今すぐぶっ殺してえが...我慢...だ。


 「じゃあ言わせて貰うぞ!まず一つ目お前の所に居る奴隷達を全てこちらに引き渡して貰おうか。」


 「ほぅ、奴隷なんぞお前はどうするつもりだ?...まあいい。どうやらベヒモスもそっちに鞍替えしたようだし...良いだろう。ベヒモスの餌なんぞもう用は無い。おい、奴隷共をここの外へ連れてこい!」


 ...すんなり寄越すって言うのがめちゃんこ怪しいよな。


 セレナに目配せをするとの真剣な眼差しで頷き返してくるので俺の考えは分かっているようだな。


 「フォルティーナ!!漸く会えましたね!」


 仮設の指揮室の入り口から俺の名を呼ぶ声が響いた。


 あん?誰だ?


 声のした方へ顔を向けると軍服に良く分からないバッチをジャラジャラつけたエリュセル位の歳だと思われる男がキラキラとした表情で俺を見つめている。


 .....誰だっけ?


 軍服の男を眺めて首を傾げていると男がすたすたと近付いてきて俺の顔をガン見すると顔を赤らめ、俯いた。


 ...変な奴は無視に限るな。


 俺は魔王の方へ顔を向けると耳に近づけ「万が一、すんなり奴隷共を渡してきたら奴隷共はお前に任すぞ。無事に魔族領まで連れて帰れよ!」と耳打ちすると魔王が俺の目を見ながら頷く。


 「...フォルティーナ?もしかして....私のことを憶えていない?」


 俺と魔王の様子を見ていた軍服の男が豆鉄砲を喰らったような間抜け面でそう呟いたのが聞こえた。


 「誰だテメエ?」


 「...本当に憶えていない...まさかフォルティーナは魔王から陵辱の限りを尽くされて過去の記憶を閉ざしたのでは...」


 等と意味の分からぬ事を言いながら軍服の男は片手で顔を覆いながらよろめく。


 な、なんだコイツ!?...何か様子がおかしくては若干身の危険を感じるんだが...


 「フォルティーナ!!あなたは汚れてなどいない!私が...私があなたを救ってみせる!」


 俺に走り寄り、抱きついてこようとしたその時...魔王が素早く椅子から立ち上がり軍服の男を蹴飛ばし、声を荒げる。


 「フォルティーナ殿に近付かないで頂こうか!!フォルティーナ殿は私と将来を誓った御方...貴様のような下郎が手を出して良い存在ではない!!」


 キリッとした表情でそう軍服の男に言い放つが魔王の手はごく自然とでもいう風に俺の肩を抱いている。


 はあ...何か疲れてきて反論する気も無くなって来たぞ。


 「落ち着いて話が出来ん!!カーツ・エーデル・ファメルテウス!!この部屋から出ていけ!」


 アウグストは後ろに控えている兵士に目配せすると兵士が引きずるように外へと連れ出していく。


 「フォルティーナ!!私が絶対に助け出します!まっていてく....」


 最後の言葉が聞こえる前に扉が閉じたが...アウグストが言った名前で思い出した!!




 アイツ、バカブルードラゴンのバカ主人のファメルテウスのバカ王子じゃねえか?





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