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戦の終結に向けての相談

 「おう!お疲れさん!!」


 「フォルティーナ殿!ただいま戻りました!」


 聖都ウィルドレルの第一軍が仮の陣地に一時退却したらしく奮戦した魔王とその指揮する軍が戻ってきた。


 魔王達を出迎えるために俺達は外に出ているのだが魔王が俺の背後に視線を合わせ、驚いた表情で口をパクパクさせだした。


 「....えー、第二軍と第三軍の戦況報告も聞きたいのですが...その前に聞きたいことが出来ました。」


 「あん?何だ?」


 「....どうして聖都ウィルドレルの決戦兵器であるベヒモスがここに居るんですか!?」


 うん?決戦兵器?コイツが?


 後ろを振り返りベヒモスに視線を合わすと....スッと視線を逸らしやがった。


 「テメエ~、視線を逸らしてんじゃねえよカス!!決戦兵器ってどう言うことだクソ猫!答えろや。」


 すねに蹴りを入れると、ベヒモスが痛みに耐えきれなかったのか涙目になりながら片膝を地面に着く。


 すねをさすりながらチラッチラッと俺の顔を見てくるので素直に吐けと言わんばかりに睨み付ける。


 「虐待はいかんよ虐待は....。これは言わなきゃ我の命が無いっぽいであるな....実は....」


 ベヒモスの調書を皆で取り始めたのだが...簡単に説明するとベヒモスはさる御方とやらから効率の良い経験値稼ぎと言うのを教わったらしい。


 その経験値稼ぎと言うのが...一時的に人間の召喚獣紛いの事をやり、対価をMPの変わりに人間を喰わせてもらう...と言うとんでもない事だった。


 「そんな話に乗っかるクソ猫もクソ猫だが一番クソなのはその条件で了承を出した聖都ウィルドレルの上層部だな。...クズ過ぎて吐き気がするぜ。」


 正座しているクソ猫の頭をぺしぺし叩きながらそう吐き捨てる。


 「も、もう我はそんな事はしないぞ!フォルティーナのMPを喰った後じゃああんな不味い物はもう喰えん!!」


 「やったら即ぶっ殺す!」


 断言するとクソ猫がカクッと頭を垂れ、うなだれた。


 クソ猫にこの経験値稼ぎのやり方を教えたさる御方とやらの正体の事をクソ猫に口を割らせようとしたがどうやら契約陣で喋る事が出来ない契約をしていると言う。


 うーん、契約陣を使ってるんなら聞き出すのは無理だろうな...。


 「おそらく聖都ウィルドレル側は第一軍と第二軍が合流してからベヒモスを使って魔族領を蹂躙しようとしていたのでしょうね。第一軍に戦闘能力の無い奴隷の集団が複数居たのはやはりベヒモスが理由でしたか。」


 「...なるほどね。私達、ドラゴンに襲われて第二軍が全滅しそうで焦った大司教が奴隷ではなく兵士を餌にしたという訳ね。」


 「どっちにしても碌でもねえ奴らばっかだな。...取り敢えず第一軍の方に第二軍と第三軍は壊滅したと教えて降伏させるか?」


 俺がそう言うと魔王が「降伏の条件はどうします?」と聞き返してきた。


 「そうだな~。上層部全員に死んで貰うか。上層部全員に死んで貰った方がなんぼかマシな国になるんじゃね?生かしてても良い事ねえぞ。」


 皆が俺を見ながら肯定するように頷く。


 「でもそれで降伏を受け入れますかね~?実際に戦っている兵士はともかく上の方は絶対に拒否しますよ?なんせ自分の命が掛かってますからね。」


 セレナが腕組みをしながらうんうん唸っている。


 確かにな...自分達の保身の為に戦ってくれる自陣の兵士をバカ猫の餌にする奴らだからな。


 一番話が早いのは第一軍の兵士達を纏めている奴を調略して大人しく全軍が聖都ウィルドレルに戻ることを約束させ、この戦争を始めたバカに死んで貰うって言うのだよな。


 その方がこの戦争が終結したあと、一時的に聖都ウィルドレルは乱れるだろうが結果的には現状より腐った国にはならん気がするし...。


 理想はこれだが....何つ~か面倒くさくなって来た。


 何で俺が敵国の戦争終結後の内政の事まで考えにゃならんのじゃい!


 「もう、面倒くせー!取り敢えず第二軍と第三軍の現状を教えて降伏勧告しろ!乗ってくれば話し合いをするし、来なければ殲滅する。敵兵にも俺達から殲滅されても恨むならクズの上層部を恨めって伝えてこい。」


 「ではそうしたためた矢文を敵陣に打ち込んで来ましょう。」


 魔王が頷いた後に近従の者に指示を出している。


 「...回りくどい事をするのね。殲滅した方がさっぱりするし早いんじゃ無いの?」


 「うむ。我もそう思うぞ!何なら全て喰ってやろうか?」


 茶を飲むヴァランティーヌが瞳を閉じながらそう言い、ベヒモスは腕を組みながら晴れやかな表情で頷いている。


 「うっせえよクソ猫!それやったらマジで次は本気でぶん殴るからな!....ヴァランティーヌ、聖都ウィルドレルを殲滅するんが一番簡単だ。だがエリスやヴァルファーレ達の世代のことまで考えてやらねえとアイツ等が苦労するんだぞ?」


 俺の言葉を聞き、ヴァランティーヌがゆっくりと瞳を開ける。


 「....分かってるわよ。だから反対はして無いじゃない。」

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