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でっかいペット、ゲットだぜ?

 仮説の司令室からヴァランティーヌに引っ張られるように外へと出ると司令室の守衛をしている魔族達が武器を各々握ったまま少しざわついている。


 ざわついている方向に視線を移すと至るところが焦げて煤けている巨大な獅子のような奴が二本足で垂直に立ったまま佇んでいる。


 「あん?何だアイツは?」


 俺達が巨大な獅子へ近付いて行くと獅子もこちらに気付いた様でこちらを視認するとニヤリと笑みを浮かべる。


 「ほう...この旨そうな人間の女に見える奴が会わせたいと言う奴なのか?」


 何だコイツ?....つうか人間の血の臭いがコイツからプンプンするんだが。


 「おい!俺はこんな格好をしてるが人間じゃねえぞ!!...それよりもお前...人間を喰ってるな!?」


 「お前は何を言ってるんだ?腹が減ったから餌を喰う、当たり前の事だろうが!その餌になったのが人間ってだけだ。」


 「...そりゃそうなんだけどよ~。....人間って美味いのか?」


 俺の質問に巨大な獅子は真顔になった後に考察しているような表情で「うーむ、美味いか不味いかで言うと....不味いな!だが人間は喰っても喰っても直ぐに増える。不味いが腹を満たしながら経験値を稼ぐにはもってこいの餌だからな。不味くても喰うぞ。」と言い切った。


 ...不味い不味い連呼する位なんだから別に喰わなくて良いんじゃねえか?


 俺は海で旨い魚ばかり追っかけてたからな~。


 わざわざ不味い物を喰う意味が俺にはわかんね。


 目の前の獅子の変な言動を自分なりに考えていると「フォルティーナ、暴れてお腹減ったから...」とヴァランティーヌが手を差し出してくる。


 「おう、ほらよ。」


 考え事をしながらヴァランティーヌの差し出された手を掴みMPを送り込む。


 「...やっぱり美味しいわね、フォルティーナのMPは。...これに慣れると他の物は不味く感じて今更食べられないわ。」


 ヴァランティーヌが妖艶に唇の周りを舌なめずりすると満足したと言わんばかりの笑顔で言う。


 俺達の行動を眺めていた巨大な獅子が「な、なあ。そこの人間の女の様な者。...お前がバハムートにあげた物はそんなに旨いのか?」と興味深々に尋ねてくる。


 「あん?俺が知る訳ねえだろうが!喰ったことねえのによ!!」


 「...お試しに食べさせてあげたら?これベヒモスって言う獣型モンスターで私がフォルティーナに出会う前に良く力試しで遊び合った中なのよ。...召喚獣になる前の私くらいの強さでしかないから...あなたの敵じゃ無いでしょ?」


 ニヤリと何かを企んでいる様な黒い笑顔で言い始めた。


 ぜってえコイツは碌な事を考えてねえぞ!


 <まあ、確かにバハムートの言う通りベヒモスは君に比べたら圧倒的にステータスが低いからね。...万が一、何かあってもワンパンだしやっても良いんじゃない?>


 そだな~、俺のMPなんか自動回復で直ぐに回復する上にドラゴンオーブに使った後、最近はヴァランティーヌとセレナに餌でやること以外特に使ってねかったしな~。


 「ほんじゃあ喰わせてやっから旨いか不味いかはお前が勝手に判断せいや!ベヒモスつったな、手え出せ。」


 ベヒモスが熊みたいなクソデッカイ手を差し出してきたので肉球を握りMPを1だけ流し込んでやる。


 「.....な..なんだこれは....美味い!!...美味すぎるぞぉおおおぉぉおお!!」


 「うっせえよ!いきなり側で雄叫びを上げんじゃねえ!!」


 叫び始めたベヒモスのデカい声で耳がおかしくなりそうになった俺は黙らすために腹にリバーブローをぶっ込んでやると「ふぐわぁ!?」と小さく変な声を出すベヒモスがその巨体をくの字にしてぶっ飛んで行った。


 「何なんだあの変な生き物は!?ヴァランティーヌ!変な奴を拾って来んじゃねえよ!!」


 「...アイツ...相変わらずのアホね。叫ばなければ制裁を喰らうことなんて無かったのに...」


 やれやれと肩を落としながらベヒモスのぶっ飛んで行った方向を眺めながら呟いた。





 ぶっ飛んで行ったベヒモスが落ち込んだ様子でとぼとぼと戻って来たので前以てヴァランティーヌから頼まれていた火傷のケガをぶん殴って与えたダメージと共に回復魔法で回復してやると、またも驚愕している表情になった。


 「一瞬で全回復だと...我のHPがどれだけあると思ってるのだ。しかも一撃殴られただけでバハムートから喰らった攻撃よりもダメージが大きかった....一体お前は何者だ?本気で化け物ではないか!」


 「あん?俺か?一応リヴァイアサンだよ....今の見た目はこんなんなってるけどな。お前のHPがどれ位あるか知らねえけど500万位なら余裕で一発全快だぞ?俺の回復魔法はよ。」


 俺の一言でベヒモスはドン引き、ヴァランティーヌは顔が引きつっていてセレナは固まる。


 周囲に居た魔族の衛兵達は「「流石はフォルティーナ様!」」と声を上げている。


 「一回で500万回復するって...私の想像以上の化け物だったのねフォルティーナ...」


 「有り得ない...有り得ないですよ~!...良かった~フォルティーナ様が味方で...」


 ....俺に取っちゃあ普通なんだがな。


 あれか?最上位の回復魔法使ったら俺の最大HP分回復できるってのは言わねえ方が良いのか?


 <うん。言わない方が良いと思うよ~。皆、バカバカしくてやる気無くすと思う。>


 そ、そすか。


 「.....なるほど....これが決してケンカを売ってはいけない相手という奴か....よし!我もリヴァイアサン、お前の配下になってやろうではないか!そして毎日旨い飯を喰わせろ!!」


 キラリと眩い光を反射させる牙を見せながらベヒモスがアホなことを言い始める。



 「お前みてえな獣要らねえよカス!!川に流すぞヴォケェ!!!!!」

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