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俺様、種族名が偽名になる。

 エミリアを襲っていたオヤジを簀巻きにした後に被害者とその兄から調書を取り始めた。


 「えー、それで君達は何でこんな所に居るのかね?あれか?.....愛人候補?」


 「あの状況でそれはないでしょう?貴女も現場を僕と一緒に目撃したんだから。」


 「......わかってんよ、そんなもん。じゃああれか?住み込みでここに勤めてんのか?」


 「.....僕達は家の借金の替わりにファーレンに買われたんだ。」


 「あんだって?つうことは.....」


 「.....僕達はファーレンの奴隷...。父さま達は兄弟で一番幼い僕とエミリアをファーレンに売ったんだ。」


 悔し涙を流し、小僧が俯く。


 「小僧!!お前は頑張った!泣くな。胸を張れ!!」


 俺が励ますと右手で自分の涙を拭い「....エリュセルだ。僕の名前はエリュセル・アルフェールだ。」と呟く。


 「よし!エリュセルだな。なるべく覚える努力をしてやる。」


 .....レベルをカンストさせてから頭を使うことが全く無くなったから記憶力が落ちてんだよな。


 <君の場合覚える気がそもそも無いだけでしょ?>


 そこ、黙れや。


 そういやエミリアが静かだな。


 エリュセルの隣に座っているエミリアに視線を移すとエリュセルと一緒に居ることで安心し夜も更けたせいか、エミリアはエリュセルに身体を預け眠っている。


 「それで貴女は名は何と言うのですか?」


 エリュセルが名前を聞いてくるが”フォルティーナ”と女のような名前を名乗りたくなかった俺は....


 「俺の名は.....リヴァイアサンだよ。.....一般的な名前は。」


 最後だけぼそぼそっとエリュセルに聞こえないように言う。


 「リヴァイアさん....いい名前ですね。」


 うん?何かコイツ、イントネーションおかしくね?


 絶対勘違いしてそうだがその方が面倒くさく無くていいか?


 <良かったね。君の種族がリヴァイアサンで、シーサーペントだったら確実に勘違いしないよね?バカじゃ無い限り。>


 うっせーよ、カス。


 その場合シーサー・ペントで区切れば余裕で勘違いさせれるわボケ。


 <.....マジだ。君すごいなある意味。>


 そんなにほめんなや、てれるだろ?


 それともあれか?俺をおだてて後で美味しくいただいちゃうつもりなんだろ?イヤーン。


 <......いや、君みたいな棒状の生き物、食べづらそうだからいらな.....あれ?ウナギみたいに背開きしたら意外に食べれる....のかな?>


 .....冗談だから本気で喰うことを考えないで....。




 「おい!貴様等!!俺にこんな事をやってタダで済むと思ってるのか!?」


 簀巻きにしたオヤジが意識を取り戻したようでぐねぐねと動きながらわめき出す。


 「うっせえよ!舐めてんのかテメー。どうタダで済ませねえんだ!!俺に細かく教えろ下さいませ!」


 ぐりぐりとオヤジの頭を脚で踏みながら罵倒していると、ぞわぞわっとする何かが這う感覚が俺の脚に走り、思わずオヤジの腹を踏む。


 「マジで舐めてんじゃねえよ!!変態かてめえは!!......あ、変態か.....エミリアみたいな育ちきって無いガキを手込めにしようとする時点で。くっそ!今までいろんな奴に喰われ掛けたけどこんなに気持ち悪くなったのは初めてだぜ!!」


 俺に腹を踏まれ、苦痛に顔を歪ませるオヤジが急にニヤリと笑い口を開いた。


 「お前のような生きのいい美味そうな女、初めて見たぞ。....どうだ取引しないか?俺の愛人になれ!エミリアと一緒にいい思いをさせてやるぞ。着飾る事も身体にもな。」


 「はん?バカかお前は俺はどう見たってオスだろうが!!いや......おう、取引に乗ってやるぞ。俺と勝負してお前が勝ったら俺様を飼える権利をやろう。俺が勝ったらこの屋敷とかお前の財産を全て俺が貰うぞ。」


 俺が仁王立ちで腕を組んだままオヤジに提案するとオヤジはニヤリと笑った。


 「ああ、良いだろう。勝負は明日この屋敷の庭で行う。俺の方は助っ人を用意する、お前の方は本人以外許さん。それで良いならその勝負、受けて立ってやるがどうだ?」


 俺はオヤジの返答ににやついた。


 これでエミリアとエリュセルの家が出来るな。


 こいつらも苦労したんだ。


 これぐらいの良いことがねえとな。


 「よっしゃ、俺はそれでいいぜ。」


 「ならばお前が逃げられないように契約陣で縛るぞ。この契約陣で結んだ約束は魂に刻まれ破る事が出来ない。では.......」


 オヤジが簀巻き姿のまま何やらぶつぶつと呟き始めると魔法陣が目の前に描かれる。


 「ではその魔法陣に手を差し出せ。」


 おい、天の声。


 コイツの出した魔法陣はさっきの通りの契約にちゃんとなってんのか?オヤジの方の契約もだぞ?たまには役に立てや。


 <ん?仕方ないなー。じゃあこれで昔の君への借りはチャラだよ?>


 おう。


 <わかった。.....あー、嘘八百の魔法陣だねこれ。契約した瞬間から奴隷になる契約内容だ。>


 やっぱそうか。クズっぽいから確認していて良かったぜ。


 どうすっかな?サクッと喰うか?いや腹壊しそうだし何より生理的に喰いたくねえ。


 <じゃあ、特別ボーナスだよ。さっきの内容に魔法陣を書き換えてやるよ。一応聞いておくけど、君僕のこと信用してくれる?>


 何みずくせえ事言ってんだよ。どんだけ長い間お前と喋ってたと思ってんだ。


 騙されたら騙されたで俺が悪いだけだ。......信用してるぜ。


 <.......ありがとう。じゃあ、書き換えるよ。...............よし!いいよ。書き換えたから。>


 おう、ありがとな。


 「何をしている。早くしないか!」


 「うっせえな!黙ってろやボケナス。」


 急かす親父に悪態をつきながら右手を魔法陣に突っ込む。


 《契約受理を確認。契約モードに移行》


 《契約モード開始されました。注意:この契約は決闘モードにつき途中解除は認められません。》


 姉ちゃんが決闘なんちゃらとか言ってるってことは天の声がキチンと仕事をしたようだな。


 <信じてくれたお礼に面白いことをやってるから楽しみにしててよ!>


 うわ~、絶対ロクな事してないぞコイツ。


 言う通りに面白いことになるんだろうな。




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