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作戦会議でわかった過剰戦力

 聖都ウィルドレルが動き始めた。


 やはりこちらを大軍で一気に押し潰すつもりらしいが聖都ウィルドレルと魔族領は海を隔てているために海を渡って来なければならない。


 一度に全軍を上陸させる様な移動手段の無い聖都ウィルドレル軍は3つの軍団に分けて上陸する様だ。


 海で奴らをぶっ潰しても良いのだが、一番先の第一軍を上陸前に潰すと第二軍、第三軍が聖都ウィルドレルに戻ってしまい相手に戦力を残した状態で膠着状態に落ちかねない。


 「この戦で勝負を決めえてよな~。何より長期間睨み合うようなことになるとめんどくせえしよ。」


 「ならば、やはり第二軍まで上陸させて第三軍は海に沈めましょうか?」


 「だな~。第一軍は俺と魔族から集めた精鋭が殲滅するとして...クラルフェランのバハムーレ領で暇つぶしをしているジャイアントシーサーペントのボスが他の海のモンスター達と一緒に”暇つぶしの邪魔をする奴はぶっ潰してやる!”って息巻いてるから奴らに第三軍を任すか。」


 バハムーレ領で人間達の手伝いと言う暇つぶしを始めた俺の知り合い達が今回の戦の事を知って参加しそうな他の海のモンスター達を引き入れたらしい。


 駆けつけてきた海の他のモンスター達が俺と俺に関係する人間達に迷惑はかけないから暇つぶしに参加させて欲しいと言う風に集まっていると言う報告が来ている。


 どんだけ暇なんだよ!!アイツらは!!


 <君も海にいるときは暇で死にそうだってよくぼやいてたでしょ?>


 ...確かに毎日変化が無さ過ぎて死にそうだったな...暇すぎて。


 個人行動が主体の奴らばっかだから不安がよぎるが...ジャイアントシーサーペントに纏めさせるか。


 海の奴らは縄張りを持たない為に自己顕示欲とかが低い奴らが多い。


 意外に統率がとれるかもな。


 しかも今まで人間同士の争いに全く興味の無かった奴らだから聖都ウィルドレル側のスパイがいる心配も無いしな~。


 万が一敵側に海関係の召喚獣が居ても俺にびびって告げ口なんか出来ねえだろうからな。


 そもそも海のモンスターが召喚獣になっているのは稀らしいしよ。


 そら陸上じゃあ役立たずばっかだからな...。


 「じゃあ、後は第二軍か...」


 セレナを見るとクラルフェラン側との同時会議のためにこちらの会議内容を爺に伝えているためか眼を瞑って頻りに頷いている。


 地図を眺めながら考察しているとエミリアから(第二軍にはヴァランティーヌが出るって言ってるよ!)との会話が来る。


 (あ~、ヴァランティーヌか~。...そっちはどれ位の戦力が欲しいか聞いてくれ。)


 (ほいほい~。....要らないってさ。知り合いの飛竜さん達が手伝いに来てくれるんだって。)


 あん?アイツ...アホなことやるつもりじゃねえだろうな。


 (エミリア、何を連れてくるつもりか聞いてくれ。)


 (えーとね...エンシェント種?8匹にエルダー種520匹、あとワイバーンとかの中型と小型ドラゴンの沢山一杯てんこ盛りって言ってる。)


 (アイツバカだろ!一体何と戦争する気だ!!)


 知り合いとその眷属丸ごと引っ張って来やがったなあのヴォケ!!


 ...もう修正効かねえだろうな。


 既に声を掛けてるっぽいし。


 聖都ウィルドレルの第二軍の奴らが気の毒になってくるぜ...。


 (...ほどほどにしとけよって伝えとけ。)


 (...うん。今のフォルティーナの反応で大変な事になりそうなのは察せたからキチンと伝えとくね。)


 エミリアとの会話が終わり俺は頭を抱え込んだ後に机に突っ伏した。


 「どうかしたのですか?」


 いきなり机に突っ伏した俺に驚いた魔王が俺の肩を軽く揺すりながら尋ねてくる。


 「...ヴァランティーヌがやっちまいやがった...。アイツ、絶対今の状況を満喫してやがる。」


 会議室に居る奴ら全員にヴァランティーヌが生み出す予定の空飛ぶ死の軍団の説明をする。


 「......敵に...ここまでの憐憫の情を覚えるのは...初めてですね。」


 「...ヴァランティーヌ様だけは敵に回したくないですね。あの人...絶対ヤバイ。絶対にあの黒い笑顔を浮かべてますよ!!」


 魔王が片手で顔を覆い頭を左右に振る隣でセレナは両手を自ら抱くようにしながらカタカタと震えている。


 「うん!俺は知らん!何も聞いてねえ事にする!そもそもヴァランティーヌをキレさせる奴が悪い!」


 「で、ですよね!フォルティーナ様とヴァランティーヌ様の逆鱗に触れた奴らが悪いんですよ!!」


 「....私は喧嘩は売りましたが怒らせないで本当に良かった....。」


 近い未来に訪れるであろう殺戮の惨劇の様子を悠然として黒い満面の笑顔で眺めているヴァランティーヌの姿を想像し...三人でため息を落とした。

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