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ヴァランティーヌの凶行の真実

 「おい!ボケ助!!そろそろ降ろせや!」


 魔王と共に魔王の城についた俺は未だに魔王から抱え上げらている状態だ。


 「フォルティーナ殿はお疲れでしょうからこのまま私が運びますよ!」


 俺の顔を見ながら決まった!っと言わんばかりの決め顔で俺の尻を前腕で触りながら言う。


 「バレてねえとでも思ってんのか変態がぁ!腕を小刻みに動かしてケツを触ってんのはわかってんだぞ!!」


 魔王の左頬にフックをお見舞いすると見事に命中、地面に崩れ落ちる魔王の魔の手から逃れた俺は地面に着地する。


 「うっしゃ!...しっかしヴァランティーヌの野郎、マジ本気の手加減無しメガフレアを投げつけて来やがってよ~。」


 メガフレアを至近距離で喰らい煤けてボロボロになった自分の服を眺めながら呟く。


 俺は天の声からの情報でヨアヒムが聖都ウィルドレルの人間とアーティファクトを使って連絡のやり取りをやっていることを知っていた。


 俺がサルベージで発掘したアーティファクトの中にもヨアヒムが使っているのと同じアーティファクトが数個、転がっていたのでそれをヴァランティーヌやワイナール、爺やセレナなど主要な奴らに配り、ヨアヒムの会話を全員で傍受していたから奴らが何をやろうとしているのか全員が知っていた。


 皆がヨアヒムと聖都ウィルドレルのクズっぷりに辟易し、聖都ウィルドレルを容赦なく叩き潰す事に反対する者は居なかった。


 しかし、問題が一つあった。


 クラルフェラン共和国やファメルテウス民主国を聖都ウィルドレルとか言うアホタレ共の戦火に巻き込みたくは無かったのだ。


 その為、聖都ウィルドレルとは元々敵同士と言う魔族領を使わせて貰うことにした。


 まあ、魔族領内での決戦になる前にぶっ潰す気満々だけどな!


 せっかく三国とも国が安定してんのに邪魔されてたまっかよ!俺の仕事を増やすような事をすんじゃねえ!


 つう訳でヴァランティーヌと一緒に三味線を弾いてヨアヒムを嵌めようって事になった。


 「フォルティーナ殿、風呂の準備が出来てるそうなので取り敢えず瓦礫の汚れを落としてきてはどうですか?」


 俺のパンチから既に復活している魔王が澄まし顔で言う。


 ...コイツ、復活すんのがだんだん早くなってねえか?


 <慣れてきたんじゃない?君のパンチに。>


 ほーん、今度からもうちょい強めに殴るか!


 <...やめてあげて...マジで可哀想になってくるから。>


 「おう!じゃあ風呂を借りるぞ!...後でセレナがここに来るからそれから今後の会議をすっぞ。」


 魔王の頷く姿を見てから魔王の部下に案内され風呂場へと向かった。






 ヴァランティーヌ殿からの攻撃で吹き飛ばされて埃まみれになったフォルティーナ殿が風呂場へ向かって行くのを見送る。


 私は執務室に向かいながらクラルフェラン共和国で起きた出来事を振り返る。


 しかし、ヴァランティーヌ殿。


 本気のメガフレアをフォルティーナ殿に投げつけなくても良かったのでは...


 派手に外へと吹き飛ばされ、地面に叩きつけられたフォルティーナ殿の姿を見た時は...フォルティーナ殿が死んだと思った。


 慌てて瓦礫に埋まったフォルティーナ殿を掘り返し、確認すると普段の勝ち気な様子とは全然違い弱々しくこのまま消え去ってしまいそうな姿のフォルティーナ殿だった。


 後半、私はヴァランティーヌ殿やワイナール殿に本気で怒っていた。


 ヨアヒムを信用させる為とはいえここまでの仕打ちをフォルティーナ殿にやる必要があるのかと...


 力無く、ぐったりとした様子を見せていたフォルティーナ殿を抱え上げて早く治療させるために我が魔族領へと戻る最中「...おい!魔王。今回の事、ヨアヒムは信じたと思うか?」と言う声が聞こえ、普段の通りの様子のフォルティーナ殿が私の腕の中に居た。


 「フォ、フォルティーナ殿!?身体は大丈夫なのですか!?」


 「おう!余裕余裕!!つうか無傷だぞ俺は。...まあ服は大破してるみてえだがな。」


 所々焦げたり破れたりで穴の開いた自分の服を眺め、眉を下げている元気そうなフォルティーナ殿がそう呟く。


 「...私が騙された程ですからヨアヒムも信じている事でしょう。私はフォルティーナ殿が死にかけてると思いましたから。」


 「あん?俺は不意打ちや騙し討ちが十八番だぞ!まだクソ弱かった時には生きるための常套手段だったからな。...そう言やあれはヤバかったな~」


 聞けばフォルティーナ殿は弱かった時には生きる為に手段を選ばなかった様で不意打ちの最上級の称号まで持っているらしい。


 昔、死にかけた時の話を笑顔を浮かべながら懐かしむ様に話している今のフォルティーナ殿を見ていると弱かった時のフォルティーナ殿の事などとても想像出来ない...。


 モンスターの生存競争...文字通りの喰う喰われる世界で生き抜くと言う事はとても大変なのだろうな。


 「...フォルティーナ殿。今までお疲れ様でした。そして...生き抜いてくれて...ありがとうございます。」


 「お、おう。...何だよ急に。気持ち悪いな!」






 執務室へとついた私は執務机の椅子に腰掛けると、一息つく。


 しかし、フォルティーナ殿のあの様子ではヴァランティーヌ殿とエミリア殿のもう一つの目的には気付いてない様ですね。


 今回の話をヴァランティーヌ殿から聞かされた時に「...とこういう計画をフォルティーナと立てたのだけれど....良い機会だから利用させて貰うわ。私とエミリアにはもう一つ目的があるのよ。」と言われた。


 二人の目的とは...エミリア殿との召喚獣の契約が終わるよりも早い段階で私とフォルティーナ殿を結婚させたいそうだ。


 魔族領に長期間、フォルティーナ殿を居させるようにするからその間に口説き落としてものにしろ...と言う隠しミッションが私に託された。


 エミリア殿としてはフォルティーナ殿に早くつがいが出来ることで後顧の憂いを無くしたいらしい。


 ヴァランティーヌ殿は....「面白そうだから。...ただそれだけよ。」とニヤリと黒い笑顔を隠すことなく言っていた。


 ...ヴァランティーヌ殿は怖い御方だ。


 フォルティーナ殿を使って遊ぼうとしている。


 執務椅子の背もたれに背中を預けると私は微笑む。



 ふふっ、フォルティーナ殿。


 覚悟しておいて下さいね。


 今まで以上に積極的にアタックさせて貰いますよ!

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