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伝道師との舌戦

 「何だテメエ!俺は部外者だから口出しすんなって言いてえのか?」


 「その通りですね。」


 ....ぶっ殺して~!


 「お前こそ完全な部外者だろうが!お前こそ引っ込んでろや!」


 「そうは行きません。アルフェール家の方々はクラルフェラン共和国の行く末を案じていらしてこの先、安泰な将来を築く事が出来るようにとても良いお話をお持ちしてきたのですよ。」


 「良い話?どうせ碌でもねえ話だろうが!そもそもお前は何者なんだよ!」


 俺のイライラしている様子を眺め、少しニヤリとしながら男はゆっくりと口を開く。


 「これは失礼を...私は聖都ウィルドレルで神官の役を担っているヨアヒム・エルドランと申す者です。今回の件について仲介を任されております。以後お見知り置きを。」


 そう言った後にヨアヒムと言う男が優雅に礼をする。


 ふーん、コイツはカルト宗教団体の伝道師か。


 ヨアヒムの正体がわかった俺はイライラで熱くなっていた頭が冷静な状態へと戻って行く。


 「おう、お前が何者かはわかった。っで良い話って何だ?一応聞いてやんよ。」


 ヨアヒムは冷静になった俺を見て微笑むと口を開く。


 「良い話とは...エミリアさんとエリュセルさんの子供達、エリスさんとヴァルファーレさんについての事です。」


 「あん?エリスにヴァルファーレの事だと?...どんな事だ。」


 「エリスさんはこの国、クラルフェラン共和国の姫です。...聖都ウィルドレルの大司教様の御子息との縁談をアルフェール家の方々から持ち込まれ、我々はそれを引き受けました。ヴァルファーレさんはさる大貴族の方が同じく御子息の后に御所望です。」


 うん。





 国ごと滅ぼすか!






 <やっちゃって良いと思うよ。流石だね、バカすぎて何も言えないよ。エリスたんは嫁に出さないよ!>


 ...お前、キモいぞ。


 「おう。話はわかった!帰れ!」


 俺の答えにヨアヒムはコイツわかってないわ~と言わんばかりの呆れ顔になる。


 「...フォルティーナさん。貴女はわたしの話を聞いていましたか?貴女には今回の話に何の...」


 「おう!俺には関係大有りだぞ!俺を使役しているのは確かにエミリアだが実はエミリアとエリュセルを所有しているのは俺なんだよな!」


 「な!?そ、それはどういう事ですか!?」


 俺の発言でヨアヒムが初めて焦った表情を見せる。


 爺に目配せをすると持っていた書類を机の上に並べる。


 「おら!これをよく見ろ!ファーレン親父から俺の名前に変わっている書類だが...ここにファーレンの財産は全て俺の物となっているだろうが。つう事はだ。ファーレンに買われたエミリアとエリュセルは俺のものって訳なんだわ、残念だったな。」


 書類を確認しているヨアヒムの表情が次第に苦虫を潰したような顔のなる。


 「...ですが、エリスとヴァルファーレは貴女のものでは...」


 「おい!爺。俺の所有している人間のガキは誰が権利を握るんだ?」


 爺がスッと礼を取ると「成人されるまでエリス様はワイナール殿下が半分、ヴァルファーレ様はヴァランティーヌ様が半分...で御座います。そして御二方共のもう半分の権利は...フォルティーナ様です。」と答える。


 「おう、結論が出たな!帰れ。」


 俺はエリスとヴァルファーレの権利を主張する気は更々ねえがこういう輩には良く効くみてえだな。


 俺のハッタリにぎりぎりと歯ぎしりの音が聞こえそうな程悔しそうな表情で「まだです!ワイナール殿とヴァランティーヌさんにお聞きすれば...」と声を荒げながらヨアヒムが叫ぶ。


 「ワイナールはまだしもヴァランティーヌに今の事は言わねえ方が良いぞ。確実にお前らはアイツから灰にされるな。それでも良いならヴァランティーヌをここに呼んだろか?」


 俺がそこまで言うとヴァランティーヌがバハムートだと思い出した様子のヨアヒムが悔しそうな顔のまま押し黙った。


 「よし。話はこれで終わりだ。」


 椅子からスッと立ち上がるとクズ共が居る歓談室から出て行こうとする。


 「まて!待ってくれ!!我らはどうなるんだ!?」


 情けない顔でアルフェール親父が俺の脚にまとわりつきながら必死に俺の動きを邪魔して来る。


 コノヤロウ!邪魔くせえな!!


 アルフェール親父に蹴りを入れようと思ったその時に魔王が親父を引き剥がしソファーに向けて放り投げる。


 「私のフォルティーナ殿に軽々しく触れないでいただこうか!」


 などと言いながら親父に向けてキリッとした真顔を見せつける魔王がどさくさに紛れて俺の二の腕をペタペタと触り続ける。


 「お前も軽々しく触ってんじゃねえよ!変態がぁ!」


 魔王の腹にコークスクリューブローを打ち込むと魔王は床に崩れ落ちながら「ぶふぁ!...フォルティーナ殿のこの試練...必ず耐えて見せる!!!」などと意味不明な事を言い出している。


 アルフェール家のクズ共はぶっ飛ばされて悶絶している魔王を見て顔を青くしながらガタガタと震えながら俺を見上げていた。


 ...うーん、コイツらを放置すっとまたやっかい事の種になりそうだよな~。


 ワイナールに相談すっか。


 「おう、クズ共!お前らの今後の事を考えてやるから暫くはこの屋敷にいろ。...屋敷の使用人達に迷惑を掛けたら即刻叩き出すからな!わかったな!」



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