お巡りさん!!コイツです!!
廊下を走りながらそう言やエミリアが居るところは何処なんだ?と考える。
んー、何となくコッチに何か感じるからそっちに行ってみやすかね~。
時折りこの屋敷に勤めているらしき侍女風な女共と執事っぽい爺とかが全力疾走している俺を見て固まっている姿が見えた。
えーと、ここの角を曲がった所の近くの所から何か感じるな。
廊下の角を華麗にスピンターンしつつ前に視線をあわせると、おんや?パツキン小僧がナイフを片手に握っているが打ち拉がれている様な感じでドアの前で崩れ落ちて泣いている姿が見える。
「おい!オスガキ!!メスガキは何処だ?」
俺はフルブレーキを掛けながらパツキン小僧に声を掛ける。
小僧は俺の姿を見るとびっくりしたような表情を見せたあと「.....あんた誰だよ!?エミリアならこの部屋の中で.....。」と悔しそうに唇を噛む。
あん?この部屋の中に居るのか?
部屋から声が聞こえてくるので耳をすます。
「ぐふふ、さあエミリア!!全部服を脱いで私に産まれたままのお前の姿を見せてくれないかい?」
「い、いやー!来ないで!!お願いします!!何でもしますから!!」
「....何でもするんだったら取り敢えず服脱げや。」
「え!?」
「....え?」
「......つべこべ言わず服脱げやー!!」ばち~ん、べりべりべり~。
「いたい!ひぃ!!嫌だよー!!お兄ちゃーん助けてよー!!」
.....何だ今の頭が痛くなりそうな会話は.....思わず俺様が素に戻りそうなるやんけ....。
まああれだ。
今ならまだ喰われる5秒前だけどエミリアに手を挙げた時点で男の方はアウトってことで逮捕だな。
ドアノブに手を掛け開けようとするが開かねえ。
「ドアにロックの魔法が掛かっているんだ。ドアの強度も強化されてるから壊すことも出来なくて....。」
小僧の目に悔し涙が浮かんでくる。
へー、ロックの魔法に強度強化ね~。
.....私のパンチを受けて見ろ!!
bakoooon!!!!!!
メガトンパンチをドアにおみまいするとドアがぶっ壊れて飛んで行き、正面の壁にぶち当たると同時にそのまま壁をドアが貫通してぶっ飛んでいった。
「逮捕だー!!!!」
そう叫びながらドアの破壊された部屋に踏み込むと俺の視界に入ってきたのは薄っぺらい装甲を剥がされ、その年相応に平坦な青い果実のような白い裸体を晒したエミリアがベッドに抑えつけられている姿だった。
脂ぎったよく肥えたおっさんがエミリアの上に乗っかって恐怖で顔を歪めているエミリアの顔を夢中で舐めている。
.......うわ.....きも......これは......ひくわ~。
あかん、流石にエミリアが気の毒すぎて涙が出てきた。
おっさんが俺達に気付くと慌てふためいて起き上がり、全裸のまま俺の方へ喚きながら近寄ってくる。
「誰だ!貴様は!!俺をファーレン様と知ってのことだろうな!?おや...よく見るといいおん......」
「お前が誰なんか知らねえよこのハゲが!!!!きたねえもん人様にみせんじゃねえ!!」
叫びながらドロップキックをかますとおっさんの腹にクリーンヒットしたようで口から泡を吹いて仰向けに倒れる。
「くっそ汚ねえもんみせんなって言ってんだろうが!!おい小僧!!このオヤジを布団で簀巻きにすっから縛るもの持って来いや!!」
一部始終を凍りついたまま見ていた小僧にそう指示を飛ばすと我に返った小僧がこくこくと何度か頷きロープを探しに部屋から離れる。
チラリとエミリアの方へ視線をあわせるとまだ恐怖のために顔が引きつっている。
あー、取り敢えず肌を隠せる物はねえのかな?
部屋を見回すとテーブルクロスが丁度良さそうだったのでテーブルから剥ぎ取るとエミリアに渡す。
「おい、取り敢えずそれで肌を隠せ。乙女が人前で素肌を晒し続けるのは拷問に等しいんだろ?」
「う、うん。ありがとうございます。......お姉ちゃん私とどこかであったことが...ある?」
手渡したテーブルクロスを広げながら不思議そうな顔で俺に尋ねてくる。
「あん?ああ、まあ、そだな。あるかも.....じゃなくて取り敢えずそれにくるまっとけ。」
そう誤魔化しながら言うと布団をベッドから降ろして裸のオヤジをぐるぐる巻きにする。
「ロープを持ってきたよ!」
小僧がロープをグッドタイミングで持ってきたのでオヤジの簀巻きをきつく縛り上げるとベッドに腰掛ける。
さて、どうしやすかね~?
<君がここまで人間の為に行動するなんて......僕は感動した!>
全然そんな事思ってないだろお前、棒読みだぞ。
<いや、これから更に面白そうな事があると考えたら.........震えるね!!>
うわー、絶対今のお前、満面の悪い笑みなんだろうな。
想像つくわ。