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魔王がうざい!

 「なんつーか、女の体って面倒だなー。お前、よくこんな面倒な体を選んだな。」


 「慣れよ慣れ。その証拠に着ている物がズボンとかじゃなくても気にならなくなってきたでしょ?」


 「まあな~。」


 いつもの様に俺の私室でヴァランティーヌと爺の淹れた茶を飲んでいるのだが、少し変わった事がある。


 俺は慣らすために龍人モードの時の身体を雌雄同体からヴァランティーヌと同じ様に完全な人間の女の身体に変えたのだ。


 初めこそ物凄く自分の身体に違和感を感じていたが、暫くすると慣れたせいか今の身体が普通になった。


 「後はフォルティーナの男らしさ満載のその言葉遣いよね。...どうにかならないの?」


 「あん?無理だ!無理!!どんだけ長げえ間この喋り方で生きてきたと思ってんだ。絶対に矯正は無理だ!」


 「...無理でございましょう。前に我々が全員でお願いしても無理でしたので。」


 爺とヴァランティーヌが俺の顔を眺めた後に、一つため息を落とす。


 「まあ相手の魔王が気にして無さそうだから良いんじゃ無いかしら?...その見た目で...勿体ないわね...全く。」


 いつも飛掛かって来るエミリアが言うには俺の身体は女に変わってからますます柔らかくなったらしい。


 ステータスに変化は無いから性別による身体の作りの変化なんだろうな。


 「フォルティーナ様!魔王様がまたまた来られてますよ~。あの人、暇人なんですかね~?」


 「...また来やがったのか!あのクズは毎回何しに来てやがんだよ!!」


 セレナが部屋に入って来るとうんざりしたような表情で俺に報告してきた。


 ヴァランティーヌは「また来たの?...本当、毎回何しに来てるのかしらあの男は。」と呆れ顔で呟いている。


 机に頬杖をつきながらため息を落としているとキラキラと輝く良い笑顔の魔王が両手を広げながら部屋へと入って来る。


 「おぉ!愛しのフォルティーナ殿!!益々綺麗になってますね!」


 「うっせえよ!クソボケがぁ!!」


 抱きつこうとして来る魔王にボディブローをぶち込むと魔王は片膝を着き「...フォルティーナ殿の愛が痛い~!!」などと意味のわからぬ叫び声を上げている。


 「っで?何しに来たんだ?暇人ゴクツブシ。」


 「oh~、相変わらずの辛辣な言葉責め...そんな貴女が大好きだ!!」


 ...コイツ、キャラ崩壊してねえか?


 <うーん、君が自分を受け入れてもらえたと思ってるみたいだから有頂天になってんじゃない?>


 今からこの調子でどうすんだ...


 「あ~、めんどくせえからはよ今日来た目的を言えや!」


 俺のその言葉に急に魔王の顔が真面目になる。


 「実は魔族領に亡命していた人間達のその後の足跡がわかりました。」


 「ほーん、っであのバカ共はどこに行きやがったんだ?」


 一つ間を置くように爺の用意した茶を飲むとゆっくりと口を開く。


 「聖都ウィルドレルに潜り込んでいるようです。」


 魔王の言葉に爺が糸目の目を見開き、動きを止める。


 それどこだ?


 <また厄介な所に潜り込んでるね~。そこはカルト宗教の総本山だよ。>


 ....カルト宗教?


 <うーんとね。...まあ、悪魔崇拝みたいなものだね。しかも本人達はそれを唯一神だと思ってるて言う救われない哀れな国。>


 くわぁ、関わりたくねえ!絶対めんどくせえ。


 「....放置で良いんじゃねえかな?」


 「...その様に思います。かの国には近づいたりなされない方が懸命で御座います。」


 そう言う爺の表情は普段の糸目に戻り優雅にセレナ用の茶を淹れている。


 「爺、何か知ってんのか?」


 「...かの国に関わり合いになるとクラルフェラン共和国に面倒事が起きる...それしか申せません。」


 爺がこう言い出したらマジでこれ以上教えてくれねえからな。


 「私も関わり合いにならない方が良いと思います。聖都ウィルドレルには魔族は入れませんからよくは知らないですが...いい噂は聞きません。」


 魔王が爺の言葉を肯定するように頷きながらそう言う。


 「ん、まああれだ。仮にそこが喧嘩を売ってきたら手加減無しに返り討ちにすっぞ。」


 「そうね。私達に歯向かえ無い様にそろそろ一国位血祭りにしたほうが良さそうね。...私が焼け野原にしてもいいし...フォルティーナが水攻めしてもいいし...楽しそう。」


 眼を細めながらふふふっという風にヴァランティーヌが笑う。


 「俺がタイダルウェーブで水攻めしたら塩害で不毛の地になるぞ...まあ知ったこっちゃねえけどな。」


 タイダルウェーブで呼び出す水は海水だ。


 おそらく地上で使えば塩害で農業関係が全滅だろう。


 それだけで国が滅ぼせるぜ!


 「...よく考えると私はとんでもない相手に戦争を仕掛けたんですね。追い込まれていたとは言え...恐ろしい。」


 魔族領がそうなる可能性があった事を知った魔王は変な汗を顔にかきながらそう呟いた。

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