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魔王のお祝い

 「今日は魔王が挨拶に来るとか言ってたわね。」


 「お、そういやそうだったな~。」


 エリュセルは仕事の為にバハムーレ領へと帰ったのだがヴァランティーヌはヴァルファーレと共に暫く首都の城に居るそうだ。


 ヴァルファーレはエリスと共に大人しくベッドで眠っていて、それぞれ専門についている侍女が面倒を見てくれている。


 二人とも俺がアーティファクトを授けた奴らだ。


 昔から俺に仕えてくれていて一番信頼が置けるとかでエミリアもヴァランティーヌもコイツらを俺から引き抜いていった。


 グングニルをやった奴はカレンと言う名でエリスに仕え、マスカレイドの方はクレアと言う名でヴァルファーレに仕えていると言う感じだ。


 二人とも俺の仕えから外れるのを嫌がっていたが「お前らを必要としてくれているんだ、俺の世話はガキ共が大きくなって手が掛からなくなったら戻ってくればいい。」と説得すると納得してくれたようで子供の面倒を良く見てくれている様だ。


 「しっかし、昔っからで俺の側に居てくれてんのは爺だけになっちまったな。」


 爺が淹れた茶を飲みながらしみじみと呟く。


 「あら?本当はレスターも欲しいのよ?クレアをあなたから無理矢理引き抜いちゃった様なものだしレスターも来てほしいと言ったところで頭を縦に振らないのはわかってるから諦めてるけど。...レスターだけでも贅沢ってものよ。こんなに美味しいお茶を毎日飲めるんだからね。」


 爺がヴァランティーヌのカップに茶を淹れながら「当然で御座います。私はフォルティーナ様にお仕えすると決めているのですから。」とハッキリと言い切る。


 「ま、爺!頼りにしてるぜ!!」


 「ありがたき御言葉、身に余る思いです。」


 ガチャリとドアの開く音が聞こえ、視線を移すとセレナが部屋に入ってくる。


 「魔王様がお越しになられましたよ~。」


 おっ、魔王の奴が来やがったか。


 「おう、俺は会談には出ねえぞ。ワイナールとエミリアの会談が終わったらここに連れてこいや。久し振りに魔族領の様子を直接聞きてえからな!」


 「はい、ラジャーです!」


 元気な返事と共にセレナが部屋を後にする。


 「あら?会談に同席はしなくていいの?」


 意外と言う風な表情でヴァランティーヌが尋ねてくる。


 「あん?あたりめえだろ。この国の王はワイナールでその后はエミリアだ。そのエミリアの召喚獣の俺が同席すんのはおかしいだろ。一応魔王は国賓だしな。」


 「...三人ともそんなところを気にはしてないと思うけれど。」


 「そうかもしれねえが...あれだ、ケジメだよ。」


 「...変なところだけ頑固よね、あなた。」


 「うっせえよ!ヴォケ!!」


 その後もヴァランティーヌとの罵詈雑言が続いた。







 「お久しぶりです。ワイナール殿、エミリア殿。」


 「遥々魔族領からのお越し、ありがとうございます。」


 「魔王様、私達の子の誕生祝いで来て貰ってすみません。」


 「お気にせずに。私が来たくて来たのですから。」


 魔王様が握手のために手を差し出して来るので、旦那様が握手した後に私も手を差し出して握手をした。


 「どうぞ、そちらの椅子に腰掛けて下さい。」


 旦那様が魔王様を椅子へと促すと、そのすらりと長い脚を動かし椅子へと優雅に腰掛ける。


 ...やっぱり魔王様も種族が違えど王...なんですね。


 華麗で優雅な所作に目を奪われてしまうが...私も旦那様が恥ずかしく無いようにしなければ。


 「...ところで、フォルティーナ殿は今日は居られないのですか?」


 「今、セレナが呼びに行ってます。...ああ、帰ってきたようですね。」


 部屋のドアの前にから移動し、耳打ちをした守衛兵に頷いた後に答える。


 「...報告ではフォルティーナはここに来ないそうです。終わった後にフォルティーナの居る部屋へと案内させましょう。」


 「...なるほど...丁度良いか...」


 魔王様は旦那様の言葉に俯き、御自分の口を手で覆って何か呟いた様だがよくは聞き取れなかった。


 「魔王様?」


 「ああ、いえ。何でもないのでお気にせずに。それでワイナール殿、今後の事なのですが....」


 その後も魔王様との会談は続いた。


 魔王様は初めてお会いしたときに感じた通り、旦那様の様に親しみやすい喋り方をする御方のようだ。


 こういう御方の方が緊張せずに話が出来るので私としては気持ちがとても楽だ。


 そろそろ会談も終わりに近づき始めた時、魔王様が真剣な表情で意を決したように私に喋り掛けてきた。


 「率直にお聞きします。エミリア殿はフォルティーナ殿の今後の事をどのようにお考えなのですか?」













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