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召喚獣になったと思ったら....

 俺が小娘の中に居る間、天の声から召喚獣の説明を聞いた。


 まず召還するには本来その召喚獣が必要とするMP捧げる必要があるらしい。


 俺様クラスを呼ぶためには人間の世界で大魔導士って呼ばれてるクラス、1万人位の全力のMPプラス魂を捧げなければ呼ぶことすら出来ないと聞いた。


 召喚獣に命令するたびにMPを必要とするしMPが足りなければキレた召喚獣から呼び出した人間が喰われる事もあるとかないとか。


 あん?あの小娘に俺様を維持できるようなMPがあるのかって?


 あるわけねえだろうが!!!!


 召喚獣は人間のMPで腹を満たし、そのMPを自分の経験値にかえる.....。


 勘のいい人はおわかりいただけただろうか?


 そうだよ!!俺、経験値がカンストして文字化けしてるから人間から何の対価も貰わないでやっていけるんだよ!


 くわー!調子に乗ってカンストさせるんじゃなかったー!!


 そして天の声が俺を召喚獣になるよう煽った理由が....


 <君は召喚獣になることで肉体を捨て、神に近づくんだよ....。>


 <くふふ.....悔しいだろう?憎いだろう?無敵を誇った君の体を捨てさせた僕がさあ!!>


 <さあ、天界まで登ってきて僕を殺してみなよ!!君に絶望と煉獄を見せてあげるからさぁ!!!!>


 はいはい。


 <あ、あれ!?な、なんか反応が薄いよ君?>


 くちゃくちゃ音をたてながらそんなこと言われてもまーったく説得力の欠片もねえよハゲ!!


 <.......まだ..ハゲてねえし...>


 .......前言撤回するわ、すまね。


 天の声とのアホなやり取りは置いといてコイツの真の目的は....


 俺を神に近付けて地上の管理を丸投げしたいらしい。


 働けやクズ!!!!


 <いや、働いたら負けだよね>


 そですね。


 しかし管理って何をやりゃあいいんだよ。


 <僕を見てたらわかるでしょ?>


 放置で良いって事ですか、わかったぜ!






 またもや引きずり出されるような感覚が有り、唐突に視界が広がる。


 少し悲しげな顔をしているメイドみたいな服を着ている小娘.....えーと、なんつったけ?エミリアだっだか?が俺の眼前にいて俺をアナゴを掴むように両手で握り締めている。


 「フォルティーナ....何か今からね.....。私、この屋敷のえらい人に呼び出されてるの。元貴族令嬢の味見をしようかとか言ってたけど....。私、あの人きらい....私を見つめている時の目が...気持ち悪いの.....。」


 あん!?おいおい、それやべえだろ!!お前、喰われる寸前じゃねえか!


 ドアが叩かれる音が聞こえ、エミリアと名前を呼ぶ声が聞こえる。


 「あ!呼ばれたみたい。私が帰ってきたらお話の相手になってね!!」


 おい!こら!ちょい待てや!!


 「きゅきゅ!」


 必死に止めようとする俺を自分のベッドの上に放り投げるとドアの向こうに返事をしながら部屋から出て行った。


 やべえぞ!あいつが喰われる!あいつは俺にたまってる人間への怨みを込めてまるっと喰うって決めてんだ!!先を味見されてたまるかよ!!


 エミリアのベッドの上でうねうね動いても全く前に進めず、次はぴょんぴょん飛び跳ねる。


 全く前に進まねー!!


 <何やってんの君?>


 あん!?飴玉ちゅぱちゅぱさせてねえで俺をどうにかしろや!


 <.....出来るけど...いいの?同調率が上がっちゃうよ?>


 何だよ!?同調率って!!どうでもいいから出来るならはやくしやがれ!!


 急がねえと....俺のエサがヤヴェー!!!!


 <はいはい、後で文句は...言うだろうけど聞くしかしないからね。>


 《龍人モードが解禁されました。》


 いつもの姉ちゃんの声が聞こえる。


 《龍人モードを使用しますか?》


 おう!はよせえや!


 《龍人モード、開始。リヴァイアサンの再構築と共に召喚獣モードから守護神モードに切り替わります。 nowloading......》


 俺の視界がブラックアウトし、全ての五感が無くなる。





 《.....再起動確認....これより守護神モード...始動》





 全ての感覚が戻り、俺はゆっくりと目を開く。


 .....なんじゃこりゃ、物凄く視界が狭いぞ。


 ゆっくりと立ち上がろうとすると足がガクガクし出し、ベッドから床に転げ落ちる。


 足をガクガクさせながらベッドに捕まり起き上がろうとするが全然今の身体の動かし方がわからん。


 <.....何やってんの?生まれたての子鹿みたいで笑えないんですけど.....。>


 お前のムカつくひき笑い声と床を叩く音が聞こえてるのに....舐めてんのか?あん!?


 <いやー、笑わせてくれたお礼に動かし方のコツを教えるよ。手は君の前ヒレを動かす感じ、足は腹ヒレを動かす感じでやってごらん?>


 天の声の言う通りに動かすと....あれ?普通に動くやんけ。


 冷静になってきた俺は今の自分の身体を見る.....


 ふぁ!?胸にでっかい脂肪が2つ付いてるじゃねえか!?


 勢いよく股を開き観察すると....ツルツルで何もない。


 ああ、一応メスでは無いようだ....ふぅ、安心......するわけねえだろ!!!!


 <だからそんなに子持ちシシャモを食べてもいいの?って聞いたのにな~。>


 そういや遠い昔に何かそう言う事を言ってたな。


 <君達、竜系統のモンスターは性別は無い雌雄同体だけど食べた生物の性別の比率でどちらかの姿に引っ張られるんだよ?言わなかった?>


 聞いてねえし。


 <うん。言ってないと思う。>


 ....お前.....俺を使って遊びすぎだろ.....。


 <まあ、完璧な作りの人間の女性にも今の君ならなることは余裕で可能だよ?男は.....あきらめた方が早いね。>


 オスが無理ならそんなめんどくさそうな事はせん!このままでええわい。


 <そう言えばこんな事していていいの?エミリアって子が危ないんじゃなかった?>


 はよ言えや!!完全に忘れてたじゃねえか!


 俺はエミリアのベッドからシーツを剥がし、真っ裸なのを隠すように身体に巻いて部屋から駆け出した。

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