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まおうぐんとおれ

 ガレア高地...荒涼とした大地で生き物の姿も殆ど見ることのない荒れ果てた土地だ。


 魔族領に近く荒れ地が魔族領の方向にどんどん拡大していると言うのは爺から聞いた話だ。


 「おいおい。本当に何も無い土地だな。」


 「はい。魔族達もこの荒れた土地に手を焼いてるそうです。」


 「ホント、寂しい土地ですね...。」


 「....私が昔来た時より荒野が広がってる気がするわね。」


 俺と爺、セレナにヴァランティーヌとで少し高い場所からガレア高地を見下ろしている。


 ヴァランティーヌの知り合いのエンシェント・グリーンドラゴンにガレア高地まで運んでもらったのだ。


 ヴァランティーヌはエリュセルのガキが腹に居るんだから大人しくクラルフェラン共和国の屋敷に居れば良いものを「面白そうだから見に行きたいの。仮に何かあってもエリュセルが喚んでくれれば直ぐにでも帰れるしね。」と言ってエリュセルを説得し、エリュセルからは「フォルティーナ、すみませんがヴァランティーヌをよろしくお願いします。...いったん言い出すとヴァランティーヌは折れてはくれないですから...」と酷く心配そうな顔をしながら俺に預けてきた。


 ...予想通りヴァランティーヌはエリュセルを完全に尻に引いてるみたいだ。


 まあ、立てるところは立ててる様だし本人が良いなら何も口出しすることもねえな。


 「しっかし、魔族達は俺とマジケンカがしてえみてえだな。何だこの人数は?うじゃうじゃ居るじゃねえかよ!!」


 眼下に見える武装した魔族の大軍を見下ろしながら呟く。


 「左様でございますね。おそらく魔族達はフォルティーナ様との闘いに命運を掛けているのでは無いでしょうか?」


 「ほーん、いまいち俺と争って何の得になるのかわかんねえが...まあいいや。お前達はここに居ろ。爺はヴァランティーヌの護衛、セレナは自分達を守る結界を張っとけ。...ヴァランティーヌ、お前はエリュセルの嫁で腹にガキが居る...ここで大人しくしておけよ。」


 「...ええ、わかっているわ。...まあ大丈夫だろうけれどあなたも気をつけるのよ。何かあったらエミリアに泣かれるわよ!」


 「おうよ、そらわかってんよ!じゃあ行ってくら~!」


 「「いってらっしゃいませ。」」「本当に気をつけなさいよ!」


 俺はみんなに見送られながら下へと飛び降りた。



 地面に降り立ち、顔を上げると真剣な顔の魔族達が俺を凝視している。


 「おい!魔王っつう奴!!来てやったぞ、出て来いや。」


 俺が魔王を催促するように叫ぶと魔族の人波が割れて中央からファメルテウス民主国の城の天井をぶち抜いて来た背のひょろ高い男が歩いて来る。


 「ようこそおいで下さいました...と言うのは少しおかしいですね。...申し訳ないのですが...我等の繁栄の為...犠牲になって貰えますか?」


 少し寂しそうな表情で魔王がそう俺に向かって呟いた。


 「...まあ、お前等にも事情が有りそうだが...先にケンカを売ってきたのはお前等だ!半殺しで済ませてやんよ!さあ、勝負だ!!」


 体に力を込めると眩い光に全身が包まれ...そして真の姿へ戻る。


 「きゅきゅーん!!!!」


 「や、やはり龍王...。しかし、我等とて精鋭を集めた魔族の最強の軍隊!!それにアレが有るのだ!この戦...勝つぞ!!!」


 魔王が懐から龍が玉に巻き付いているデザインの光り輝く黄金の物体を空高く掲げ光を放つ。


 な、なんじゃありゃ?


 <あ、そうか。魔族はドラゴンオーブを持ってたんだったね~。>


 あん?ドラゴンオーブ?なんだそれ。


 <まぁー、早い話がドラゴン系のモンスターのステータスを一時的に弱体化させるアイテムだね。>


 ...あれ?もしかして俺、ヤベえんじゃねえ?


 <いや、楽勝でしょ!最大で半減しかしないし。>


 ...それって真の姿になってる今の俺からしたら龍人モード中の普段の俺やんけ。


 <そうだよ。だから、ドラゴンオーブを使って魔族が100万人で攻めてきたとしても...ワンパンだね!>


 ...そすか。


 じゃあ、早く帰りてえからアイツらを死なせずにかつ早く終わらせる方法を教えろや。


 <えーと、じゃあ聖属性の大規模攻撃魔法を覚えてたよね?それを使ってよ。聖属性なら僕のバフで魔族達がHpが1残る様に出来るから。>


 聖属性ね~。


 あー、あった!これか、一回も使ったことがないから忘れてたぜ!!


 「者共!!リヴァイアサンは至宝ドラゴンオーブで弱体化している!!...しかもどうだ!この体から沸き上がってくる力は!神も我らの見方だ!!一気に叩くぞ!!!!」


 「「「「うぉおおおおぉぉ!!!」」」」


 天の声が掛けたらしきバフの効果なのか身体が鈍く光を放ち始めた魔族達が勢い付いて各々武器を片手に指揮高く進軍してくる。


 よっしゃーーーー!!


 オメエらこれでも食らえ!!!!!!


 俺は空に向け一筋の光を放った。

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