魔王様が来訪するが...そして、衝撃の事実。
「よっしゃ!!出発の準備は出来たんだよな!?」
「はい。全て整っております。」
「フォルティーナ様!後はクラルフェラン共和国に帰るだけですね!!」
俺達はエミリアとワイナールの結婚式に出席するための準備を終えて城から出発するところだ。
「んじゃあ野郎共!クラルフェランへ凱旋すっぞ!!」
そう俺が声を上げた瞬間...
gakooon!!!!!
天井から破壊音が聞こえ再び何やら覚えのある光景が広がる。
今回は俺の私室の天井が破壊され部屋に天井の残骸と共に埃が舞い散り視界が悪くなっている。
「...またかよ!今度は誰だ!!」
「お初にお目にかかる。貴女がファメルテウス民主国の代表、フォルティーナ殿だな?」
埃が落ち着いて来出し、視界が晴れて来たのでハスキーな声のした方向へ顔を向けると長髪の黒髪でスラリと背の高い男と後ろに何人かが礼を取るように片膝を着いて屈んでいる。
「俺に何か様か?つうかよ人の住処をぶっ壊して置いて偉そうな態度を取るんじゃねえよヒョロ蔵がぁ!!!!」
「おや?これは失礼した...私は魔族領の魔....」
「お前らを今からぶっ飛ばしてやりてえが俺には時間がねえ!俺とケンカがやりてえんならその前にこの城の修理代を払って行けや!そうすりゃ一ヶ月後位に相手してやるからこの城に居る奴にお前らが希望する場所を伝えとけ!!じゃあな!!」
俺の言葉で時が止まった様に固まった侵入者共を放置して城から出るために歩き始める。
「良いのですか?フォルティーナ様。恐らくあの男は...」
「あん!?いまはあんなクズに構ってる暇なんぞねえわ!そもそもこの国を潰すのが目的ならもっと大人数で攻めて来るだろうが!放置で良いわあんな破壊魔!!」
俺の言葉で苦笑いを浮かべながらじじいとセレナがついて来た。
「うぅ....ぐっす...っぐっす。」
クラルフェラン共和国でエミリアとワイナールの結婚式が始まり俺の視界はぼやけて見えなくなっていた。
「フォルティーナ、あなた本当に娘を嫁にやる親父みたいになってるわよ。ほらこれで涙を拭きなさいよ!みっともない。」
隣に座っているヴァランティーヌが渡してくるハンカチを受け取り、涙をふき取ると視界が開き幸せそうな表情のエミリアが視界に入るとまた涙が溢れて来た。
「...はあ。この様子じゃあフォルティーナは暫く使い物にならないようね。」
呆れたようにヴァランティーヌが茶を飲みながら呟く。
「うぅ..ふぐぐっ」
くっそ!仕方ねえだろ!!エミリアに「今まで守り、育ててくれてありがとうございます。」何て正面切って言われると...エミリアと一緒に過ごしてきた期間の事を思い出して込み上げる物があるんだよ!!
<君、エミリアでこれだから孫でも産まれたら孫の為に世界征服位やりそうだよね...>
やるかヴォケ!!そんな面倒な事をやるくらいならエミリアとワイナールの間に出来る予定のガキの専属侍女をやってやんよ!
<あっ、これダメなパターンだ。マジで孫の為なら世界を滅ぼせる勢いになるね!>
...たぶん滅ぼさんから...たぶん。
天の声の言う事に反論出来なくなりつつある俺は黙ったまま幸せそうなエミリアの晴れの姿を眺めるのだった。
エミリアの結婚式も終わり、クラルフェラン共和国で日頃の激務から解放されて10日間程バハムーレ領で休みを取る予定になっているのだが、バハムーレ領に移動した初日に俺は驚愕の事実を知ることになる。
「あ、あんだってーーー!!」
「...いや、だから子供が出来たって言っているのよ。」
「...子供ってどこのドラゴンの子供を仕込んできたんだ?」
「あなたボケたの?エリュセルの子供に決まってるでしょ!!」
...マジかよ。
え、っえ!?召喚獣って人間のガキが作れるんか!?
<ん?ああ、出来るよ~。バハムートは竜人モードの時は完全な人間の女性になってるって前に言ったでしょ?作れるに決まってんじゃん。>
...あの時言ってた完全ってマジだったのか。
<君も完全な人間の女性を選べば作ろうと思えば直ぐにでも作れるよ?>
俺はいらね。
ようやくエミリアって言う手の掛かるガキが嫁に行ってくれたのに暫くはマジでこのままで良いわい!
<そうなの?面白く無いな~...まあバハムートとエリュセルの間の子供か...。中々の高スペックな人間が出来そうで面白そうだから暫くは成長を眺めて見るのも面白そうだよね。>
やっぱ、ヴァランティーヌとエリュセルとの間に出来たガキは...アレか?バハムートの力を引き継いだりすんのか?
<多少は...有るだろうね。>
うわぁー、またやっかい事が増えそうじゃねえかよ。
...まあ、当事者達にどうにかさせるか。