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突然の侵入者

 俺がファメルテウス王国に戻ってから早くも1年が経とうとしていた。


 ファメルテウス王国はファメルテウス民主国と名前を改めてスタートした。


 俺は今、執務室で今年の税収とその使い道の会議をやっているのだが、ほぼ内容も決まり休憩時間になっていた。


 「あ~、マジでこの国に来てから全然寝てねえ気がすっぞ!」


 爺が俺の前に茶の入ったカップを置きながら言う。


 「...そろそろ落ち着いて来ましたから一度お休みを取られた方が宜しいかと。」


 「そうだな~、少し休みを取るか。」


 この一年、文字通り寝る間も惜しんで仕事をしたおかげで最初こそ新しい制度を作りまくったせいで混乱状態にあった国民達も少し時間が経ち馴れ始めたために落ち着きを取り戻し、かなり経済活動が活発になっている。


 もう俺が居なくてもやっていけるんじゃねえかな?と思うのだが....


 「フォルティーナ様、クラルフェラン共和国にまた帰ろうと思ってらしゃるでしょ?まだ帰しませんよ!!」


 「その通りで御座います!!フォルティーナ様が前王家と違って御自分は贅沢などをせずに王家の国庫を投げ打ってくれているお陰で大した混乱も無く皆が落ち着いてくれているのです!あなたを逃がすと私達が無能と言われ国民のコントロールが効かなくなるのでまだ帰らないで下さいよ!」


 一般人から雇った官僚と国民から選ばれた元貴族の国会議員からステレオで怒られる。


 俺が取った改革の中の一部で官僚は国会試験で合格した奴が身分関係なくなることが出来る。


 そして国の予算や国政の方針などは選挙で国民から信認を得た者が国会議員となり、その国会議員が話し合い、決議で決めるっと言う事にしている。


 俺の今の仕事と言えば、それらに目を通した後に承諾のサインをするくらいだ。


 まあそれが結構時間をくって俺の睡眠時間が無いのだが...


 「ぶっちゃけ、もう俺いらなくね?」


 「「必要です!」」


 くっそ!はよ帰りてー。


 しかもそろそろエミリアとワイナールの結婚式もあるしよ~。


 「おい!エミリアとワイナールの結婚式には俺はクラルフェラン共和国に一旦帰るからな!」


 「心得ております。この国からもお祝いを持たせて使者を出しますので...」


 「...その使者って俺の監視じゃねえだろうな?」


 「無論それもあります!」


 当然という風に頷く官僚。


 コイツら...俺を捕まえてとく気満々じゃねえかよ!


 「...フォルティーナ様、もう暫く我慢するほか有りませんね。」


 爺がカップに茶をつぎながら言う。


 「まあ、しゃあねえか...。」


 大人しくつがれた茶を飲もうとカップを手にする直前に...


 bakoooooon!


 突然爆発音のような音が部屋の天井の方から響き、埃や壊れた天井などで部屋の中が滅茶苦茶になる。


 「おいおい!なんだこりゃ!?爺、セレナ!何が起きた!!」


 埃で視界が悪くなって何も見えない状態で俺が叫ぶと、低い男の声が部屋に響く。


 「ふふふっ!お前がファメルテウス民主国の代表、フォルティーナか?」


 埃で視界が悪くなっていたのが次第に直ってきたので声のした方向を見ると...そこには見たことのないやたらと肌の白い少し耳のとがった変な男が立っていた。


 なんじゃコイツは?


 <あー、コイツは...魔族か...何でこの国に魔族が?>


 魔族?なんだそりゃ?


 <...まあ、アレだよ。ちょっと魔力や身体能力の高い人間...みたいな物かな?まあ君ならワンパンKOだよね。>


 ほーん、取りあえず俺様の部屋を壊した報いは受けてもらうかな!


 「フォルティーナ様!ここは私が!!セレナ、フォルティーナ様を頼みますぞ!」


 「はい!」


 爺がアストラル・ブレードを抜くと目の前の白い男に切り掛かって行く。


 なまっ白い男は爺の斬撃を抜きはなった自分の剣で受けると爺に向かって突きを入れるが爺は身を捻り突きをかわす。


 「ほう...アストラル・ブレードか。しかもその身のこなし...爺さん、お前只者ではないな!!」


 「セレナ!俺は良いから官僚と議員を守ってやれ!爺、歳なんだから無理すんな!」


 「ラジャーです!」


 セレナが官僚と議員の前に立ったのを確認した後に俺は睨み合って対峙している爺と魔族の男に近付く。


 「フォルティーナ様!お下がり下さい!!」


 「うっせえ!爺の方こそ下がれ!お前に怪我をされると俺が困るんだよ!!...それとも俺がこんなミジンコみたいなのにやられるとでもお前は思うのか?」


 「...わかりました。お気を付け下さい、フォルティーナ様。」


 爺は俺に向かって綺麗な礼を取るとセレナ達の所へ歩いて行った。


 「おい!クソボケ!!覚悟は出来てんだろうな!」


 俺は両手の拳をバキバキと鳴らしながら魔族の男に近付いていく。


 「ほう?俺を見て臆する事無く歩んで来るとは...。見た目はヤワな女にしか見えないがどうやら本当に召喚獣の様だな!俺様は魔族の...」


 「うっせえ!ボケが!!歯食いしばれカス男がぁあぁぁぁ!!」


 「何!?うがぁーーーー!!」


 何か途中まで喋っていた魔族の男の顎にアッパーカットをねじり込むと同時に目の前から男が消えた。


 アレ?どこ行った!?


 <...いや、君結構本気で殴ったでしょ?アイツがぶっ壊して入ってきた天井からぶっ飛んで行って星になったよ...。生きてるかな?まあ死んでても関係ないだろうけど...>


 あん?そんなに力は込めてねえはずだけどな...やりすぎたんか?...まあ良いか...あいつから喧嘩を売ってきたんだからな!!




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