君の名は
<くわぁー、マジかー!!>
天の声がセイレーンの進化後の姿を見て取り乱した様に叫んでいる。
ど、どうした!?コイツはそんなにまじい奴なのか!?
<えっ、い、いや君たちにとっては...まあ良い奴だと思うけど...そいつ超絶レア種のヴァルキリーなんだよ。>
...ヴァルキリーって神様なんじゃねえの?
<うん。神格は低いけど神だね。僕、コイツら苦手なんだよね。おかんみたいに働けやゴクツブシ!!って怒られるし。>
......それはお前が悪いな!
<あー、イヤだーー!二人でもウザいのに三人になったなんて...ストレスで死んじゃうよ?>
...ヴァルキリーが可哀想な生き物に思えて来たぞ。
<そいつ!君がこき使うも自由だから天界に転送だけは辞めてね!ダメ絶対!!>
ほほぅ、コイツの弱みを握ったようだな...。
<き、きみ...マジだからね!マジで辞めてね!!>
はいはい。
お前が大人しくしてたらこっちで飼っておいてやるよ!
脳内で天の声と話をしていると真っ裸のままの元セイレーンのヴァルキリーが不思議そうな顔で俺を見つめている。
「おい、コイツに取り敢えず服を着させろや。詳しい話はそれからだ。」
「はっ、かしこまりました。」
爺が服を取りに部屋から出て行き、エミリアが俺に近付いてきて呟く。
「...また女の人が増えたね...。」
そう言やこの屋敷に居るオスはエリュセルと爺だけじゃねえか...。
爺が持ってきた服に着替えさせてからエリュセルとヴァランティーヌも呼んで家族会議を開始した。
「あー、コイツは爺の召喚獣になったセイレーン、改めヴァルキリーだ。」
「皆さん、よろしくお願いします!!」
俺の宣言とヴァルキリーの挨拶で皆が驚愕の表情を浮かべる。
「は?ヴァルキリー!?」
「私の召喚獣がヴァルキュリア様ですと!?」
「...どうやったらセイレーンからヴァルキリーになるの?意味わかんない。...フォルティーナ、あなた何かやらかしたわね。」
「うっさいボケ!!...お前と同じで俺のMPをコイツにやっただけだよ!...まあ、送り過ぎたかもしれねえが。」
「どう考えてもやらかしてんじゃないの!」
深いため息をつきながらヴァランティーヌが茶を一口飲む。
「まあ、やっちまったもんはしゃあねえし...。じゃあ、コイツの名前を考えようぜ!!」
皆の反応で少し不安そうな表情をしていたヴァルキリーの顔に笑顔が戻る。
「是非フォルティーナ様につけてもらいたいです!!」
「あん?俺がつけるのか?...ほんじゃあ...」
どうすっかな?天の声が三人目って言ってたから...
「サブローてのはどうだ?」
<サイコーの名前だ!!流石、センスがあるよ!>
せやろ、せやろ。
そんなにほめんなや!
俺の言葉で部屋の空気が一気に冷え込む。
「....フォルティーナ様がその名を私に望むのなら...大丈夫ですが...」
気落ちした顔でヴァルキリーにそう言われる。
「フォルティーナ、流石にその名前は可哀想...」
エミリアが目を伏せ頭を振りながら言う。
「フォルティーナ様、おやめ下さい。」
爺が普段、糸目の眼を見開き普段より低い声で言う。
「フォルティーナ、あなたこのヴァルキリーが嫌いなの?...エリュセル、あなたが名前をつけてやりなさい。」
「え!?じゃ、じゃあ...セレナと言うのはどうでしょうか?」
「...セレナ。良いんじゃないかしら?流石はエリュセルね。」
ヴァランティーヌとエリュセルでヴァルキリーの名前が俺の意見無視で決まったようだ。
...コイツら...。
「い、いえ。フォルティーナ様がサブローの方が良いと言うのならば...従います!」
「くっそー!テメエの名前はセレナだ!!嫌だって言っても、もう変えねえからな!」
セレナの表情がぱぁーと明るくなり、笑顔でしきりに頷いている。
<ちっ!ヴァルキリー達へのストレス解消に新人の変な名前で溜飲を下げようと思ったのに。>
...セレナをお前の所に送ったろか?
<...ごめんなさい。それだけはやめて下さい。>




