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クラルフェラン共和国の殿下に会った話

 クラルフェラン共和国の首都に着いた俺達は早速、この国の王に会うために馬車で城まで移動を開始したのだが...


 「おいおい、何だ?この人間の数は?コイツら暇なんか?」


 俺達が通る馬車を沢山の人間が歓声を挙げながら俺達を見ている。


 「...人間は不思議な行動を取るわね。意味わかんない。」


 ヴァランティーヌが不思議そうな顔で爺が入れた茶を口にしている。


 「竜王と龍王、御二方がこの国の守護をしてくれると言う話が既に広まっている御様子です。まあ、これが正常な国の反応ですよ。かの国のトップが異常...いえ、それ以前に頭がおかしいだけですな。」


 「そ、そうか。」


 爺、すげえ辛辣な事言ってるぜ...


 <まあ、それくらい前の国の対応に頭に来てたんだろうね。>


 なるほどな。


 俺は全然気にしてねえんだがな~。


 そのまま城の前まで来ると一旦馬車は止まり大きな城門が開く。


 「フォルティーナ殿ならびにヴァランティーヌ殿。そして御二方の召還主であらせられるアルフェール兄妹方、殿下がお会いになりたいとの事です!僭越ながら私がご案内差し上げます。」


 身なりの良い壮年の男が俺達に綺麗な礼を取った後に案内する様に俺達の一歩前を歩き出す。


 案内される道すがら、城の調度品が目に入るが質実剛健そうな華美では無いが古くから使っている様子が見て取れる物がバランス良く配置されている。


 ほう...前の国とは違ってこの国の王は人民から得た金で自分を着飾る事はやってない様子だな。


 <まあ、マトモな国だと僕は思うよ。少し貧しい国だけどね。>


 俺にはあんまり貧富はかんけーねえからな~。


 エミリアやエリュセル、使用人達がその国の最低限度の生活が出来るようにするのが俺の仕事だ。


 それ以上の生活を望むのだったら望む奴が頑張ればいい。


 そこまで世話せんわ!



 一際重厚な扉の前で壮年の男は立ち止まると「この部屋で殿下がお待ちです。既に準備は整っておりますのでこのままお入り下さい。」と言い扉を開いた。


 「フォルティーナ殿、ヴァランティーヌ殿。並びにリヴァイア家の方々、よくぞクラルフェラン共和国に来て下さいました!!」


 部屋の中に入ると若い男が椅子から立ち上がりこちらへと歩いてくる。


 「今回は俺達を受け入れてくれてあんがとさん。あんたがこの国の王か?」


 俺が喋り出すと爺がアワアワし出すが目の前の男は微笑みを崩さずに「その通りで御座います。私はワイナール・セルベ・クラルフェランと申します。フォルティーナ殿、ヴァランティーヌ殿はワイナールとお呼び下さい。敬称不要で結構です。」と答える。


 「ふん!じゃあ、俺とヴァランティーヌも呼び捨てで良いぞ。なあ?ヴァランティーヌ!」


 隣に居るヴァランティーヌに目配せしながらそう尋ねると「良いのではないかしら?別に私は人間にどの様な呼ばれ方をされても気にはしませんから。」と紅い瞳を閉じながら言う。


 「わかりました。それではフォルティーナにヴァランティーヌ。並びに皆様の今後についてのお話があるので椅子にどうぞ腰掛けて下さい。」


 それから俺達は椅子に腰掛け、この国での今後の話をした。


 内容は俺達に領地をやるからそこを治めろ。


 そして...


 「フォルティーナとヴァランティーヌには爵位を貰って欲しいのです。」


 「あん?爵位?そんなもん俺にゃ要らねえぞ!」


 「私も要らないわね。...エリュセルとエミリアにあげれば良いんじゃないかしら?」


 俺とヴァランティーヌがそうワイナールに答えると困ったような顔になる。


 「それでは困るのですが...うーん、では後々御二方の召還主に爵位を譲られると言う事でどうでしょうか?」


 俺はヴァランティーヌに顔を向けると視線が合い、ヴァランティーヌが頷く。


 コイツが良いって言うなら良いか。


 「エミリア、エリュセル。それでお前達はいいか?」


 エミリアとエリュセルはお互いを見詰め、エミリアが頷く。


 「はい。エミリアも良い様ですから大丈夫です!」


 「おっし!こっちはまとまったぜ!!ワイナール、良いみたいだぞ!」


 俺の言葉でホッとしたらしく「良かった。」と小さな声で呟いたのが聞こえる。


 「では名乗る家名を考えて貰えますか?フォルティーナは...リヴァイアをこの国で名乗っても構いません。ヴァランティーヌは如何しましょうか?」


 「ほんじゃあ俺はリヴァイアで良いぜ。後はヴァランティーヌだな。」


 「ふーん、家名ね....どうしようかしら。」


 少し悩んでる様子を見せ「じゃあ、バハムーレ。バハムーレって言うのはどうかしら?」とまだ少し迷っている様に口にする。


 「いいんじゃね?お前が良いなら。」


 「...もう面倒だからバハムーレで良いわ。」


 ヴァランティーヌの発言を受け、ワイナールが深く一度頷く。


 「フォルティーナ・リヴァイア、ヴァランティーヌ・バハムーレ。ようこそクラルフェラン共和国へ!!」


 それから皆で近々行われると言う式典と祝賀の夜会の説明を重臣達からしてもらった。

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