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新天地に着いた朝に目撃ドキュン!!

 その日の夕方頃にクラルフェラン共和国に到着し、寂れた港町でみんなを船から降ろし1日この港町の宿を貸し切り休息を取ることにした。


 「おい、爺!これからの予定はどうなってる?」


 「はい。明日の朝、ヴァランティーヌ様にクラルフェランの首都まで運んで貰うことになりますが...少し人数が多いもので数回に分ける事になりそうです。宜しいでしょうか?」


 「あら?一度で行けると思うわよ?」


 ヴァランティーヌが爺のセリフに不思議そうな顔でそう答える。


 「一度で行けるって...お前、何するつもりだ?」


 何言ってんだコイツ?っと言わんばかりの顔で「この地域の私の知り合いを呼んで送ってもらえば良いのよ。当たり前でしょ?」と答えてくる。


 「....だそうだぞ、爺。」


 「ではヴァランティーヌ様の仰るとおりに一度で行きましょう。」


 「よっしゃ!じゃあもうやることもねえし...寝るか。最近あんまり寝れてねえし。」


 「今日はここまで我々を運んでお疲れでしょうからそうなさって下さい。」


 「おう!じゃあな」


 寝るために借りているシングルの部屋へ行き寝間着に着替えるとベッドに滑り込む。


 あ~、最近マジで睡眠時間が少なかったからゆっくり寝てやるぜ~!





 朝日に顔を照らされ、まどろみながら目覚めると...妙に身体が重い。


 この重さは...奴か!!


 掛け布団を剥ぐと俺の腹を枕にして丸くなってるエミリアがすうすうと寝息を立てている。


 ....まあ、最近忙しくてコイツの相手もあんまり出来なかったし...これぐらい良しとすっか。


 ひさしぶりのエミリアの重さを感じながら再びまどろんでいると、隣の部屋から叫び声が響き渡った。


 あん?なんだ?今の声!?


 エミリアの頭を浮かせた後に俺の腹をどかし変わりに枕を据えてゆっくりと降ろす。


 自由になった俺は寝間着のまま部屋を出ると爺が既にドアの前に居て声を掛けてきた。


 「おはようございますフォルティーナ様。」


 「おう!それよりさっきの叫び声はなんだ?」


 「声の主はエリュセル様でしたが...まあ問題はありません。」


 「なんだそりゃ!?」


 爺の歯切れの悪い返しに気になった俺はエリュセルが泊まっている部屋のドアをノックして開ける。


 「おい!エリュセル、なに.....やってん...だ!?」


 「フォ、フォルティーナ!!助けて下さい!!」


 ドアを開いた先の光景はベッドの上で真っ裸のヴァランティーヌがエリュセルのズボンを引っ張ったまま丸くなって寝ている姿だった。


 「....お楽しみの邪魔して悪かったな。大丈夫だ。俺は何も見てねえから....」


 ドアをゆっくりと閉じると「フォルティーナ!!これは違うんです!!起きたらヴァランテ....」と言うエリュセルの慌てふためいている声が聞こえて来るが...うん、俺は何も見てねえ。


 「...爺、もう一回俺は寝るぜ。疲れてんだろうな、変な幻覚が見えたぜ。」


 遠い目をしながら自分の借りている部屋のドアを開き爺にそう呟くと「...わかりました。一刻後にお召し物の用意をして起こしに参ります。」と頭を下げる。


 「おう。エミリアもまた潜り込んで来てるからそっちの用意もよろしくな!」


 そう爺に指示を出し、エミリアを起こさないようにゆっくりとベッドに入った。




 数時間後、俺達はクラルフェラン共和国の首都近くの上空にいた。


 「ですから、起きたら朝の状態だったんです!」


 「あー、わかった!わかったわい!今朝俺もエミリアに潜り込まれてたからそれと同じだと言いたいんだろうが!!わかったって!」


 今朝方の出来事を必死の顔で説明しているエリュセルが俺にまとわりついている。


 もう一人の当事者のヴァランティーヌは今、俺達の乗っている馬車を運んでいるから竜モードになっていて馬車の中には居ない。


 <いや~、中々衝撃的な事件だったね~。まさかエリュセルがバハムートと....>


 もうあんまり言ってやんなや!ヴァランティーヌも気付いたらエリュセルのベッドに居たって言ってたし。


 <でもあれだね。バハムートは完全な人間の女体化を選んだようだね。何でかは知らないけど。>


 あん?そうなのか!?...相変わらずアイツの考えてる事はよくわかんねえな。


 <君も完全になっちゃえば?そっちの方が面白そうだし。>


 バカかお前は!俺はアイツみたいに酔狂じゃねえつうの!!


 「お兄様!!もう男として責任を取ってヴァランティーヌと結婚しちゃったら!?」


 アホの子エミリアが自分の兄貴に核爆弾級の破滅発言をしやがった。


 「は!?エミリア!!何を言って....」


 「...いいんじゃね?好きにせいや。俺に関係ねえし。」


 もう考えるのがめんどくせえから適当に言っとくか。


 「お兄様!!お嫁さんが決まって良かったね!!...でもフォルティーナはあげないよ?私の奥さんだから!!」


 そうのたまいながらエミリアが胸に飛び込んできて顔を俺の胸に埋めてグリグリ動かす。


 「暑苦しい!!やめい!後、お前の奥さんってなんだ!?意味のわかんねえ事ばっか言うんじゃねえよ!」


 胸に顔を埋めたまんまのエミリアの頭に軽く一撃、スパンと入れた。


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