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戦術的撤退準備

 城から脱出した俺達はそのまま王都の屋敷へと帰り、必要な物だけ俺の亜空間ボックスの中へ突っ込むと屋敷に残っていた使用人達もまとめて馬車に乗せた。


 その馬車を元の姿のヴァランティーヌに抱えさせ、すぐさまリヴァイア領の領主の屋敷へと飛んで帰る。


 その時間、城から脱出しておよそ3時間位だ。


 そして使用人達も広めの部屋に集め皆と共に今後の相談と対策の話し合いを開始した。


 「俺達について来たい奴は来い。来たくない奴までは強制はせん!」


 「「何を仰いますか!我々は何処までもフォルティーナ様について行きます!!」」


 ここの屋敷に集まっている使用人達は前の持ち主のオヤジが雇っていた人間達だ。


 そのまま引き継ぎで雇っていたのだがどうやらオヤジがロクな扱いをしていなかったらしく、給料や休みなどをマトモにしたら存外懐かれたようだ。


 「よし!じゃあ後はこの国のクズ上層部共がどう動くかだが...。」


 「王都での動きは直ぐにこちらに伝わるように準備しております。」


 「おっ、流石は爺やるじゃねえか!じゃあ後は移住先を探しとかねえとな。」


 「それも既に候補が幾らか有ります。フォルティーナ様とヴァランティーヌ様の正体が学園で知られた折りに複数の国から内密で引き抜きの書状が来ております。一応失礼の無いように返答してありますのでこちらから声掛けしてみましょう。」


 ...この爺マジですげえな。


 何でこんな爺があんなオヤジに仕えてたんだ?不思議だわ~。




 王都脱出から三日目に緊急連絡が入って来た。


 俺達を国に仇なす敵として討伐すると王が宣言したとの報がこちらに伝えられた。


 「どうやらヴァランティーヌ様が退いたのを撃退した事にして吹聴し貴族達から私兵をかき集めて大軍で攻めてくる準備をしているそうです。予想では1ヶ月位の猶予はあるかと...」



 パリン



 爺がそう報告する横でヴァランティーヌが丁度持っていた茶のカップを握り潰した音が聞こえる。


 「へぇー。私、人間達に撃退されたんだぁー。...レスター、人間のおおよその数は?」


 「おそらく一万位は集まるものかと....」


 破壊したカップの替わりのカップを手渡しながら爺がそう試算すると


 「0が少ないんじゃ無いの?...この国は私を舐めてるのかしら?」


 笑ってない笑顔でヴァランティーヌがそう爺に呟くと爺の顔に汗がうっすらと浮かんで少し手元が震えている。


 「おい!あんまり爺をいじめんなよ!!舐めてんのはクズの王とその側近共だろうが!お前は認知されてるだけまだいいわ!!俺なんてシカトされてんじゃねえかよ!」


 「...はぁー。もうどうでも良くなってきたわね。」


 大人しく茶を飲み始めたヴァランティーヌの様子を見て爺が安堵の表情を浮かべている。


 「おい、爺!移住先の国とのやり取りはどうなってる?」


 「はっ、クラルフェラン共和国が好待遇を提示して来ております。」


 「爺はそのクラルフェラン共和国が良いと思ってるんだな?」


 「御意に御座います。」


 ふん、じゃあ爺に任すか。


 「よし!じゃあ移住先はクラルフェラン共和国に決める。交渉が終了次第このアホな国に三行半を送りつけるぞ!俺は領民に説明すっから各部門の代表を呼びやがれ!!」


 「かしこまりました。」


 さあ、俺達がこの領地を捨てるって事を領民にも一応伝えとかねえとな。




 次の日に領地の主だった者が集まり俺は語りかけ始める。


 「今回は集まってくれてあんがとさん。おそらくお前等の耳にも入っているとは思うが俺達リヴァイア家はこの国の敵になった。...殲滅は出来るがそれではお前等が困るだろうから俺達は手出しせずにクラルフェラン共和国に亡命する。今まで世話になったな。」


 集まった奴皆がやはりという表情の後に商売を取り仕切っていたおっさんが口を開く。


 「フォルティーナ様!!クラルフェラン共和国には私達家族もついては行けないのでしょうか!?」


 「そいつは自分達で決めろ!!ついて来たきゃ勝手に来い!!ただし、この領と同じ様に商売できるかまでは知らんぞそれでも良いならお前等で勝手に判断しろ。」


 「わかりました。...それはついて来る者は今まで通りのお付き合いをしていただけるっと言う事で良いのですよね?」


 「確約は出来ねえ!ついてきた奴らが惨めな思いをしないようにはクラルフェラン共和国に働き掛けてみるつもりではいるが...どうなるのかはしらねえぞ!」


 みんな一様に難しい顔で考えているようだ。


 そらそうだよな。


 コイツ等に取っては命懸けになるだろうし...後はクラルフェラン共和国の返答待ちだな。

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