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交渉決裂

 俺を制止したヴァランティーヌがすくっと椅子から立ち上がると高笑いを始める。


 「あははは....。ふぅ、御自分達の立場がわかっていないようね....。本来ならばお前達は私やフォルティーナの餌...餌の分際で捕食者の持ち物に手を出すおつもりかしら?とっても滑稽で...笑えないわ!!」


 ヴァランティーヌがその紅い瞳で鋭く国の代表共を睨みながら脅し始める。


 「なっ、なんだと!?」


 ヴァランティーヌに睨まれ兵士達が脂汗を流しながら剣に手を掛け始めた。


 は~あ、エミリアとエリュセルを連れて他の国に移住すっか。


 屋敷の使用人共も希望者は連れってってもいいな。


 俺は目を細めながらヴァランティーヌと人間共の様子を眺めそんな事を考えていた。


 「ヴァランティーヌ、やめるんだ。陛下、重臣の方々ヴァランティーヌが大変な失礼をしました。」


 「あら?エリュセル。私はあなたの事を心配して怒っているのよ?リヴァイア領を継ぐことになるあなたが国に舐められない様にと言う意味も込めてね。」


 エリュセルがヴァランティーヌを止め、それに従う様子を見せている事にクズ共が驚愕の色を隠していない。


 ははーん、なるほどな。


 爺に聞いたのだが俺にケンカを売ってきたブルードラゴンはこの国の王子の召喚獣らしい。


 あのクソブルードラゴンが全く言う事を聞いていなかったのを逆手にとって俺達はクソガキ共に従順に従ってるって思わせるつもりだな?


 (おい、エミリア。めんどくせえから領主とかを全部放棄して他国に行くぞってゴミ共に言っとけ。あいつ等が実力行使に出てきても城を灰にしてやるからよ!)


 (....うん。このままこの国にいてもお兄様が変な苦労をしそうだもんね。)


 「発言、宜しいでしょうか?」


 「う、うむ。許す!」


 「私の召喚獣であるフォルティーナはお兄様が学園を卒業なされるのと同時に領主など全てを譲る考えでした。....ですが今回の国の考え方を直接目の当たりにし、考えが変わったようです。」


 「...変わったとは?」


 エミリアはすっと一息深く吸い込む。


 「領主の権限などを国に返納し、私達は他国に出奔します!!」


 「あら?良い考えね。別に私達はこの国が良くて住んでいるわけでも無いですからね。たまたまエミリアとエリュセルがこの国に住んでいるから私とフォルティーナも居るだけ...あなた達も来るかしら?」


 ヴァランティーヌの目配せに執事の爺と侍女達も頷く。


 「我々の主人はフォルティーナ様。フォルティーナ様の居られる場所が我らの居場所です。」


 爺の返答に満足そうにヴァランティーヌが頷く。


 「では私達はこの国から出て受け入れてくれそうな国に行きましょうか。まあ、いくらでも受け入れ先はあるでしょう。なんせ竜王と龍王を従えている兄妹が定住してくれるのならば手放しで受け入れて貰えるでしょうからね。このような戦力を放っておくバカな国は無いでしょうから。...しかしこの国にもチャンスを与えましょうか。その矮小な脳みそを使ってよくお考えなさい。」


 すっとヴァランティーヌが立ち上がりパチンと指を鳴らすと爺と侍女達が早業でアーティファクトを回収する。


 「ま、まて!!エリュセル・アルフェールはそれで良いのか!?」


 ゴミの王が椅子から身を乗り出し叫ぶ。


 「はい。私はそれで構わないですね。...元々領主なんかに向いていないのではと思っていた所ですから。どこかで子供達に勉強を教える学校みたいな物でも始めますよ。」


 エリュセルが立ち上がりながらそう言うと「お兄様!良いですねそれ!!私もお手伝いします!!」と笑顔でエミリアが立ち上がる。


 ほほう、ヴァランティーヌも煽ってるって事は揺さぶりを掛けて様子見するつもりか。


 しかしヴァランティーヌ、このゴミ共はバカそうだからたぶんハズレるぞ!


 俺も椅子から立ち上がるとみんなを引き連れ部屋から出て行こうとするが兵士が剣を抜き部屋の扉を堅く閉じる。


 「逃がさぬぞ!!傷つけぬ様に全員を捕らえよ!!」


 ...所詮はこの程度の国か...エリュセルに領主を譲る前にわかって結果的には良かったな。


 <この国の王は愚かだね。バハムートはこのまま帰って時間を掛けてから相手の落とし所を作ってやろうとしてたのに...王がこの場で実力行使に出た時点でバハムートの考えが全部パーだよ。>


 だな。


 こんなクソみたいな国、もうどうでもいいわ。


 「おい!ヴァランティーヌ!!元の姿に戻って俺達を抱えて飛べ!!こんなクソの掃き溜めみたいなところに俺達が居る必要性が無い!!」


 俺の言葉を聞きヴァランティーヌが「全くその通りね。ここまで愚かだとは思わなかったわよ!」と叫んだ後に竜人モードからバハムートの姿に戻ると落石を防ぐために俺達の上に被さるような体制で天井に向け火球を放ちぶち破る。


 みんなで元の姿に戻ったヴァランティーヌの手の上に乗る。


 全員が乗っていることを確認したヴァランティーヌがこぼれ落とさないようにもう一本の手で覆い、咆哮を上げた後にゆっくりと羽ばたいた後ぶち破った天井からすり抜け城から脱出口した。

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