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俺様コレクション

 次の日から王都を目指して馬車で出発した俺達は3日も掛けて王都での俺の名義になっている屋敷に到着した。


 俺は「元の姿に戻らせたヴァランティーヌに運んでもらえば瞬時に終わるだろうが!!」と執事の爺に言ったのだが「一度は陸上の移動をされた方が色んな見聞が広がって良いでしょう。」と言い返されそれに渋々従ったから時間が掛かったのだ。


 領の屋敷から移動したのは使用人含め7人。


 俺達四人は当然として、執事の爺と侍女二人を連れてきた。


 爺と侍女二人はそこそこ武器を持って防衛する事が出来るようで旅の防衛の為に各自武器を持ってきているのだが...


 「レスター。あなたの剣、余り良いものでは無さそうですね。」


 「これは異な事を仰いますな、ヴァランティーヌ様。この剣はそこそこの鍛冶師に打ってもらった剣ですぞ。」


 レスター?誰だそれ?


 <何言ってんの!?君の執事の名前だよ?...興味無いから覚えてないんだね。>


 ...そういや最初に名乗ってたな。


 爺としか呼んでなかったから全く覚えてなかったぜ。


 「あなたは一応リヴァイア家の執事なのだからもっと良い物を持つべきだと思うわよ。舐められないためにもね。」


 「しかし、この剣もそこそこの業物なのですが...。」


 爺が腰にさげている使い込んだ剣を眺めながらそう呟く。


 「...そういえば宝石類と一緒に貯めてる物の中に私に闘いを挑んできた人間達から取り上げた武器があったわね...少し取り出すわ。」


 ヴァランティーヌはそう言うと目の前に一振りの剣を出現させ爺に投げ渡す。


 「こ、これは!!アストラルブレード!!失われし伝説のアーティファクトではないですか!」


 爺が鞘から剣を抜き驚きの表情を浮かべている。


 はーん、そういや一時期の俺の趣味だった深海のお宝探しで見つけた物があったな...。


 「そうだな。エリュセルとエミリアにもそこら辺のクズ共に舐められない様な物を渡しとくか。」


 俺も亜空間ボックスから深海からサルベージした武器を取り出し目の前に並べる。


 「......流石はフォルティーナね。色々と有り得ない物が紛れ込んでるわ。」


 「あーと、ほれ。この剣はエリュセルっと。えーと、この杖らしき物はエミリア。この槍は...侍女にやるか...後は....」


 「フォ、フォルティーナ様!!!!何ですか!?このアーティファクトの山は!?」


 「あん?俺のコレクションだよ。まあゴミばっかりかもしれねえがな。これ以外にもまだ沢山あるぜ?」


 爺が驚愕しながら一つ一つ確認していく。


 「これは...エスペランサ!?英雄王と共に海中に沈んだ神剣!!...こちらは...神槍グングニル!?...なんて事だ!!一振りで国を灰燼にしたと伝わる魔杖バルドゥース....神器マスカレイドまで....有り得ない....」


 「剣と杖はエリュセルとエミリアにやる。槍とレイピアは侍女が使えや。後は好きにしろ。」


 俺の言葉で呆然と武器を眺めていた爺と侍女達がぷるぷると震えだし叫ぶ。





 「「「あんたバカでしょ!?」」」





 爺と侍女が目を剥き俺にキレた声が木霊した。




 それから小一時間、爺と侍女から説教をくらい俺はげんなりしていた。


 「やるって言ってんだから文句言うなよ!クソが!!何で俺が怒られてんだ?」


 <まあこうなるよねー。他の奴が飲み込んでた物とかを君が丸ごと食べてたから僕が人間達に渡たアーティファクトの8割位は君のお腹の中に溜まっていってて気付いたときには爆笑が抑えられなかったもん。>


 マジで知らんがな...


 「しかし、フォルティーナ。僕がこのエスペランサって剣を貰っても剣の練習なんかやったことが無いから意味がないと思うのですが...」


 「私も魔法の制御をあんまりうまくできないよ?」


 俺から渡された剣と杖を眺めながら微妙な顔をしている兄妹がクレームを入れて来やがった。


 「使えねえでも持っとくだけで虚勢を張れるだろうがつべこべ言わずに常に持ってまわれクソガキ共!!」


 「ほーい。」「そうですね。では持っておきます。」


 はぁー、俺が一所懸命に集めたコレクションを全否定された気分だぜ...。


 「では、グングニルとマスカレイドは貸していただく事にします。後の物は...また収納して置いて下さい。」


 「はいはい。」


 爺に言われるまま、使う者のいない武器類は亜空間ボックスに再びしまう。


 「あー、なんかどっと疲れたぜ~。おい!爺に侍女共!!俺様のコレクションとヴァランティーヌの剣を使わせてやるんだから全力でうまい茶を入れろ!!」


 「「「かしこまりました!!」」」


 三人ともビシッと綺麗に揃って頭を下げた後におかわりの茶を煎れ始めた。







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