王家からの呼び出し
案の定俺とエミリア、ヴァランティーヌとエリュセルはこの国の王から呼ばれる事になった。
王の使者が帰り俺は思考を巡らす。
うーん、一応エミリアとエリュセルに服を新調してやった方が良いよな。
「おい、爺!!エミリアとエリュセルに謁見用と夜会用の服を新調させるぞ。仕立て屋を学園に送って二人の身体の採寸をさせてきやがれ!」
「はい。かしこまりました。...フォルティーナ様とヴァランティーヌ様のお召し物はどういたしますか?」
「俺は普段のスーツでいいんじゃねえか?ヴァランティーヌのは...そうだな。作ってもらっとけ。」
「それはいけません!!フォルティーナ様のお召し物も作って頂きます!!」
あん?俺のもか?いらんだろ。
「俺のはいらねえよ。それにそんなに金の余裕もねえだろうが。入ってくる税金はお前等の給料や俺達の生活費以外はみんな公共事業なんかに突っ込んでるんだしよ!」
「ならば我らの給料をお下げいただいて結構です。過分にいただき過ぎていますので。」
「お前等はよくやってくれてんだから給料は下げねえ!...じゃあそうだな。ちっと待ってろ。」
腹の中にため込んでいる宝石類の事を思い出し、吐き出すために口に手を突っ込もうとする。
<君、なにやってんの?>
なにって、腹から宝石を出そうとしてんだよ!文句あっか!
<...言うの忘れてたからまた君が怒りそうだけど...龍人モードのオマケで亜空間ボックスがあるから君の腹の中の物、そっちに移動させてるよ。>
...お前、また事後承諾かよ...まあ、もうどうでもいいわ。
亜空間ボックスの使い方を天の声から教えてもらった後に数点、宝石を取り出す。
つうかこのボックスの中に服を放り込んでたら学園の寮に召喚された時の騒ぎはある程度抑えられたらじゃねえかよ!
<うん、そっすね。>
絶対まだ俺に伝え忘れてる事があるだろボケナス!!
<...たぶん、まあ思い出したら伝えるよ。>
はぁーマジでコイツは....
「おう、爺!!この宝石を売っ払らって今回の代金に当てろ。」
執事の爺に取り出した宝石を渡すと爺が驚愕している表情になる。
「こっ、これは!!....おそらくかなりの金額が余りますが....」
「余ったのは....そうだな。エミリアとエリュセルの為に貯めて置いてやれ。」
「私がため込んでる宝石類も出しましょうか?どうせ私達は貯めるだけで使うこともないし。」
ヴァランティーヌが茶を飲みつつ俺と爺のやり取りをみながら、そう喋り掛けてきた。
「おう!!出せ出せ!」
俺がそう言うとヴァランティーヌは抱えきれないほどの宝石を爺の目の前に出現させた。
「お前、ため込んでんな~。」
俺もヴァランティーヌに負けじと更にコレクションを引っ張り出し並べる。
「まあ、これでも貯めてる極一部だけれどね!」
「まあな!」
「お二方とも...国でも買われるおつもりですか?この領の100年分の予算はゆうに有りますよ...。」
「あん?俺はいらねえから金蔵にでもぶっ込んどけ。」
「私も要らない。何となく集めてただけだし。」
爺が深いため息をつくと「この御方達は...」と頭を振りながら俺達が出した宝石類を保管するために屋敷の侍女や使用人総手で宝石を片付け始めた。
王に謁見するための準備が整い、エミリアとエリュセルが学園を休んで一時的に屋敷へと帰ってきた。
「...ふう、久し振りですね。この屋敷に住んでいた頃が懐かしい。」
「お兄様は一生懸命に勉強してたから余りここには帰って来なかったもんね。」
玄関の前で屋敷を感慨深げに眺めている兄妹に「おい!早く入れや!!ここはお前らの家なんだぞ!」と二人を急かすと「はーい。」と言う気の抜けたエミリアの返事が聞こえてきた。
夕食を終えて王の謁見と夜会の事について対策を練り始める。
「俺はいつも通り喋んねえからなお前等に丸投げすっぞ。」
「うん!」
「ええ、いつも通りですね。わかりました、フォルティーナ。」
「私は適当に遊んでますね。」
みんなで茶をすすりながら話を進めていくがここでエリュセルにずっと考えていた事を切り出す。
「それでだな、丁度良い機会だからエリュセル、お前が学園を卒業と同時にこの領の領主を継ぐと発表するぞ。」
「えっ!...フォルティーナ、本当にこの領を私に譲るつもりなのですか!?」
エリュセルが驚きに満ちた表情で茶をすすりながら話している俺を見る。
「そもそもエミリアの召喚獣の俺が領主をやってること事態がおかしいだろうが!そこを今度の謁見で突っ込まれかねないからな。早々にお前から引き継いだ事を言っておけ。」
「まあ...それはそうなのですが...、僕に領主など出来るのでしょうか?」
「出来る出来ないじゃねえ!やるかやらねえかだこのアホ!!...俺も手伝うしヴァランティーヌも仕事を覚えてきた。エミリアもいるんだし心配いらねえよ。万が一無理だと思ったらさっさと他の向いた奴に押し付けて俺達はどこかの違う街で暮らせばいい。そんなに深刻に考えるな!お前の悪い癖だぞ!!!」
「その通りです。エリュセル、私達はあなた方の召喚獣...万が一の時は私とフォルティーナであなた達位養っていけます。」
「うーん、自分の召喚獣に養ってもらうって私達位じゃ....」
エミリアとエリュセルはお互いに苦笑を浮かべてそうアホなことをのたまい始めた。
「何今更な事言ってんだこのバカガキ共が!!既に俺から養われてるようなもんだろうがボケ!!今更気にするような事かよ!!」
「「...確かに。」」
俺の言葉で納得した顔になり、その後二人の顔に笑顔がほころんだ。




