表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
解創エピソード集  作者: 指猿キササゲ
$1$ 組織従抗
1/8

#1 紗基

 ミンミンゼミが、やかましく鳴き続ける八月下旬。

 場所はオフィス代わりの会議室。小柄な茶髪の少女は、一人の女の前にいた。

 それは恐ろしい女だった。一七〇に達しそうな背丈。気品を持ちながらも圧倒的な威圧感を孕んだ雰囲気が、彼女を獅子のように見せた。

 白いワイシャツにスラックスという格好の鶴野(つるの)温実(あつみ)は、少女の目の前で椅子に腰かけていた。

「今回の一件、十六課という全体から見れば成功だけど、部分的には見誤りがあった……例えばアンタよ、紗基(さき)

 立っている少女――紗基の方が視点は上だというのに、まるで見下ろされている気分だった。

「アンタの実力は信頼してたわ……だから言える。格の違いが分からなかったワケじゃないでしょう? 上宮(うえみや)孝治(こうじ)はあの時点の上宮で最高の実力者だった。それに対して正面から挑んで返り討ちにあった……まぁ、それだけならヘマで片づけられたんだけどね」

 温実が紗基を射竦める。蛇に睨まれた蛙も同然だった。紗基は死んだような目で……ふぬけた目で見返すしかなかった。頭も働かなければ、睨み返す意思もなかった。

「アンタを助けようとした人間は怪我をして、あんたはそれを見捨てて一人脱出……幸いな事に、どっちも助かったけど……それじゃダメよね?」

 温実の視線が外れる。紗基は、まるで親の前で委縮する子供のように視線だけ動かすと、温実が引き出しから一枚の紙を取り出しているのを見た。

「異動よ」

 机に投げ出される白い紙。向きは表。書いてある内容は……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ