黄昏の少女 (テーマ:金髪、鎖骨、曇り空)
いつもの帰り道、僕は彼女を見た。
真っ赤な夕日をバックに一人佇む少女で、眩いばかりの金髪にみえた。見えたというのは、夕日を受けて、黄金色に輝いて見えていたからだ。
服から鎖骨を僅かに覗かせ、外見的な年齢とは不相応な、触れたくなるような色っぽさも備えていた。
不思議な美少女。
僕はその様に息を呑んで眺めてしまった。回りには誰もいない僕と彼女、二人だけの空間。
…何やってんだ、俺は。見とれている内に少し恥ずかしくなってきて混乱した後、ふう、と息をついた。
「…?」
少女がこちらに気づいた。
意図的に眼を逸らし立ち去ろうとした時、少女が突然語りかけてきた。
「貴方、私が見えるのね。」
え?
彼女は一体何を言っているのだろうか。
「普通、私は見えない存在だから、私に気が付いた人は初めてだったの。」
訳が解らなくて言葉が出ない。姿が見えないと言うことは幽霊か何かだろうか。少女が口を開く。
「いつも待っているの。もうすぐ来てくれる。あの人は必ず私よりも遅れてくるから。」
…どうやら、人待ちのようだ。僕のように彼女が見える人か或いは、彼女と「同じ存在」なのだろうか。
「あっ…」
雨雲だ。まるで黄金色に染まった空を飲み込もうとしている。キラキラと輝いていた金髪が黒々と染まって行く。
「今日はもう、会えないのね。」
小さい手で鎖骨をなぞるように触れ、しょんぼり返る。僕は思いきって聞いてみた。
君は一体、誰なのか。彼女は答えた。
「貴方とは毎日会っているし、彼も毎日会っている」と。
雨雲が空を覆う。夕日が途絶えた瞬間、彼女もスッ、と消えてしまった。
…結局、雨は降らなかった。
曇り空が辺り一面に広がり、わずかに溢れた夕日がキラキラと輝き、それもすぐに消えてしまった。
そうか。
彼女は待っていたんだ。
僅かな間にしか、会えない「彼」と。
今日は邪魔が入ってしまったけど、明日はきっと会えるはず。僕は帰り道を駆け抜けた。




