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転生少女は生きることに全力です  作者: 宵螢
ここは乙女ゲームの世界らしく、もう開始してるけど肝心なヒロインの性格があれなので大丈夫とたかをくくっていたらフラグが乱立していたようです
8/23

敵と遭遇


その日、私は休憩時間を貰い、寺へと出かけようとした。


私は周りに誰も居ないことを注意深く確認する。特に瑠璃は小姑よろしく煩いので要注意である。


それに今の格好は袴なので余計ヤバイ。ばれたら説教されることはわかっている。


「よし、今のうちに……」


「雪?」


誰も居ないと思ってたら背後に兄がいた。なにそれ怖い。


「ど、どうしたの?お兄ちゃん」


「また何処かへ出かけるつもりなんだね」


「なんのことかな?」


「誤魔化しても無駄だよ、その格好が何よりの証拠じゃないか」


「こ、これは……」


「いっておいで」


「え、いいの?」


「その代わり女だとばれないこと、夕暮れまでには帰ってくること、いいね?」


多分女だとバレたら一応看板娘としての立場が更になくなる。


「それじゃあ行ってくるね!!」


「うん、行ってらっしゃい」


本当に温かい。ここが、私の帰る場所ーーーーーー。



~~~~~~~~



「もう、雪遅いで!!」


「待ちくたびれてもうた!!」


「雪お姉ちゃん大丈夫だった?」


「あはは、ごめんね。うん、大丈夫だよ」


寺で待っていた子供たちに私は謝る。


私はいつもこの場所で子供たちと遊んでいる。


ちなみに上から順に孝一、彰、そして遥ちゃんである。


私は子供たちにまで呼び捨てされている。


理由を聞いたらやはり


「女の子といった感じしないし尊敬できるところがない」


と帰ってきた。うん、解せん。


その中で私を唯一お姉ちゃんと呼んでくれるのが遥ちゃん。


肩までの真っ黒な髪に青いたれ目の明らかに将来有望そうな顔をした11歳ぐらいのロリである。


可愛いは正義だと思うんです。


あ、でもでもやっぱり将来像としてはツルペタ希望です!!


なんて事を考えていると他の子達が遥ちゃんの前に立ちはだかる。


私の愛が伝わってしまったのかな?


「みんな、あからさまに警戒するのはよくないよ、いくら雪が怪しいからって」


酷いことを平気でいう将来有望そうなこの少年はもりりんだ。


彼は訳あって自分の名前を好きではないらしいので私はもりりん呼びを提案し、今ではすっかりもりりんである。


もりりんは顔はうちの瑠璃と同じくよく女の子に間違えられるタイプだ。


ちなみにもりりんは天然だが結構辛辣である。笑顔でサラッと酷いことを言うのだ。悪気はないのだ。悪気は。たまに悪気あるが。


「それじゃあ今日は何をしようか」


「雪、また話をそらそうとするの?」


「もりりん、そう言えばこの間川でーーー」


「さぁみんな、何をして遊ぼうか!!」


もりりんは好奇心旺盛でもある。そして都合の悪いことはスルーしようとする。


作戦通りだ。


「あの…僕も混ぜて貰っていいですか?」


寺の入り口には真っ黒な髪を上の方で青い紐で束ねた美少女………いや、美青年がいた。だって袴履いてるもの。


「いいですよ、皆は?」


「雪お姉ちゃんが言うなら」


「いいで!」


「ありがとうございます!あ…………あなたはこの間の人ですよね!!」


「…………?」


「この間甘味処で男の人達に啖呵切ってた人!!」


男性がさも楽しそうに語る。


「…………あ、この間の敵!!」


「え?」


よくよく見ると彼は紛れもなくこの間私を助けようとしたかと思えば最後には机に突っ伏し笑っていた敵である。


「て、敵ですか?」


男性は目にみてわかるぐらい動揺していた。


「だって私のこと見ていて笑っていたじゃない!!」


「え、そんなことで?」


「うん!」


男性の人は拍子抜けしたのかポカンと口を開けている。子供たちに至ってはむしろ飽きれ顔である。


「プッ………あはは!!あなた本当に女性ですか!?子供たちもこんな反応だし」


男性は急に笑い出した。


(あ、この反応初めて合ったときと同じだ)


とりあえず彼は私の敵でまちがいない。


「……勝負だ」


私は子供たちと遊べるように取っておいた木の枝を一本相手の方になげ、もうひとつを構える。


「面白そうですね!手加減はしませんよ!!」


相手は相当強いらしい。しかし、後悔はしない!!


「俺はあの男にかける!!」


「私は雪お姉ちゃんに!!」


「僕は雪がやられたら面白そうだから彼に!!」


「人で賭けするな!!」


もりりんに至っては酷いしなにより彼等の将来というか日本の将来が心配だ。もう手遅れかもしれないが。


~~~~~~~~~


「はぁ!」


「うっ………まだまだぁ!!」


あれから私は彼に負け、何度も何度も諦めずに立ち上がり、そして負けると言うことを幾度も繰り返している。


「諦め悪いんですね」


「そろそろ勝負はおしまいにしないと」


「もりりん!?」


もりりんが余った木の枝で止めたのだ。


もりりんは然り気無いチートだったりします。


「雪、そろそろ帰らないと瑠璃達が探しに来るよ?」


「…………あ、帰らないと!!」


私は握っていた木の枝をもりりんに押し付ける。


「プッ…………本当にあなたって!!」


彼はまた笑いだした。


「まさかこんな終わり方をするなんて…………ねえ、良かったら友達になりましょうよ!!」


「え?嫌だ」


「即答ですか!、ほら、昨日の敵は今日の友って言うでしょ?」


「……そうだね、うん。私は千藤(せんどう)白雪だよ。好きなように呼んで」


「じゃあ雪って呼ばれてるようなので雪さんと呼ばせていただきますね。僕は沖田総一郎です、よろしくお願いしますね」


「よろしくな!そーいちろー。俺は孝一な!」


「俺は彰!」


「遥です、よろしくお願いします」


そういった具合で自己紹介は進んでいく


「よろしく」


「遥ちゃんには手出しちゃ駄目だよ」


「出しませんよ、雪さんってそういう趣味ですか?」


「違うよ、私は可愛いは正義って言う信条のもとに動いてるだけさ!!」


「可愛いは正義?」


そういって彼は首をかしげる。


(あ、あなたも可愛いかったですね!)


「君は?」


そういうと彼はもりりんに話しかける。


「僕はもりりんだ」


「いや、名前を…」


「総郎、もりりんは自分の名前あんまり好きじゃないから」


「そうなんですか、じゃあよろしくね。もりりんくん」


「うん!」


「というか総郎って……」


「総一郎、だから総郎」


「姉さん~!!」


どうやら瑠璃が探しに来たらしい。


「だから言ったのに」


もりりんは呆れ顔である。


「それじゃあ私はこれで!!」


「はい、ではまた」


総郎に別れを告げると私は急いで瑠璃のもとへ向かう


「姉さん、心配したんだよ!!」


「ごめん」


「またそんな格好で………」


瑠璃のお小言を聞きながら私たちは家へと帰った。

沖田総一郎、幕末とか好きな人はもうわかっちゃうと思います!!

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