看護
目が覚めるとそこは見慣れた自室の天井だった。
「大丈夫、姉さん?」
目の前には弟がいた。
「うん、心配かけてごめん」
すると瑠璃は私のおでこに手を乗せた。
「うん、熱はないみたいだね」
「瑠璃?」
「心配だったんだ、今まで自分の失敗以外で一度も体調を崩したことのない姉さんが急に倒れるから」
聞き捨てならない言葉が混じっていた気はするが表情や声音から心から心配していたのだとわかるので突っ込まないでおく。
「大丈夫かい?雪」
兄が心配そうな表情で部屋に入ってくる。
「お兄ちゃん、店は?」
「お前の方が大切だよ、具合はどうだい?」
そういうと兄は瑠璃と同じように私のおでこに手を乗せる。
「ないみたいだね、本当によかった」
「姉さん、一応お粥作ったから食べて休んでなよ」
「雪、心細かったら僕たちを呼ぶんだよ?すぐ駆けつけるから」
なんて優しくて温かいんだろう。とても幸せだ。前世での私の家族はどうだったんだろう。思い出せないーーーーー。
「それじゃあ僕たちは行くからね」
「うん、ありがとう。お兄ちゃん、瑠璃」
二人は部屋を出ていったーーーーーー
ー
(そうだ、思い出したこと書かなきゃ)
私は引き出しから紙と筆と硯を出した。
「姉さーーーー」
「!!…………瑠、瑠璃?」
其処にはつい先程部屋から出ていった筈の弟がいた。
「…姉さんがじっとしているわけないと思ったんだよ」
そういうと弟は私から紙と筆と硯を取り上げた。
「ああっ!!」
「後で返すから」
そういうと弟は部屋を出ていった。情報を纏めるのは明日になりそうだ。
とりあえず私は弟が作ったお粥を平らげふて寝することにした。