表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生少女は生きることに全力です  作者: 宵螢
ここは乙女ゲームの世界らしく、もう開始してるけど肝心なヒロインの性格があれなので大丈夫とたかをくくっていたらフラグが乱立していたようです
10/23

それは運命か偶然か

総一郎視点です!!

京に着いた初日、僕はこっそり町へ来ていた。目当てはもちろん甘味処だ。


甘味処に入ると女の子が注文を聞きにやってくる。


最初は可愛いなって、ただそれだけだった。


しばらくすると柄の悪い男たちが入ってきて、さっきの女の子を転ばせ脅していた。


「言いがかりはよしてもらえませんか?私何もしていなんですが」


彼女はさっきとはうってかわって無表情になっていた。


周りを見ると哀れみの目や同情の言葉を少女ではなく男たちに向けていた。


助けなくていいのだろうか?


そう思っていたら少女が男を投げ飛ばした。


周りの人間の目はこういう行動が起こることを予想した上でのものだったのか。正直とても信じられないようなものを見た気がする。


男の一人は刀を抜き、それを振り上げ今度こそ危ないと思い僕は少女に駆け寄ろうとした。


しかし彼女はそれをあっさりとかわしまたもや攻撃する。


ああ、なんてーーー


(なんて面白い!!)


大の男が揃いに揃ってたった一人の少女に負けたのだ。


僕は堪らず机に突っ伏して笑いを堪えるのに必死だった。


~~~~~~~~


それから数日後、僕は子供たちと遊びたくなってこっそり抜け出し、寺へと足を運んだ。


寺を覗くと子供たちと少年が一緒に遊んでた。


「あの…僕も混ぜて貰っていいですか?」


「いいですよ、皆は?」


「雪お姉ちゃんが言うなら」


彼女の名前は雪と言うのだろうか?「いいで!」


「ありがとうございます!あ…………あなたはこの間の人ですよね!!」


よくよく見ると彼女はこの間の少女だった。


「…………?」


どうやら彼女は僕のことがわからないらしい。当然なのかもしれないが。だが、まさかここで会えるとは思っていなかった。


「この間甘味処で男の人達に啖呵切ってた人!!」


知らず知らずのうちに僕の声音は弾む。


「…………あ、この間の敵!!」


「え?」


予想外の答えだった。もしかして彼女は僕の敵だろうか?だとしたらやはり斬らなければいけない。


「て、敵ですか?」


一応僕は確認しようと悟られないように聞く。男性は目にみてわかるぐらい動揺していた。

「だって私のこと見ていて笑っていたじゃない!!」


「え、そんなことで?」


まさかそんなことで彼女に敵認定されてるとは思わなかった。どうやら今のところ斬る必要はないらしい。


「うん!」


僕は拍子抜けしてしまった。子供たちは飽きれ顔である。


もう我慢できない。


「プッ………あはは!!あなた本当に女性ですか!?子供たちもこんな反応だし」


僕は思わず笑ってしまった。今度は彼女の方が呆気に取られたように驚いている。


しかし、彼女は僕の反応を見て完全に敵と認定したようだ。


「……勝負だ」


彼女はどこからか木の枝を持ってきて一本を僕の方になげ、もうひとつを構える。


「面白そうですね!手加減はしませんよ!!」


彼女は怯むことなく、ただ剣をかまえた。


「俺はあの男にかける!!」


「私は雪お姉ちゃんに!!」


「僕は雪がやられたら面白そうだから彼に!!」


「人で賭けするな!!」


子供たちが賭けをはじめ、彼女は何やら不満のようだ。


~~~~~~~~~


「はぁ!」


「うっ………まだまだぁ!!」


あれから彼女は僕に負け、何度も何度も諦めずに立ち上がり、そして負けると言うことを幾度も繰り返している。


「諦め悪いんですね」


何度倒れても、それでも立ち上がっては立ち向かう


彼女はそこらにいる浪士よりは強いし正直その根性は尊敬に値するだろう。


なによりも彼女の目には強い意思が宿っていたし僕も夢中になってしまったのは紛れもない事実だ。


それに僕が本気を出しても倒れないのはある意味珍しいだろう。


「そろそろ勝負はおしまいにしないと」


「もりりん!?」


もりりんと呼ばれる少年が余った木の枝で僕の一撃を止めていた。


(こんな子供が……信じられない)


彼はきっと将来有望な剣士になるだろう。


「雪、そろそろ帰らないと瑠璃達が探しに来るよ?」


「…………あ、帰らないと!!」


彼女は途端に握っていた木の枝を少年に押し付ける。


「プッ…………本当にあなたって!!」


僕はまた笑ってしまった。だって誰が予想するだろうか?勝負に決着が着いた理由が人が迎えにくるからだなんて。まるで子供のようだ。


「まさかこんな終わり方をするなんて…………ねえ、良かったら友達になりましょうよ!!」


「え?嫌だ」


「即答ですか!、ほら、昨日の敵は今日の友って言うでしょ?」


「……そうだね、うん。私は千藤(せんどう)白雪だよ。好きなように呼んで」


意外と丸め込みやすかった。


「じゃあ雪って呼ばれてるようなので雪さんと呼ばせていただきますね。僕は沖田総一郎です、よろしくお願いしますね」


「よろしくな!そーいちろー。俺は孝一な!」


「俺は彰!」


「遥です、よろしくお願いします」


そういった具合で自己紹介は進んでいく


「よろしく」


「遥ちゃんには手出しちゃ駄目だよ」


「出しませんよ、雪さんってそういう趣味ですか?」


「違うよ、私は可愛いは正義って言う信条のもとに動いてるだけさ!!」


彼女はやはり面白い人間だ。


「可愛いは正義?」


正直彼女が何を言いたいのかはわからない。


「君は?」


そういうと僕はもりりんと呼ばれていた話しかける。


「僕はもりりんだ」


「いや、名前を…」


「総郎、もりりんは自分の名前あんまり好きじゃないから」


「そうなんですか、じゃあよろしくね。もりりんくん」


「うん!」


「というか総郎って……」


「総一郎、だから総郎」


なんて単純な名前なんだろう。


「姉さん~!!」


どうやら彼女の弟?らしき人間が探しに来たらしい。


「だから言ったのに」


もりりんくんは呆れ顔だ。


「それじゃあ私はこれで!!」


「はい、ではまた」


彼女は急いで弟のもとへ向かう。今度からはここに通おう。


「それじゃあ君たちもそろそろ帰らなきゃ」


「うん、またな。そーいちろー!!」


「またな~!」


「……またね、総一郎お兄ちゃん」


遥ちゃんだけ反応がおかしい。どうしたのだろうか?


「遥ちゃん、どうかした?」


「ううん、なんでもないのっ……!!それじゃあね!」


そういうと遥ちゃんは走って行ってしまった。


どうしたのだろうか?


「……………こんなところにいたのか」


「あれ、どうしたんですか?斎藤さん」


「お前が帰って来ないから探しに来たんだ、総司」


「わかってますよ~」


「まったく………ここで何をしていたんだ」


「………僕とても面白い人見つけたんですよ、その人と友達になったんです!!」


「まさか長州ではあるまいな」


「それはありませんよ~」


貴女に会いたい。ああ、早く明日になればいいのに。

はい、ということで沖田総一郎は攻略対象の沖田総司でした!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ