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白昼夢

作者: 西山久美子

あなたは雨の中、家路を急いでいる

暗い空、もう夜になる

道の右側には雑木林

道は どんどん暗くなる


一歩 歩くごとに はねる泥にあなたは顔をしかめた

道は土がぬかるみ、歩きづらい

足元の汚れが気になる

帰ってからの手入れを考えなら歩いていた


ふと、傘を上げ 前を見ると雑木林に影が見えた


影は道に近づいてくる

あなた足を止めて様子をうかがった


信じられないものを見た

巨大なヘビ

ゆっくりと道に出てきてあなたの向う方向に向かっていった


あなたは驚きに固まっている

もうヘビは見えない


” まぼろし? ”


疲れているんだと言い聞かせているうちに正面からまた影が…


さっきのヘビが戻ってきた

恐怖を感じる

動く事も出来ずにいるうちに、ヘビは元来た雑木林に戻っていく


ヘビの腹は大きく膨れている

まるで人間を飲み込んだように…

” 人間!? ”

自分の想像にゾッとした


不吉な予感がする

向こうには何がある?

あなたはヘビが見えなくなると走った


家が心配だ


走って走って家に帰り

家の中を見てまわる

いつも通りの家、家族

安堵から膝が崩れ、へたり込んだ


あなたは 息も荒く、何も耳に入らない

何を言っていいのかも判らない


息が整い、足元に目がいった

泥がない!!


あなたは思い出す

家に帰る道に、あんな道はない事を

心臓が早鐘のように打つ


” 私は一体どこを通ったのだろう? ”



あなたは落ち着くと なんだかホッとして笑い出す

あんな変な白昼夢を見るなんて… すごく疲れてるんだ


あなたはゆっくりと休む事にした

その晩は夢も見ないほどぐっすり眠った




翌日

あなたは雨の中、家路を急いでいる

暗い空、もう夜になる

道の右側には雑木林

道は どんどん暗くなる


一歩 歩くごとに はねる泥にあなたは顔をしかめた

道は土がぬかるみ、歩きづらい

足元の汚れが気になる

帰ってからの手入れを考えなら歩いていた


ふと、傘を上げ 前を見ると雑木林に影が見えた


” あ! これは…昨日の白昼夢? ”


あなたは思い出す

家に帰るのに、こんな道がない事を

頭の中がぐるぐるする

迷路に迷い込んだ気分


影をぼんやり見る


巨大なヘビが出て来た

また向こうに行くのだろう

ぼんやりと見つめる


道に出てくるヘビ

ヘビは…あなたの方に向かってきた


” 昨日と違う!! ”


あなたはあわてふためくが

足が動かない


ヘビは真っ直ぐあなたを見る

その目から目が離せない


足は動かない

ヘビはあなたを見てる


『 さあ、どうする? 』

嘲笑の声が脳内に響く


足は動かない

ヘビはじっと見てる…

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