第8話 高雄山の秘密(1)
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バスは暫く街中を走っていたが、徐々に辺りに見える建物も少なくなり、今は鬱蒼と木々が生い茂る山道を走っていた。どうやらこの島で最も標高の高い高雄山を登っているようだ。
高雄山といえば軍が管理している山で、一般の人は入山が規制されている山だ。
以前には他国の工作員がこの山に侵入し、警察に逮捕されるという事件も起こっている。
シーナはこの先に何か重大なものがあると確信した。
寮を出発して1時間半近く経つ頃、バスは停車場に停まった。その先に舗装された道は無く、登山道が続いていた。
「ここから先はバスで登れないから、歩いて登るぞー」
そう言って教官は学生にバスを降りるよう指示する。
学生全員がバスを降りた後、教官を先頭に一列で登山道を登った。余り使われていない登山道なのか草が生い茂り、道を示すのは道の端に固定されたロープだけであった。
登り始めて20分位経ったころ、早くも千紘が弱音を吐き出した。
「シ〜ナ〜、疲れたよ〜。登山なんて尋常小学校の遠足以来だよ〜…この先に何があるのかも聞いて無いのに、モチベーションも上がらないよ〜」
「うーん……島で一番高いって言っても、高雄山は600m弱の山だから、もう少しで山頂だと思うんだけど……。
もしかしたら、山頂で綺麗な景色を見ながら晩餐会をするのかもしれないよ!あと一踏ん張り、頑張ろうよっ‼︎」
シーナはグッと親指を立て、千紘を励ました。それこそ、晩餐会が用意されてるというのは千紘を励ます為に咄嗟に思いついたウソであったのだけれど……
「ご飯♪ご飯〜♪」
千紘は先程とはうって変わって、目を輝かせながら登っていた。
シーナは、『千紘、ごめんね……』と心の中で思いながら、少し自責の念に駆られていた。
それにしても、軍が隠しているものは何なのか、シーナは気になっていた。他国の工作員を逮捕してまで隠す重大な物を、士官学校に入りたての私達が見てもよいのだろうか…⁇
更に10分ほど登ったところで、遂に山頂に到着した。
辺りの様子から晩餐会が開かれる訳ではない事を悟った千紘は、その場で愕然とし、シーナの方をじっと見つめ、ムーっと頬を膨らましている。ごめんね、千紘……!
山頂一帯は、頑丈そうな鉄柵で囲まれており、警備レベルの高さが窺えた。
教官は登山道の延長線上にある扉の鍵を開け、誘導する。
鉄柵の先には、草や蔓に覆われたある物が辺りに散在していた。
「これは……建物……⁇」
見る限り、破壊された建物の残骸のようであった。しかしそれらは明らかに現代の技術の代物では無い事が直ぐに分かる。
現代の建物は、木造が主流である。行政機関の建物や、大金持ちの邸宅などは煉瓦造もしくは石造だ。しかしこの建物はそのどれにも当てはまらない。強いていうなら、『人工の石』というのだろうか。継ぎ目が無く、ひび割れた隙間からは錆び付いた棒状の金属が見えた。
他にも、付近には巨大な電信塔の残骸のような物も確認できた。これも同じく現代の技術を圧倒的に凌駕している。
他の新入生も、この得体の知れない瓦礫を目を丸くして見つめている。
シーナが瓦礫に目を奪われていると、少し離れたところにいた千早が、興奮気味に手招きをしながらシーナを呼ぶ。
「シーナ、こっちこっち!ここに文字板がある!」
シーナが駆け寄ると、そこには立派な門柱が横たわっていた。正面には金属板がはめ込まれている。
「防衛省……⁇」
シーナは聞いたことの無い組織名に首を傾げた。『防衛』と書いてある通り、国防関係の機関であることは間違いないのだけれど、敷島皇国でそれを担っているのは陸軍省と海軍省である。
旧八洲国の国防機関だろうか……?
いや、ここまで技術が発展していたという話は聞いたことが無い。第一、敷島皇国の技術でさえ、この瓦礫の技術水準に到底到達していないというのに…
いろいろと検討してみた結果、シーナは一つの結論にたどり着く。
(古代文明の遺跡……⁉︎)
その時、鉄柵の扉がガチャッと開く音が聞こえた。
振り返ると、北白川校長とそのお付きの者がこちらへと近づいてくる。
「新入生諸君、整列ッ‼︎」
教官が校長が到着した事に気付き、学生に号令をかける。
瓦礫を眺めていた学生達は、突然の号令に驚きながらも、迅速に教官を基準にして整列を終えた。
「校長、お疲れ様です」
教官はビシッと美しい敬礼をする。
「いやいや、ワシも歳を取ったもんじゃわい。若い頃には駆け足で登れたものを……」
そう言って、校長はゆっくりと学生の前に立った。
「一同、敬礼ッ‼︎」
新入生一同は校長に敬礼し、校長もそれに返す。
「では、この『遺跡』の説明を始めるかのう。」
そうしてこの遺跡に関する校長の説明は始まった。
イラスト提供:もっち様