第6話 上陸目前
長らく更新できず、申し訳ありませんでしたm(_ _)m
一度書き上げた原稿が手違いで消えてしまったりと、いろいろあって遅れました(>人<;)
読んで下さっている方、本当にありがとうございます!m(_ _)m
Twitter:@shinkoku0
船の小窓から、朝日が差し込む。
「ん……眩しい……」
とシーナは目を擦りながら身体を起こした。
洗面台の方から、水を流す音が聞こえる。どうやら千早は既に起きているようだ。
シーナが腕を上げて伸びをしていると、シーナが起きた事に気付いた千早が、
「シーナ、そろそろ準備しないと遅刻するよー!」
と顔を拭きながら言う。
ようやく眠気が覚めてきて、そそくさと二段ベッドから降りたシーナは、急いで支度を済ませた。
朝食の時間が迫り、2人は急いで食堂に向かおうと扉を開けると、千紘と友穂が近くの壁に寄りかかって話していた。
どうやらシーナ達を待ってくれていたようだ。
千紘がシーナ達が出てきた事に気づき、少し眉を吊り上げて、
「シーナ達遅いよっ‼︎ 寝坊したらダメじゃんっ‼︎」
と両手を腰に当て、口をムーっと膨らませている
それを見ていた友穂は、千紘の頭をパシッとはたき、
「千紘も私が何回起こしても起きなかったじゃない!」
と一喝し、シーナ達に朝の挨拶をする。
シーナは返答に迷いつつ、
「私も朝は弱いの。今日もなかなか起きれなくって……ごめんね!」
と簡単に謝った。
千紘は友穂に自分も寝坊した事をばらされて恥ずかしかったのか、
「わっ、分かったなら良いのっ!」
と、少し顔を赤くして一言言い、そっぽを向いた。
そうしてシーナ達は食堂へ向かった。
食堂には、なんとか時間内に着くことができ、端の方に空いていた席に向かい合うようにして座った。
長机の上には、1人ずつの食事が事前に用意されており、朝食のメニューは白米、味噌汁、漬け物、鮭の塩焼きだった。
昨晩の食事と比べると少し質素に感じたが、この船の調理師の腕が良いのか、とても美味しかった。
最初は少し質素な食事に難癖をつけていた千紘も、食事が始まると黙々と食べていた。
食事が終わると、昼食まで自由時間であると連絡があり、4人はシーナ達の部屋に集まり雑談をしていた。話の内容は専ら軍学校の話であった。
話が盛り上がってきたところで、友穂がある話を切り出した。
「みんなはどの科に志願するの⁇」
シーナ達は一斉に、
「「「飛行兵科‼︎」」」
と口を揃えて答えた。
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敷島皇国陸軍士官学校は、戦略科、歩兵科、砲兵科、兵器設計科などの多くの科から構成されており、学生はこの中から一つを選択し、訓練を行う仕組みである。
飛行兵科は少し特別で、女学生しか志願出来ない。これは男子と比べ、体重が軽い事など、幾つかの利点があるという事が理由らしいが、真相はこの軍学校創設者の朝香宮殿下しか知らない。
このように、他の学科と比べ少し異質な学科飛行兵科は、女学生にとても人気の高い学科となっている。
また、近年開発されたとされる新型の戦闘機の噂も、その人気を更に煽っている。
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「みんな飛行兵科なんだね、私もだよ!」
「みんな一緒で良かったね、みんなで頑張って行こうよっ‼︎」
とシーナは笑顔を見せ、みんなで「おー!」と掛け声をあげた。
雑談に夢中になっているうちに、正午になった。
シーナ達は先程の食堂で昼食を済ませた後、千紘達と別れて各自の部屋に戻り、荷物の整理をしていると、放送が流れた。
-新入生の皆様、本船は間もなく高雄島に入港致します。各自の荷物を持ち、降船口前にお集まり下さい-
船の小窓から外を観ると、美しい島が見える。丘の上には白く輝く校舎も見え、シーナは大きく心を躍らせた。
「千早ー、向こうに高雄島が見えるよ。本当に一つの街みたい!」
士官学校の施設を中心に、放射線状に道路がのびていて、その道路はそれぞれ商店街や住宅街となっている。行政の建物なども見られ、あたかもそれは「一つの街」のようであった。
どれどれと千早が窓を覗き込む。
「ほー、あれが有名な大講堂ね。立派な建物ね、とても綺麗!」
と感心していた。
シーナと千早は荷物の整理を終え、下船口に向かった。廊下は大きな荷物を抱えた新入生達でごった返しており、揉みくちゃにされながら何とか下船口にたどり着く事が出来た。
降船口前では、出身地別に整列させられた。恐らくこのまま大講堂で入学式が行われるらしい。シーナ達は迫る上陸に心躍らせながら、下船の時を待った。
イラスト提供:もっち様