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新国-神国-のフラリッシュ  作者: 楠林 シン
-第2章-入学編
3/28

第2話 旅立ちの時

Twitter:@shinkoku0

こちらもよろしくお願いします!m(_ _)m

独立戦争が終結して早11年、今年もこの港町に春が到来した。まだ日が昇って間もないためか、少し肌寒い。街の桜並木の下には、ぽつりぽつりとお花見を楽しむ人々が、賑やかに宴会を楽しんでいる。


「シーナ、おはよう!」

隣家に住む幼馴染の朝風千早が、大荷物を持って、シーナの家先に来て挨拶をする

真新しい軍服を着ており、肩章には金色の三ツ星が輝いている


シーナは庭の花々に水をあげている最中で、じょうろを軒下に置き、

「千早、おはよう!いよいよ今日からだね、一緒にがんばろうねっ!」


「うん! ところで早くしないと、予定の船に乗れなくなっちゃうけど、シーナは大丈夫なの⁇」


「大丈夫。私、待ちきれなくて3日も前から用意してるから!」


シーナな一旦室内に戻り、身支度をして玄関に向かう。


「シーナ、良く頑張ったね。晴れて陸軍士官学校の一年生じゃない! これからいろいろと大変な事もあるだろうけれども、元気でやるんだよ。お父さんも、きっと応援しているよ」

シーナの母親はシーナにこう告げ、嬉しさと寂しさの混ざったような、ぎこちの無い笑顔を向ける


「うん、ありがとう、お母さん……」


「何?」


「今まで、お世話になりました。お父さんが居なくなってからも、女手一つで私を育ててくれて…私は必ず立派な将校になって戻ってくるから、お母さんは心配しないでね。」


母親の目に、大粒の涙が伝う

「ありがとう、シーナ……」


「じゃあ、行ってくるね」


シーナは玄関の棚に大切そうに飾られた父親の写真に、

「行ってきます、お父さん……」

と一言告げ、家を去った。


港に着くと、「歓迎、陸軍士官学校新入生の皆様」と書かれた横断幕が吊るされた陸軍の大型輸送船が停泊していた。

乗船口の前で、若い将校が乗船の確認をしている。


シーナと千早は、まだまだぎこちない敬礼をしたのち、

「私は陸軍上等兵、高坂シーナでございます」

「同じく陸軍上等兵、朝風千早でございます」

挿絵(By みてみん)


将校は、手にした帳簿に何やら書き込んだ後、

「2人共、合格おめでとう。これから君たちの身辺のお世話を担当する陸軍中尉の岡田征一郎だ、以後よろしく頼む。私の事は、教官と呼んでくれ。分からないことなどがあれば、何でも私に聞いてくれ」


その若い将校の名前を聞いた瞬間、シーナは少し顔をこわばらせた。千早に肘で返事を急かす合図をされ、はっ!と正気に戻る

「「お世話になります!」」


「いい返事だ! 君たちの部屋はAデッキにある。新入生歓迎晩餐会まではまだ時間がある。荷物を置いて、少し休息をとるといい。」


「「ありがとうございます!」」


「岡田教官、一つお聞きしたい事があるのですが‼︎」

軽い挨拶を済ませ、教官室に向かう岡田教官を、シーナは呼び止める


教官は振り向き、

「どのような質問かね?」と答える


「岡田教官は、独立戦争で南方地域制圧隊の隊長を務めた岡田整一大将のご子息で御座いますか?」


岡田教官は、シーナの質問に少し驚いた様子で答えた

「そうだが」


「私の父である高坂秀也が、独立戦争の際お世話になりました。父はいつも、岡田大将の下で働かせて頂けて幸せだと言っておりました」

続けて、

「岡田大将の戦場での判断力、統率力、また、人間性についてとても尊敬していたらしく、生前父から何度も岡田大将についてのお話を聞きました。父が尊敬する岡田大将のご子息である岡田教官の下で学ばせて頂けるという事に、私は大変感激しております!」


岡田教官は何か確信を得たような表情をして、

「あぁ、名簿を見た時、そうではないかと思っていたが、やはり高坂大尉の…私も高坂大尉のお話は父から聞いている。威勢が良く、大変立派な指揮官であったと言っていた。大尉の殉職については、大変残念に思う……」

と少し顔を曇らせた


「父の事をお気にかけて頂き、大変恐縮です。ご迷惑をお掛けする事もあるかと思いますが、精一杯努力致しますので、これからご教授の方をよろしくお願い致します‼︎」


「お父様に似て、良い心を持っているようだ。期待しているよ。では、私は失礼する」

そうシーナに告げ、教官は教官室に向かった。


シーナと千早も、教官が乗船した後、自分達の部屋に向かった。


部屋は2人部屋で、シーナと千早は同室であった。

2人は部屋に入り、荷物を簡単に整理した後、ベッドに腰を下ろした。


「私たちの教官、優しくて誠実そうな方で安心したね!」

千早がほっとした表情で言う


「うん、まさか岡田大将の息子さんの下で学ばせてもらえるなんで、私たち運がいいねっ! 充実した学校生活が送れそう‼︎」

自然にシーナの顔からは笑みが溢れる


シーナ達が雑談をしていると、船内放送が掛かった

「新入生の皆さん、これより当船は陸軍士官学校のある高雄島に出航します」


煙突から吹き上がる黒煙がより勢いを増し、スクリューが回り始める。


シーナ達を乗せた汽船は、少しずつ前進を始め、港を後にした。


〈解説〉

・朝風千早

シーナの近所の幼馴染。シーナと共に陸軍士官学校の入試試験を受け、見事合格。優しく気が利き、真面目な性格をしている。


・岡田征一郎

シーナ達の教官で、時に優しく、時に厳しいよい教官である。階級は中尉。父親は独立戦争て南方地域制圧隊隊長として活躍した岡田整一大将である。


〈イラスト:花*花様〉

第2話を最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます!


毎回投稿する度、小説内での時間が前後してしまい、大変申し訳ございません!>_<

今回の回から、時間軸に沿ってお話を進めていきますので、どうかご勘弁を…m(_ _)m


さて、前回投稿した際のお話ですが、ついに3人もの方が、この小説をブックマークに登録して下さり、2人の方が、評価をして下さいました‼︎

私は嬉しすぎて、つい友人たちに自慢気に話してしまいました!(笑)


これからも、『新国-神国-のフラリッシュ』をどうか宜しくお願いします!m(_ _)m



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