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新国-神国-のフラリッシュ  作者: 楠林 シン
-第3章-一年生編
22/28

第21話 通常日課初日(3)

昨日に引き続き投稿が遅れましてすみません(>人<;)


もう少し早くに投稿できるように努力します!

昼食が終わると1時半から4時半まで、実科が2時限行われる。

この実科では、自分の所属する学科の専門的な実務訓練が行われ、学校を卒業してすぐに実践に参加できる精鋭を育成しているのだ。


午前の授業は正直退屈だったけど、午後の実科は楽しみだなー!


シーナは少し浮かれ気分で実科の授業がある体育館に向かった。


……


「飛行兵科の皆、私が実科を担当する中尾鉄子だ!昨日ぶりだな。宜しく頼む。」

そう挨拶する中尾教官の右手には、竹刀が握られている。


えぇー!実科の担当教官って、中尾教官なの⁉︎


衝撃の発表に飛行兵科の皆の顔色が急速に悪くなる。特に初日に文字通り痛い目をみた千紘の顔色は尋常ではない。小刻みに震え、深くうつ向いたままだ。


中尾教官は竹刀を肩に掛けた状態で、説明を続ける。相変わらずの迫力だ。

「今日は、皆の体力測定を行う。最初に皆にどの位の身体能力があるのか知っておく必要があるからな!まずは持久走だ。この体育館のトラックを一時間で走れるだけ走ってもらう。後で自分の周回数を申告するように。では、準備にかかれ!」


一時間も走るの⁉︎しかも走れるだけって……やっぱり厳しい指導なんだなぁ……


シーナ達は準備体操で体をほぐした後、トラックに整列する。


「準備が出来たようだな。では、始め‼︎」


中尾教官の合図で、一時間の持久走が始まった。学生は一斉に走り始める。


始めの方は、ちょっと力を抜いて体力を温存しておいた方が安全かも……


シーナは体力を計算して少し後方にまわって追従する。


エルフは元々人間よりも運動能力に長けているので、先頭集団は殆どエルフの人たちだった。まあ、ロゼのように運動が苦手なエルフもいるのだが……

シーナも半分はエルフの血が流れているので、運動には多少の自信があった。


「尚、一時間走り切れなかった者は夜7時からの自習時間に補習を行うので覚悟するように‼︎」


……‼︎


これは、本気で取り組まないと……!


シーナのその握りしめる拳に、一層力が入る。


タッタッタッタッ


開始10分後、まだ脱落者は出ていない。


「ロゼ、最後まで走り切れそう?」

たまたま近くを走っていたロゼに、シーナは中尾教官の目を盗みこっそり話しかける。


「そうですわね……ちょっと厳しいですけど、頑張ってみますわ!それよりも、千早さんと友穂さんが心配ですわね……」


確かに、千早は小さい頃からそんなに運動が得意じゃなかったから、大丈夫かな……


開始30分後、ついに1人目の脱落者が出た。


「まだまだ気合が足りんぞ!根性を見せな!」

と中尾教官は竹刀を地面に叩きつけながら叫んでいる。一層体育館内の緊張感は高まる。


何としても、最後まで走りきらないと……!


それから暫くして近くに千早を見つけたが、やはり苦しそうな表情をしていた。

「千早!まだ走れそう?」


「……はあ、はあ……もう、厳しいかも……」

足もおぼつかない状態で、いつ倒れてもおかしくない。


補習はかわいそうだけど、これ以上走ったら、体を壊してしまうかも……!

そう考えたシーナは、千早に離脱するように説得する。


「無理しない方が良いよ!顔色も悪いし、この辺でやめておきなよっ!」


「……うん、そうだね……」


そう言って千早はトラックから離れていった。


ごめんね、千早……!もしかしたら御節介だったかな……


少し申し訳ない気持ちになりながら、シーナは走り続ける。


ハァ、ハァ、ハァ……

50分が経過した。約4割の人たちが離脱し、友穂もその中の一人だ。残ったメンバーも疲れきっている。シーナも例外ではない。


「ハァ、ハァ……あと10分か……。もう少しだ、頑張ろう‼︎」

そう自分に言い聞かせ、弱った体に鞭打ち最後の力を振り絞ってスピードを上げた。


……


「はい、そこまで‼︎皆お疲れさん‼︎」

その中尾教官の言葉で、やっとシーナたちはこの苦行から解放された。


「ハァ、ハァ、ハァ……つ、疲れたー」

シーナはその場に倒れこむ。喉がカラカラで足も痙攣していた。周りをキョロキョロと見渡してみると、ロゼもまたなんとか完走出来たようだ。


最終的に最後まで走り切れたのは全体の4割位であった。何という過酷な訓練なんだ……


「走り切った人は、随時私に周回数を申告するように!」


最初は後ろの方を走っていたシーナだが、最後の10分で驚異的な追い上げを見せ、最終的に記録は134周だった。なかなかの好成績だ。


良かったー!だいぶ調子も良かったし、善戦かも!

期待以上の好成績に、シーナは半ば浮き足立った気持ちでいた。


「よし、全員の記録が出揃ったぞ!では、上位3人を発表する。」


もしかしたら、私も入っているかも……

少しシーナも期待していたが、すぐにその幻想も打ち砕かれる。


「では、発表する。3位は137周の中井 千紘!2位は145周でアイグナー ヘラ!そして、一位は……178周で坂崎ヒナ!良く頑張ったな!」


おぉー!と、周りからは声援が上がりパチパチと拍手が贈られる。


あともう少しだったのに、残念!

シーナは拍手を贈りながらも少し悔しい表情をしていた。


ヒナはダントツの1位だね!本当に文武両道で尊敬するよ!そして、2位がアイグナーさんで、えーっと、3位が……千紘⁉︎


拍手を贈られる先で、「エヘヘへ〜」とにやけている千紘がいた。


千紘って、飛び抜けて運動神経が良かったんだ……見直したかも……


千紘の運動神経が抜群という隠れた一面が発掘され、千紘の事を少し見直したシーナであった。

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