第20話 通常日課初日(2)
2日ぶりの更新です!
ギリギリ今日中に投稿出来てよかったです!( ´ ▽ ` )ノ
授業開始の8時半が近づき、シーナたちは大講義室へ移動する。12時20分までに4コマの座学授業が午前中の授業として組み込まれていた。
また、午前中の座学授業は全学科共通のため、合同で授業が行われる。大講義室に入ったシーナは一年生約300人が教卓を扇型に囲う様子に圧倒された。
みんなに遅れを取らないように、しっかり授業を受けないと……!最低でも、単位は落とさない程度には!
シーナは疲れと眠気に負けないよう、気合いを入れ直す。
……
シーナは必死に板書を写していた。
「Guten Tag! Wie heißen Sie?」
「Guten Tag, ich heiße Kousaka Shina.」
カリカリカリカリ……
一限目は、外語1の授業であった。高等中学校までは外語の授業は無かったので、シーナはとても新鮮に感じた。敷島皇国の言語とは文字も文法も異なるので、まるで宇宙人の言語のようである。この言語は、隣国であるパサート王国で使われている言語らしい。
「では、問3の答えが分かる方」
「はい!」
「では、バーテンさん」
「はい、問3の解答は Ja, ich höre gern Musik. だと思います。」
「問題ないですね、正解です!」
ロゼ、ヒナなどの熱心な学生に先導され、授業は進んでゆく。それに比べて千紘は朝食が食べられなかったためか、はたまた授業が嫌いなだけか、初回の授業から豪快に机に突っ伏して寝入っていた。
「おはよう、Guten Morgen. ありがとう、Danke schön. どういたしまして、Bitte schön.それから……」
シーナも必死に授業についていこうとするが、やはりここは天下の陸軍士官学校。そう容易いものでもない。シーナは苦戦していた。
うーん……これまで外語ってやった事が無かったから、結構難しいな……ここと、ここと、あとここは自習の時間にロゼたちに教えてもらおう!
と、ロゼたちに頼みの綱を託す。
2時限目も外語1に続いて外語2の授業だった。士官学校在籍中に、計5ヶ国の言語を習得する必要がある。
この様に、敷島皇国の陸軍士官学校は外語の教育に大変力を入れている。それは、将来戦地に現地指揮官として派遣された際に、敵軍や他国同盟軍と円滑に条件や協定について話し合いをするためだ。
しかし、これまで外語に全く触れたことのない一年生たちには大きな障壁となる。外語は新入生の一番の強敵である、というのは、士官学校内では有名な話である。
2限目の休憩時間にシーナとロゼは、その問題の外語について話していた。
「ロゼー、さっきの外語の授業、理解できた?」
「ええ、一応私なりには理解しましたわ!これまで外語には触れてこなかったので、少し厄介でしたけれど」
「そうなの⁉︎私は何ヶ所か理解できなかったよ……ごめん!放課後の自習時間に少し教えてもらっても良い?」
シーナは両手を合わせて申し訳なさそうに懇願する。
「えぇ!大丈夫ですわよ!私で良ければ」
「本当⁉︎ありがとう!ロゼ!」
シーナ以外にも、教室のあちらこちらでそのようなやり取りが行われていた。
3時限目と4時限目は、数学と歴史の授業だった。授業の最初のためか、高等中学校の復習が授業の大半を占めていて、先ほどの外語のように特段難しいという感じではない。シーナも自分である程度理解できたため、ひとまず安心していた。
「では、これで午前の授業は終了!各自食事をとって、一時に各学科の指定場所な集合するように、解散!」
教官の解散の号令と同時に千紘はいつもは見せない俊敏な動きで、颯爽と食堂へと向かっていった。
あれは相当お腹が空いているんだな……
シーナたちも、歩いて食堂に向かう。
……
シーナたちが食堂に到着すると、千紘はすでに自分の昼食を取り分けて席に着いていた。
「あっ!シーナほらほらっ!ここだよー‼︎」
千紘の前には、まるで輸送船での晩餐会の時を彷彿とさせる山盛りの食物が積まれていた。最近は節度ある量を取り分けるようになってきていたが、今朝の朝食抜きでまた再発したようだ。
「もう待ちきれなくって!先に食べてるよー!」
と、満面の笑みでこちらに手を振っている。
ロゼは、まるでゴミ虫でも見るかのような目で、
「まるで品のない方ですわね‼︎一向に進歩の兆しもありませんし、もはや手遅れですわ。同じ小隊であるというだけで虫唾が走りますわ‼︎」
「ちょっと‼︎別にいいじゃない‼︎私だって、好きで同じ小隊になった訳じゃないんだからね⁉︎」
いつもの口喧嘩が始まり、友穂と千早はやれやれという表情だ。
午後からの実習、楽しみだなぁー
シーナは現実逃避の癖がつきつつあった。




