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新国-神国-のフラリッシュ  作者: 楠林 シン
-第1章- 建国編
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第1話 少女の約束

Twitter:@shinkoku0

こちらもよろしくお願いします!m(_ _)m

遅咲きの桜が見頃を迎える頃、いつもだとこの小さな港町ではあちこちで長閑にお花見を楽しむ光景が見られ、歌や楽器の音が聞こえてくるところだが、この年の春は少し様子か違うようであった。これは独立戦争が革命軍の勝利によって終結する8ヶ月ほど前のお話である。


「早く観てみたいものだな!」


「なんせ、世界一巨大だという話だしな! 待ちきれないぜ!」


沿岸にある小さな港町の軍港に、大勢の人々が集まっている。皆、海の方を身を乗り出すようにして眺め、歓声をあげたり、旗を振ったりしている。


「お父ちゃん、今から何が始まるの?」

5歳の誕生日を迎えたばかりの高坂シーナは、父親の高坂秀也に見上げるようにして疑問を投げかける


「今からなぁ、鋼鉄で出来た大層大きな船が港に入港するんだ。パサート王国で造られた最新鋭の戦艦だぞ!これでヴィルトの連中に一泡吹かせる事が出来る……」

話の終盤はまるで独り言のように話した。拳には力が込められていた


歓声は一層大きくなり、港の一端では軍楽隊による演奏が始まった。沖の方から、まるで島の様にも見える巨大な鋼鉄製の軍艦が、黒煙を巻き上げながら港に入港してくる。その姿は壮観だ。


「お父ちゃんは、あの船に乗るの?」


「いいや、お父ちゃんはあの船には乗らないよ。おとうちゃんは、陸で戦うのが仕事だからね!あれは、海で戦う人が乗るんだよ」


「えー。シーナはお父ちゃんがあの船に乗るのが見たかったなー」


見ると、父親は陸軍の軍服を身に纏っている。襟の階級章には、3つの星に3本のラインが入っている。大尉である。


その船は錨を下ろし、民衆の大きな歓声を浴びる中、港に停泊した。港から革命軍の海軍将兵たちが整然と船に乗船する。


「シーナも、大きくなったらお父ちゃんやあのお兄ちゃんたちみたいに、悪い人たちと戦いたい!」


父親は、少し顔を曇らせ、

「流石シーナはお父ちゃんに似て威勢が良いな!でもね、お父ちゃんはシーナには普通の暮らしを送って欲しいと思うんだ。もし、明日突然お父ちゃんが居なくなったら、シーナは悲しいだろう?」


「うん!」


父親は続けて、

「それと同じように、シーナが突然居なくなってしまったら、シーナの大切な友人たちを悲しませてしまう。シーナには大切な人たちと、おばあちゃんになるまで幸せに暮らして欲しいな」


シーナは難しい顔をして少し考えた後、

「じゃあ、シーナは大きくなったら、お父ちゃんのお嫁さんになる! お父ちゃんのお嫁さんになって、忙しいお父ちゃんを応援し続ける!」


父親は恥ずかしそうに笑い、

「ハハハッ! シーナは可愛いなー!お父ちゃんには勿体無いや!」

と笑ってみせた。


軍艦の艦上では、革命軍とパサート王国の将兵たちが一斉に船尾の旗竿に敬礼する。旗竿にはためいていたパサート王国海軍の軍艦旗が下げられ、代わりに革命軍の軍艦旗が掲揚される。観衆の歓声は最高潮に達する。


「お父ちゃん!次はいつ会えるの?」


父親は少し寂しそうな表情をして、

「そうだなぁ、今回は南の天応の辺りまで遠征すると部隊長が仰っていたから、秋、いや、冬の始めの頃には、また戻ってくるよ!」


シーナは目に薄っすらと涙を浮かべ、父親にギュッと抱きつきながら話す

「嫌だっ、シーナはもっとお父ちゃんと遊びたい! お父ちゃんがお仕事に行かないって言うまで、離さないんだからっ!」

普段は黒色のシーナの長いさらさらの髪が突如白銀に輝きだし、耳の先端が鋭く尖った形に変形する

周囲にいた人々は、珍しいものを見るかのような目で眺めている

挿絵(By みてみん)


「おいおい、シーナ。ワガママを言ってはいけないよ」


「だって、もっとお父ちゃんと遊んでいたいんだもん。前、お仕事に出掛けた時だって、お父ちゃん全然帰って来なくてシーナ心配したんだからねっ!」


「ごめんよ、シーナ。じゃあこうしよう。お父ちゃんがお仕事に言っている間、シーナにもお父ちゃんからお仕事を与えます」


「どんなお仕事?」

シーナは少し泣きやんで尋ねる

次第に髪色も耳も元の姿に戻る


「お父ちゃんは、国を守るためにお仕事に行きます。シーナは、お母ちゃんとお家を守るお仕事をしてくれないか? 次にお父ちゃんが帰って来た時、シーナがちゃんとお仕事をする事が出来ていたら、シーナが行きたがっていた遊園地に連れて行ってあげよう!」


シーナは笑顔を取り戻し、

「本当にっ! シーナお仕事頑張る‼︎」


「偉いなぁシーナ、流石お父ちゃんの娘だ!じゃあこれは、お父ちゃんとシーナとの約束だ」


「うん、約束っ‼︎」

シーナは満面の笑みで答えてみせた


〈解説〉

・高坂秀也

高坂シーナの父親。革命軍の陸軍大尉である。シーナの事を溺愛している。


・高坂シーナ

人間である高坂秀也と、エルフである高坂アリーナ(旧姓:クーノ)の間に生まれた子。少し天然なところがあるが、明るく正義感の強い少女である。秀也の血を強く引いたためか、普段は人間の容姿だが、感情が高まるとエルフの姿に変身する。この物語の主人公である。


〈イラスト:花*花様〉

第1話も、最後まで読んで頂きありがとうございました!


昨日第0話を投稿した後、多くの方に読んで頂き、とても嬉しくなってしまって昨日の今日で第1話を書き終えてしまいました!(笑)


まだまだ文章力に欠く作品ではこざいますが、あたたかい目で見守って頂けると幸いです。


では、第2話で会いましょう!さようなら!

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