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新国-神国-のフラリッシュ  作者: 楠林 シン
-第3章-一年生編
18/28

第17話 亀裂

いつも読んで下さっている読者の皆様、ありがとうございます!


Twitterなどで応援メッセージなどを送って下さる方々、ありがとうございます!執筆活動の何よりの糧でございます!(≧∇≦)


これからも『新国-新国-のフラリッシュをどうぞ宜しくお願いします!( ´ ▽ ` )ノ

最悪な状態でスタートを切った第七小隊であったが、千早と友穂の半ば強引な、


「まあまあ、とりあえず合格お祝いと親睦を兼ねて甘味所にでも行こうよ!」


という提案のもと、シーナたち6人は学校の側にある甘味処「大和屋」に来ていた。

授業が早くに終わってしまった事もあって、店内には士官学校の制服を着た学生たちがぽつぽつと見えた。


「千早さん、友穂さん。誘って頂いてありがとう!私、友人の方々と甘味処に来た事なんて無かったので、とても嬉しいですわ!」


「いやいや、ロゼに喜んで貰えて良かったよ!これから宜しくね!」


「こちらこそ宜しくお願いしますわ!先ほどは皆様方にご迷惑をお掛けしてしまいましたので、ここは私にご馳走させて頂けると嬉しいですわ!」


それを聞いた千紘は、机の端に立て掛けられたメニュー表を間髪入れずに手に取り、目の色を変えて凝視する。

「え!ロゼの奢りっ⁈じゃあじゃあ、白玉あんみつと、黒糖饅頭と、わらび餅と、あとそれから…」


その姿を見て、一度は落ち着いていたロゼも再び顔色を変える。

「誰が類人猿の分までご馳走すると言いまして⁈あなたは勝手に食べていれば良いのですわ‼︎」


「えー‼︎私だけ奢ってくれないって訳⁈やっぱりあんたは人間の形をした悪魔だね‼︎」


「なんですってー‼︎」


2人共、机をバンッと叩き立ち上がる。再び凍りつくその場を千早と友穂が「まあまあ……」と抑える。


ここは、私が何とかしないと……


シーナも場の空気を変えるために話題を変える。

「ヒナさんは初めましてだね。これからよろしく!ヒナさんはどこの出身なの?」


「こちらこそ宜しくね。私はシューン島北方の小さな村の出身なの!」


「へぇ〜、シューン島の出身なんだ!私は軍港近くの町出身。シューン島に住んでいるって事は、エルフかエルフと人間のハーフなの?」


「いえ、私は純血の人間です。最近は国が出来て10年以上にもなるし、少しずつだけど純血の人間も増えてきているの!」


「そうなの⁈最近は人間も増えているんだね。てっきりヒナさんも私と同じエルフとのハーフかと思っちゃったよー!」


「私と……同じ…………⁇」


「…………………………⁇」


「…………………………⁇」


「…………………………⁈」


「「「えぇーーーーーーー‼︎」」」


シーナの一言に千紘、友穂、ロゼは目を丸くして驚愕する!シーナも、自分が口を滑らせてしまった事に今更ながら気付くが、既に遅い。


唯一事情を知っていた千早も、その場の張り詰めた雰囲気にオロオロとしていた。


しまった……千紘たちにはまだ私がエルフとのハーフだって事を言って無かったんだった……


激しく気を動転させるシーナに、さらなる悲劇が襲う。


「あっ、髪が!」

近くに座っていた小さな女の子が、シーナの髪を指差す。


あまりにも気が動転してしまった為に、シーナの髪は美しい銀髪に変わり、耳はツンと尖った形に変化した!そこには若くて美しい、1人のエルフの姿があった。


千紘たちはその姿を目にして、あわわわ……とただ呆然とシーナを眺めている。



あぁ……きっと千紘たちに嫌われる……



私はエルフとのハーフだって事を故意に隠していたのだから……



もっと早くに、自分から打ち明けておけば良かった……



そう考えると、シーナは急に心に冷たいものを感じ、瞳には大粒の涙が流れた。そして思わずその場に膝を落とす。もう駄目だ……まだ始まったばかり、いや、始まってすらいないのに……

挿絵(By みてみん)



すると、千紘がシーナの後ろにゆっくりと歩み寄り、ぽんぽんっと肩に手を置く。そして、いつになく優しい口調でシーナに語りかけた。


「どうしたの?目に涙なんか溜めちゃって。シーナらしくないよ。もしかして、私たちにエルフの事黙ってた事を気にしてるの?」


シーナは涙を拭いながら、おもむろに頷く。


千紘はそのシーナの姿を見て、ニコッと微笑み、

「なぁーに、そんな事私たちが気にする訳無いじゃん!そんな事で、シーナの事を嫌いになったりしないよっ!ただ突然の事だったから驚いちゃっただけ、ただそれだけだよっ!」


すると、ロゼもシーナに近寄り、

「そうですわ。私にとってシーナさんはかけがえの無い友人ですわ!気にする事なんてありませんわ!」


友穂も千紘たちの言葉を聴いて、うんうんと深く頷く。ヒナもそれを暖かく見守っていた。


みんな、私は隠していたのに……

こんなに暖かく接してくれるなんて……なんて良い人達なんだろう……


シーナはみんなの暖かさに触れて、いてもたってもいられなくなり、思わずロゼと千紘に抱きつく!


「みんなぁー、ありがとうっ‼︎」


シーナは再び目に涙をにじませながら、ありがとう、ありがとうと繰り返した。


「いっ痛いよぅ、シーナっ……」

と少し照れた様子で、千紘はシーナに応じていた。


突然訪れた第七小隊崩壊のピンチであったが、千紘たちの優しさによって全ては丸く収まった。また、シーナの心にずっとのし掛かっていた重しも、綺麗に取り払われたのであった。


「ふぅ、良かったぁ……」

と少し離れた所で終始見守っていた千早も、ほっと胸をなでおろす。


最悪な状態からのスタートだった第七小隊ではあったが、この一件によって6人の心は最初の一歩をを踏み出す事ができた。そして少しずつではあるが6人の間には「一体感」という感覚がうっすらと芽生えつつあった。

最後まで読んで頂きありがとうございます!


もし宜しければ、感想を書いて頂けると幸いです!


筆者は飛び回って喜びます!

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