第17話 亀裂
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最悪な状態でスタートを切った第七小隊であったが、千早と友穂の半ば強引な、
「まあまあ、とりあえず合格お祝いと親睦を兼ねて甘味所にでも行こうよ!」
という提案のもと、シーナたち6人は学校の側にある甘味処「大和屋」に来ていた。
授業が早くに終わってしまった事もあって、店内には士官学校の制服を着た学生たちがぽつぽつと見えた。
「千早さん、友穂さん。誘って頂いてありがとう!私、友人の方々と甘味処に来た事なんて無かったので、とても嬉しいですわ!」
「いやいや、ロゼに喜んで貰えて良かったよ!これから宜しくね!」
「こちらこそ宜しくお願いしますわ!先ほどは皆様方にご迷惑をお掛けしてしまいましたので、ここは私にご馳走させて頂けると嬉しいですわ!」
それを聞いた千紘は、机の端に立て掛けられたメニュー表を間髪入れずに手に取り、目の色を変えて凝視する。
「え!ロゼの奢りっ⁈じゃあじゃあ、白玉あんみつと、黒糖饅頭と、わらび餅と、あとそれから…」
その姿を見て、一度は落ち着いていたロゼも再び顔色を変える。
「誰が類人猿の分までご馳走すると言いまして⁈あなたは勝手に食べていれば良いのですわ‼︎」
「えー‼︎私だけ奢ってくれないって訳⁈やっぱりあんたは人間の形をした悪魔だね‼︎」
「なんですってー‼︎」
2人共、机をバンッと叩き立ち上がる。再び凍りつくその場を千早と友穂が「まあまあ……」と抑える。
ここは、私が何とかしないと……
シーナも場の空気を変えるために話題を変える。
「ヒナさんは初めましてだね。これからよろしく!ヒナさんはどこの出身なの?」
「こちらこそ宜しくね。私はシューン島北方の小さな村の出身なの!」
「へぇ〜、シューン島の出身なんだ!私は軍港近くの町出身。シューン島に住んでいるって事は、エルフかエルフと人間のハーフなの?」
「いえ、私は純血の人間です。最近は国が出来て10年以上にもなるし、少しずつだけど純血の人間も増えてきているの!」
「そうなの⁈最近は人間も増えているんだね。てっきりヒナさんも私と同じエルフとのハーフかと思っちゃったよー!」
「私と……同じ…………⁇」
「…………………………⁇」
「…………………………⁇」
「…………………………⁈」
「「「えぇーーーーーーー‼︎」」」
シーナの一言に千紘、友穂、ロゼは目を丸くして驚愕する!シーナも、自分が口を滑らせてしまった事に今更ながら気付くが、既に遅い。
唯一事情を知っていた千早も、その場の張り詰めた雰囲気にオロオロとしていた。
しまった……千紘たちにはまだ私がエルフとのハーフだって事を言って無かったんだった……
激しく気を動転させるシーナに、さらなる悲劇が襲う。
「あっ、髪が!」
近くに座っていた小さな女の子が、シーナの髪を指差す。
あまりにも気が動転してしまった為に、シーナの髪は美しい銀髪に変わり、耳はツンと尖った形に変化した!そこには若くて美しい、1人のエルフの姿があった。
千紘たちはその姿を目にして、あわわわ……とただ呆然とシーナを眺めている。
あぁ……きっと千紘たちに嫌われる……
私はエルフとのハーフだって事を故意に隠していたのだから……
もっと早くに、自分から打ち明けておけば良かった……
そう考えると、シーナは急に心に冷たいものを感じ、瞳には大粒の涙が流れた。そして思わずその場に膝を落とす。もう駄目だ……まだ始まったばかり、いや、始まってすらいないのに……
すると、千紘がシーナの後ろにゆっくりと歩み寄り、ぽんぽんっと肩に手を置く。そして、いつになく優しい口調でシーナに語りかけた。
「どうしたの?目に涙なんか溜めちゃって。シーナらしくないよ。もしかして、私たちにエルフの事黙ってた事を気にしてるの?」
シーナは涙を拭いながら、おもむろに頷く。
千紘はそのシーナの姿を見て、ニコッと微笑み、
「なぁーに、そんな事私たちが気にする訳無いじゃん!そんな事で、シーナの事を嫌いになったりしないよっ!ただ突然の事だったから驚いちゃっただけ、ただそれだけだよっ!」
すると、ロゼもシーナに近寄り、
「そうですわ。私にとってシーナさんはかけがえの無い友人ですわ!気にする事なんてありませんわ!」
友穂も千紘たちの言葉を聴いて、うんうんと深く頷く。ヒナもそれを暖かく見守っていた。
みんな、私は隠していたのに……
こんなに暖かく接してくれるなんて……なんて良い人達なんだろう……
シーナはみんなの暖かさに触れて、いてもたってもいられなくなり、思わずロゼと千紘に抱きつく!
「みんなぁー、ありがとうっ‼︎」
シーナは再び目に涙をにじませながら、ありがとう、ありがとうと繰り返した。
「いっ痛いよぅ、シーナっ……」
と少し照れた様子で、千紘はシーナに応じていた。
突然訪れた第七小隊崩壊のピンチであったが、千紘たちの優しさによって全ては丸く収まった。また、シーナの心にずっとのし掛かっていた重しも、綺麗に取り払われたのであった。
「ふぅ、良かったぁ……」
と少し離れた所で終始見守っていた千早も、ほっと胸をなでおろす。
最悪な状態からのスタートだった第七小隊ではあったが、この一件によって6人の心は最初の一歩をを踏み出す事ができた。そして少しずつではあるが6人の間には「一体感」という感覚がうっすらと芽生えつつあった。
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