第15話 入科試験(2)
14話で2章を終わらせる予定だったのですが、15話まで延びてしまいました……
14話投稿時に新章と誤報をしてしまい、申し訳ありませんでしたm(_ _)m
16話こそは新章に入りますので、どうか宜しくお願い致しますm(_ _)m
「バサーッ‼︎」
教官2人がかりで、大きな紙を掲示板に貼る。
掲示板に広げられた合否に、新入生たちは目を釘付けにする。
シーナは息が詰まるような感覚に襲われ、心臓もドクドクと高鳴っていた。
「あったー‼︎やったよー‼︎」
「あれ…無いや…どこに配属されたんだろう…」
ワーキャーと一喜一憂する新入生たちで騒然とする掲示板の前。
神様お願いします、私の名前が書いてあって下さい‼︎ 私、どうしても飛行兵科に入りたいんですっ!
両手をパンッと合わせ、目をギュッと閉じて神様にお祈りをし、シーナはふーっと大きく深呼吸をして、自分の名前を探し始めた。
一番上から飛行兵科の名簿に自分の名前を探してゆく。
「違う……これも違う……」
シーナは心が何か冷たいものに取り憑かれるような感情に襲われる。
「絶対あるはず!絶対‼︎」
諦めずに下へ下へと名簿を注視し、名前を探す。
すると、シーナの願いが神様に届いたのか、飛行兵科の名簿の中盤のあたりに、高坂シーナの名前はあった。
「あっ、見つけた! やったよ千早、受かってるよっ‼︎」
「本当っ⁈良かったねシーナ! 私も受かってたよ。これからもっと頑張ろうね!」
シーナと千早は手をとりあって喜びを共有する。
良かった〜!これで飛行兵科の一年生だ!
シーナの緊張していた心は一気に解放された。
「シーナも千早も受かってたんだ!私も無事受かれて良かったわ!」
「友穂も!良かった〜!」
「そういえば、千紘は……⁇」
勉強会でも圧倒的に悲惨な状態だった千紘。シーナ達に再び不安がよぎる。
人混みの中を掻き分けて千紘を探す。やっとのことで千紘を見つけるが、そこには1人立ち尽くしている千紘の姿があった。
シーナたちが近づいてみると、目に涙を浮かべ、ただ呆然と掲示板を眺めている。
全てを理解したシーナたちは、そっと千紘の肩に手を置き、同情した。
千紘は他の学科になってしまったのかな……一週間一生懸命勉強してたけど、やっぱりあの状態からだと難しいよね……
シーナはみんなで一緒に飛行兵科に入科したいという思いが強かっただけに、大きく落胆した。
「千紘、残念だね……今度、学校近くの甘味屋に一緒に行こうよ、奢るからさ……私も、千紘とこれから一緒に過ごして、成長していきたかったよ。他の学科に行っても、私と千紘は友達だよっ!」
シーナの頬に一筋の涙が伝う。
すると、重く口を閉ざしていた千紘がゆっくりと口を開いた。
「……ってた……」
あまりにもか細い声だったので、シーナには聞き取れなかった。
「何?千紘?どうしたの……?」
すると、涙で顔を真っ赤にした千紘がガバッと顔を上げ、声を張り上げて、
「……だから、受かってたのっ‼︎‼︎飛行兵科に受かったの、私‼︎‼︎」
「「「えぇーーーーー‼︎」」」
3人は目を見開いて驚く。
正直、試験前のあの惨状では、、シーナは良くて五分五分、千紘は絶望的な状態だった。まさに、千紘の合格は奇跡的だったのだ!
「やったね‼︎千紘ー‼︎これからも宜しくね‼︎」
「おめでとう千紘‼︎頑張ろうね‼︎」
「うん!これからはちゃんと勉強して、立派な飛行兵を目指すよ‼︎」
涙を拭いながら、やっと笑顔を見せる千紘。
4人は肩を取り合い、涙を流しながら友の合格を喜びあった。
新入生たちが自分の学科を確認した頃、側に居た教官が拡声器を手に取り説明を始めた。
「えー、新入生の皆様、自分の学科は確認されましたでしょうか?皆様は3年間、その学科で勉学に励んで頂くことになります。学科を確認された学生より、各学科の校舎へと移動して下さい。」
ぞろぞろと新入生たちは移動を始め、揉みくちゃな状態だった掲示板の前も、一気に閑散としてゆく。
シーナ達4人も憧れの飛行兵科の校舎へと移動する。すっかり泣き止んだ千紘は上機嫌で、タタッと走って皆の前に行ったと思うと、
「さあっ!早くしないと置いてっちゃうよ‼︎急いでっ‼︎」
とスキップしながら先を行く。
「あらあら!あんなにはしゃいじゃって!あれは相当浮かれてるわね!」
とクスッと友穂は笑顔を見せた。
「まあ、あれだけ絶望的な状態からの合格だから、よっぽど嬉しかったんじゃないかな?」
シーナもクスッと笑う。
本当にみんなで合格出来てよかった!これから楽しい3年間が送れそうな予感っ‼︎
シーナも小さくスキップしながら、校舎へと向かった。
次回こそ新章に移行します!( ´ ▽ ` )ノ




