第12話 見学会(2)
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歩兵科の校舎前に着いた。隣に併設された柔道場からは、「うぉりゃぁ!」、「はぁー!」などと威勢の良い声が聞こえてくる。
あまりの威勢の良い声に、シーナは少し恐怖を覚えた。
校舎に入るのかと思ったが、校舎を抜けて裏手にある演習場に移動した。
そこでは、歩兵科の学生達が、模擬弾を用い、紅白戦を行っていた。演習場には精油場を模したセットが造られており、どうやら防衛側と制圧側に分かれて演習をおこなっているようだ。筋肉隆々の男子学生たちが、大きな銃器を持って攻防を繰り広げている。
「おい!後何人残っている!このまま南側を制圧出来そうか?」
「はっ!我が部隊は先程の正面攻撃にて多大な損害を受け、残りは12人程です!通信兵の山内もやられました‼︎他部隊との連絡が取れません‼︎」
「やむ終えまい。このまま突っ込むぞ‼︎皆、とつげ……」
最前線で指揮をとる上級生の近くに、砲弾を模した煙幕が炸裂する。
「しっ、小隊長ーっ‼︎」
「小隊長がやられた!我々だけでも施設内に進撃するぞ‼︎、突撃ー‼︎」
先頭の学生が日本刀を振りかざすと共に、後ろに控えた学生達が「うぉぉー」というけたたましい叫び声と共に精油場南側に進撃する。
施設内で陣を張っていた防衛側の学生達と、壮絶な攻防が繰り広げられた。
凄まじい情景を少し離れたところから見ていたシーナは、顔を青くしていた。
戦略科では、頭脳明快な学生達に圧巻され、この歩兵科では士気の高い学生達に圧倒された。
一体、この学校に私の居場所はあるのかな……私も1年後にはあの大きなお兄さん達の様に筋肉モリモリになっていたりして……
様々な想像が次々と浮かんできて、シーナは動揺した。皆はどうなのだろうと思い、シーナは左右をチラチラと確認する。
千早と友穂は呆気にとられてポカンとしているようだ。
千紘は相変わらずの能天気で、「行けー‼︎進めー‼︎」と楽しんでいる。
ロゼは演習の様子をじっと見つめ、何やら熱心にメモを取っているようだ。
千紘はともかく、ロゼの熱心さをみて、シーナは感心していた。
その後は歩兵科の教官による説明があり、その後、銃の試し撃ちを体験させて貰った。
「この銃は、古代の遺跡から発掘された資料から開発した最新鋭の銃だ!これからの学校のエースとなってもらう君達には、是非この銃を試して貰いたい!」
自慢気に教官が説明するこの銃は、「38式歩兵銃」と呼ばれるものらしい。
古代の遺跡の資料から再現したものらしく、既に量産化も決まっているらしい。
簡単な銃の扱いについた学んだ後、演習場内の射撃場で、数人毎に試し撃ちをしていく。50m先に用意された5つの的を、それぞれ撃ち抜く寸法だ。
最初の学生達が射撃をするが、的に当てられた者は居なかった。銃をこれまで持ったことのない学生達だから、当然といえば当然である。
父を陸軍にもつシーナは、それなりに自信があり、順番が回ってくるのをウキウキして待っていた。
ついにシーナに順番が回ってきた。シーナは自信を持って照尺を睨み、射撃する。
「パァーン、パァーン」という大きな破裂音と共に、凄まじい速度で鉄の塊は飛んでいく。内、2弾が的を貫いた。
シーナは鼻高々に隣で射撃していた千紘の方を向き、
「どうよっ!千紘!」
と話しかけ、ふん!と腕組みをする。
すると、千紘の射撃風景を見ていた学生達が、「おぉー!」と手を叩いている。一体どうしたのだろうと千紘の的を見ると、4発が命中していた!
「どうよ〜シ〜ナ〜!4発も当たったよ〜!」
と、とても嬉しそうに話している。シーナは先程の発言がとても惨めに感じ、隠れるところがあれば、隠れてしまいたかった。
ようやく精神が安定してきたところで辺りを見渡してみると、千紘のようにもう一人、学生達に囲まれている人がいた。
その人は、「坂崎 ヒナ」という学生で、拍手を送る学生達に、「ありがとう!」と微笑みながら返している。
的を見てみると、5発全てが命中しており、しかも、中心を射抜いていた。
凄い特技を持っている人もいるんだな〜。と最早部外者の様に感心するシーナだった。
その後も見学は続いた。騎兵科では馬に跨り高速で移動する上で、正確に射撃をする上級生に感心し、砲兵科では大口径火砲の威力に驚愕し、兵器設計科では様々な最新兵器の展示に心を奪われ、軍医科では高度な医療研究、訓練に感動し、本当に忙しく、充実していた。
「これで、男子学生の皆は今日の講義を終了とする。女子学生は、10分間の休憩の後、この場に再度集まるように!」
ここで男子学生は解散となり、女子学生が残された。
今日の最後にして最大の楽しみである、栄光の「飛行兵科」に向かうのである!
シーナ達女子学生のテンションは最高潮に達した!
〈イラスト:真香灯様〉




