第0話 -序章- 建国の息吹
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@shinkoku0
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-タッタッタッタッ-
2人の学生が、士官学校の長い廊下を駆け抜ける。
「シーナ‼︎ 早くしないと次の講義に遅れちゃうよっ‼︎ 急いでっ‼︎」
「いやいや、千紘が学食が閉まるギリギリまでお代わりしてるのがいけないんでしょ! どんだけ食べたら気が済むわけ⁇」
「だって、朝は寝坊して食べらなかったし……!」
シーナと千紘たちの普段通りの日常。このごくありふれた日常が日々送れるのも、先の戦争で敷島皇国が勝利を収めたからである。
圧政に苦しむ国民を救う為、若き勇士達が犠牲となって戦い、この美しき「敷島皇国」を建国したからである。
この物語の全ては、「敷島皇国」の建国から始まった。
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-コツ、コツ、コツ、コツ……-
軍靴が床を叩く音が、司令部に響く
「失礼します!」
「入れ……」
-ガチャ、バタン-
若い参謀らしき人物が、木造の酷く傷んだ司令部の寒風が吹き込む作戦室で、一人葉巻を吸う中年の男に、前線からの電報を伝えに来る。この中年の男こそが、後の敷島皇国初代皇帝となる朝香宮武雄である。
「各前線より、戦況の電報が届いております!」
「読め」
間髪入れずに参謀は手にした電報を読み上げる。
「はっ!、発、南方地域制圧隊隊長、岡田整一、宛、革命軍最高司令官、朝香宮武雄。我々南方地域制圧隊は、ヴィルト帝国の絶対守備線である天応ラインを、敵軍の猛攻の中進撃、本日早朝5時32分、ヴィルト帝国軍の南方地域最大の拠点、天応要塞を襲撃、奪取す。これにより、ヴィルト帝国軍は南方における拠点を完全に失い、我々革命軍の暫定領土から完全に撤退す。これにて、南方地域制圧任務を完遂とし、我が軍は南方地域守備隊と改変し、南方地域の守備に徹す」
武雄は咥えていた葉巻を灰皿に押し付け、嬉々として応答する。
「おぉ、遂にヴィルト帝国南方地域最大の大要塞である天応要塞も陥落したか、シューン島の戦況はどうなっておる?」
続けて参謀は次の電報を読み上げる。
「はっ!、発シューン島制圧隊隊長、フィーリッツ・アーノルド、宛、革命軍最高司令官、朝香宮 武雄。シューン島制圧隊は一昨日敵軍の総攻撃により一時後退を余儀無くされたが、昨日より攻勢に転ず。本日午後3時45分、敵軍をシューン島最北端のブリムストーン要塞にて包囲、現在戦況は膠着状態なり」
武雄は身を乗り出すようにし、
「アーノルドもやってくれたな! あともう少しだ! これで亡くなった同士たちの魂も報われるはずだ!」
参謀はその他の電報をパラパラと捲りながら、
「左様でございます! その他の制圧部隊も、各地で善戦を続けていると、電報が入っております。どの部隊も損害は軽微だという事です」
武雄は落ち着いた表情で、
「あとは、ヴィルトのツークフォーゲル枢密院議長と話をつけるだけだ」
数日後、ヴィルト帝国枢密院議長であるツークフォーゲルの軍使が来訪し、正式な降伏文書が武雄に手渡された。それは粉雪に反射した太陽の光が白銀に輝く寒い日の事だった。
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降伏文書
革命軍最高司令官
朝香宮 武雄
我々ヴィルト帝国は、革命軍に対し全面的な降伏をここに宣言する
降伏に際し、以前から貴方から要求を受けていた以下の点に受諾したものとする
・その所在地に関わらず我が軍隊全軍へ降伏布告。全司令官はこの布告に従う
・我が国の全軍隊は、一定の条件付きでヴィルト帝国降伏のために革命軍最高司令官が実施・発する命令・布告・その他指示に従う
非戦闘任務には引き続き服する
・ヴィルト帝国枢密院並びに軍は捕虜として抑留している革命軍将兵を即時解放し必要な給養を受けさせる
・ゼーレ大陸東方に位置する、天応から高雄までの地域(旧八洲国)、及び、シューン島(旧シューン王国)の領土の統治権を、革命軍に明け渡す
ヴィルト帝国枢密院議長
ツークフォーゲル・アルフレート
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こうして、ゼーレ大陸の東端に小さな国が誕生した。その名を敷島皇国という。
この物語は、この生まれたばかりの小国を命をかけて守る、乙女たちの物語である。
〈解説〉
・敷島皇国
旧八洲国と旧シューン王国の国民が、ヴィルト帝国で革命を起こし誕生した国。ゼーレ大陸の東端に位置する。北方、西方は海に面し、北はヴィルト帝国、西はヴルカーン公国、北東はパサート王国と接する。朝香宮武雄陛下が治める。
・旧八洲国
ヴィルト帝国に占領されるまで存在した人間の国。長い歴史を持ち、独特の文化がある。シューン王国とは犬猿の仲であった。
・旧シューン王国
旧八洲国と同じく、ヴィルト帝国に侵略され滅びた国。国民の殆どがエルフ族である。
・ヴィルト帝国
300年ほど前、強大な軍事力を背景に次々と小国を吸収し、大国となった国。ヴィルト帝国枢密院が国の全てを統括し、国民は枢密院の圧政に苦しんでいる。
・朝香宮武雄
ヴィルト帝国で先陣を切って革命を指揮し、革命軍を勝利へと導き、敷島皇国を建国する。朝香宮家は、旧八洲国の皇帝の血を継いでいる。
・フィーリッツ・アーノルド
武雄の指示の下、シューン島のヴィルト帝国軍と交戦し、見事勝利する。旧シューン王国の貴族の血を継ぐ。
・ツークフォーゲル・アルフレート
ヴィルト帝国枢密院議長で、事実上のヴィルト帝国の最高権力者である。冷徹な性格で、非常に頭の切れる知将でもある。国民からとても怖れられている。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
初めての執筆で、右も左も分からない様な状態でがむしゃらに完成させた序章でした!(笑)
今回は建国時の話で、主人公も登場しませんでしたが、次回からはちゃんと主人公が登場しますので、「かわいい娘いねえやん…」などと思わず、気長に待って頂ければ幸いです!
半人前にすら及ばない私ですが、是非皆様の評価を頂ければ幸いです!よろしくお願いしますm(_ _)m