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転性者が行く  作者: 金時
30/36

第30話 誰も来ないです

お店を開けてから3日。初めこそ少しではありましたがお客さんが来てくれていたのですが、ここ2日間全く来てくれないです。


「・・・おかしいです。」


「何がおかしいの?」


私の1人言にエルお姉ちゃんが質問を返してきます。あっ、私とエルお姉ちゃんは恋人同士になってからも今まで道理に仲睦(なかむつ)まじく過ごしているのです。すっごく幸せです。


「エルお姉ちゃんは疑問に思わないですか?最初こそ来てくれる人は少なかったですが、こちらに対する反応はとても良かったはずです。それが、2日前から全くお店に立ち寄ってくれなくなったです。もしかすると、誰かが妨害工作をしているのかもしれないです。」


「お店を開けたばかりなのだからそんなこともあるのではないかしら?」


「そうですよ、ルナさん。考えすぎだと思いますよ。」


私の懸念(けねん)にエルお姉ちゃんとリリスさんが否定の言葉を返してくれるのですが、私にはどうしてもそう思えてならないのです。・・・少し街を探ってみる必要があるかもしれませんね。


「・・・私、少し街を歩いて休憩してくるのです。その間、店番を2人にお願いしても大丈夫ですか?」


「ええ、ゆっくりしてきていいわよ。お店は私とリーゼでしておくわ。」


「行ってらっしゃい、ゆっくり休んできて欲しいんだよ。」


「はい、行ってくるのです。」


私は街の様子を調べる為、1人で街の広場に移動します。


「(・・・誰かに見られていますね。数は3人ですか。)」


家を出てから私の周りから観察しているような気配を感じます。まだ確証はありませんがこの人達が最近私達のお店に人を立ち寄らせなくした犯人だと思うのです。・・・半殺し確定です。ですが、この先に気になる気配が複数あります。どうやら路地裏で戦闘行為をしている人達がいるようです。


「(おそらく私を監視している人達の仲間だと思うのでが・・・一緒に捕まえて全員半殺しにしてあげるです。)」


ふふふ、直ぐに行きますから待っていなさい。



~Side ???~


バン!


「お父様!!」


「・・・セリカ、ドアをノックしなさいと何度言わせるんだい?それにドアを乱暴に開けては駄目だ。」


臨場感溢(りんじょうかん)れる絵画(かいが)、部屋の内装に良くあったアンティーク、センス良い高級感溢れる部屋に今2人の人間がいる。


「そんな些細(ささい)なことはどうでもいいです!!」


「些細なことって・・・」


お父様と呼ばれた男性が娘の答えに若干呆れています。貴族然とした生活を教え込んできたのだが、この娘だけは教育を間違ってしまったようだ。歩き方、話し方どれをとっても貴族らしくない。まだ育ちの良い街娘の方が通用するだろう。


「お父様、ここ最近私達の領土で犯罪行為が増加しているではないですか!それも私達の騎士が問題を起こしているという噂まで出てきています!いったいどういうことですか!?」


「・・・落ち着けセリカ、おそらく他の貴族達の思惑が働いているのだろう。以前暴力行為で捕らえた奴がいただろう、あいつは闇ギルドメンバーで依頼を受けて行動したと言っていた。今回のことも最近の犯罪・噂全てが私達を陥れようとする貴族達の策略なのだろう。」


「何をのんきな!そこまで分かっているのでしたら、何か対策でも講じてはどうですか!?このままでは私達の領土で暴動が起きるかもしれないのですよ!?それに貴族達が私達を潰そうと他に手を打っているかもしれません!早く対策をたてなくては!!」


「だから落ち着けと言っている。今対策を話し合っているところだろう。」


「ですが、このままでは。」


「大変なことになるのは分かっている。私もこの家を潰されたくはないのだ。もう少しで具体案がまとまるところまできている。もう少し待っていて欲しいのだ。」


「・・・わかりました、失礼いたします。」


ドアを出てから少し歩き、御付の騎士に話しかける。


「ルーク、ハイア街に出ます、付いてきなさい。」


「2人きりのデートだったら喜んで付いて行きますよお譲様。」


「何を言っている!お嬢様は俺とデートしたいに決まっている!!」


「・・・はぁ~。」


いつも道理の言い合いを始める2人。


「(何で私の騎士だけ不真面目な騎士ばかりなのよ!お兄様やお姉様には素晴らしい騎士が付いているのに!)」


この2人は仕事に不真面目で何かあるごとに女性を誘おうとする問題がある騎士達だ。お父様に聞けば態度は不真面目だが腕はたつとのこと。・・・本当かしら?未だ私の後ろで騒いでいる2人に今回街に行く目的を告げます。


「今私達の領土で何者かが悪さをしていることは2人も知っていることよね?今からそいつらを捕まえに行くわ!」


「(猪突猛進(ちょとつもうしん)なところはお嬢様の悪い癖だな)公爵様に許可はとったのか?戦闘になるかもしれないぞ。」


「私も闘うから大丈夫よ。それより早く何とかしないと街の人達も苦しい思いをしているのよ!貴族として領民を守る義務があるわ!」


セリカの言葉に真面目な顔になる2人。セリカの気持ちが伝わったようだ。セリカも真剣な眼差しで2人の騎士を見つめ返す。


「わかった。お嬢様に付いて行くよ。俺も街の皆が苦しんでいるのを放ってはおけない。


「そうだな、デートはまた今度誘うとしよう。」


「ありがとう2人とも。今、街の人達は騎士に敏感だから鎧は脱いで剣も隠せる服装がいいわね。私も着替えてくるから正門前に集合よ。」


「「了解」」


「(私が皆を守ってみせる!!)」

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