第24話 紹介するです
「ただいまです。」
汚い路地裏から空間転移でエルお姉ちゃん達の所へ戻って来ました。
「お帰りルナちゃん何も問題はなかった?」
「お帰りなんだよルナ。でも、契約精霊のあたしを置いて行くなんて酷いんだよ。」
リーゼのすねたような顔がとても可愛いです。
「ごめんです。でも、人に見られるわけにはいかないのでしょうがなかったのですよ。」
「もう、次からはあたしも一緒に連れて行くこと!勝手に1人で行くのはだめなんだよ。」
「で、どうだったのルナちゃん?」
「そうですね、問題といえば問題がありました。この人間の街は異種族に対してとても住みにくい街です。今日買ったこの3着のローブの家の家族が魔族だったのですが、突然外から攻撃をうけました。その理由がここ最近の魔獣増加の犯人にされたからです。何の証拠も無く魔族だからと言う理由だけで、です。」
「そんな、酷すぎるわ。」
私の話に2人とも悲しい表情をしています。
「はいです。話も全く聞いてもらえていませんでした。・・・この街は異種族にとても厳しいです。もしかしたら、私達も何の謂れも無い罪で犯人にされてしまう可能性があります。なので、人間の宿に住んで問題を抱えるより、同じ異種族の魔族の家に住んだ方が問題が起きないと思うのです。その魔族の人達はとても優しくて親切な方でしたから、部屋を借りられるようお願いしたのですが、それで良いですか?」
「ルナが問題ないと感じたのならそれで大丈夫なんだよ。」
「私もルナちゃんが言うなら信じられるわ」
2人とも賛成してくれました。私はこの2人の優しさにいつも甘えてしまいます。私もいつかこの2人に恩返しがしたいです。
「ありがとうです、2人とも。では、買ってきたこのローブを着てください。門を通るときに通行料金と種族確認をされるとの事なので、この街には不法侵入することに決めました。2人共抵抗があるかもしれませんが、ここで種族がばれて問題を起こしたくないので、お願いします。」
私の言葉にしっかりと頷いてくれます。
「それでは空間転移で街の中に入ります。準備は大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。」
「問題ないんだよ。」
私は2人の言葉に頷き3人を空間魔法で包み街の中に転移しました。
「ここがこの街の路地裏です。とても汚い場所なので直ぐに家まで行くです。」
3人白いローブを着た人が路地裏から現れたためか、周りからの注目を集めてしまいます。そんなことにはかまわず、私達は足早に目的のリリス達の家に向かいます。歩いている間街の至る所に落ちているゴミ屑に顔をしかめている2人。やはりこの街はこの世界に住む人たちにも汚いと感じられるほど、汚いのですね。暫く歩くと目的の洋服屋さんが見えてきました。
「あの家が今日から私達がお世話になる、洋服店のマロンです。中の人達はとても綺麗好きなようなので汚いと感じることはないと思うのです。」
私の言葉にホッとしている2人。この街を見ていたら心配にもなってしまいますよね。
「この家はリリスと言う魔族の女性と、その1人娘のリンディが住んでいます。先程も言いましたが、とても親切な方たちなので何も心配することは無いですよ。」
私を先頭にして壊れてしまっているドアを潜り、家の中に入りました。家の中ではリリスとリンディが壊れたドアを修繕しようと材料と、工具を準備しているところでした。
準備の途中で私達に気づき、挨拶をしてきます。
「いらっしゃいませ。この洋服店の店長リリスです。こちらが娘のリンディです。」
「よ、よろしくお願いします。」
リリスの紹介で頭を下げるリンディ。
「もう、ルナさんからこの家の事については説明してあるのかしら?」
「はいです。大まかに話をしてあるので大丈夫です。これから3人よろしくお願いします。」
「よろしくおねがいします。私はエルネスです。」
「あたしはベアトリーゼ、よろしくなんだよ。」
「こちらこそ、よろしくお願い致します。この家は私達魔族が住んでいる為、住人から酷い扱いを受けることがありますが、どうか、我慢をしていただくようよろしくお願い致します。」
「頭を上げてください。そんなことをしてくる輩には、2度とそんな気が起こらないようにしてみせるです。ですから、何も心配しなくても大丈夫ですよ。」
「ありがとうございますルナさん。それから、エルネスさんもベアトリーゼさんもこれからよろしくお願いします。」
「こちらこそ」「よろしくなんだよ」