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プロローグ

 

 この世界アルメトロには、人間、悪魔、精霊の3種族が存在する。

 北大陸ローデリアには悪魔、南大陸ネルヴァには精霊、西大陸リヴァインには人間がそれぞれ暮らしている。

 彼らは何百年もの間、互いのテリトリーを守り生活をしてきた。

 しかし10年前、新たに魔王となったラザロスは、ひどく人間を嫌った。


 そして、ついにラザロスは人間との戦争を開始する。


 だが、人間と悪魔の戦力差は歴然であった。魔力・腕力、全てにおいて悪魔の方が上回っていることは、周知のこと。

 争いを始めて半年が経った頃、悪魔の戦力に人間が適うはずも無く、彼らは窮地に陥った。

 しかし、人間は諦めなかった。彼らは、ずっと傍観側に徹していた精霊に協力を求める。

 精霊は人間との協定を承諾。戦争に参加することとなった。悪魔の勝利と思われた戦いは、精霊の参戦により、人間・精霊側が徐々に押して行くこととなる。そして、悪魔はこれ以上の戦いは困難と考え、撤退。一年に渡って繰り広げられた戦争は、こうして幕を閉じる。しかし、これで争いが終わったわけではなかった。悪魔たちはその後も、小規模ではあるが争いを仕掛けてきた。魔王ラザロスはまだ何かを企んでいると踏んだ人間と精霊は、いつか来る第二の大規模戦争に勝利するため、悪魔に対抗できる戦士を育成していくことに専念した。

 

 こうして誕生したのが戦士養成所、シュヴァリエ学園である。

 そこでは多くの人間と精霊が、日々厳しい訓練と任務に奮闘している。


 ――――そして…その中には悪魔混じりの者も、少数存在していた。



  ◇◇ ◇◇



 草木が生い茂る、鬱葱とした森の中を、青い制服らしきものを着た青年が駆け抜ける。

「はあッ…はあッ…はあッ」

 青年は走る。体が悲鳴を上げても、走り続ける。止まってはいけない。逃げ続けないと…でないと……殺される。

 道を妨げる草や枝を必死に掻き分けながら、森を突き進む。もうすぐ、もうすぐ森を抜ける。後、少し…。

 光が見えてきた。暖かな日の光に近づくにつれ、やや安堵した表情に変わる青年を、何かが突然茂みの中に引きずり込む。

「――――!!」

 いきなりの事に、驚き暴れようとする青年を、同じ服を着た青年が抑え込む。

「しッ…。落ち着け、俺だ」

 青年は、仲間の登場に目を見開く。

「お前…無事だったのか。後の二人は?」

 青年の問いに、もう一人の青年は小さく、首を横に振った。

「――くそッ…」

 どうしようもない怒りと、恐怖が青年の中に渦巻く。…ここにいても、助からない。

「早く、ここから逃げよう――――」

 立ち上がり、光の射す方を見た青年の腕を、もう一人が掴む。

「…ダメだ。あいつ等、先回りしてる…森を抜ければ確実に殺される」

「……」

 青年は言葉を失った。もう、森の中も外も逃げ場が無い。

 ここまで、なのか…。

 青年が、生きることを諦めかけたその時、背後の茂みからガサガサと音がした。それは、棲まじい速さで近づいてくる。

 もう、見つかったのか…。

 

 二人は死の覚悟をした。もうすぐ、目の前の暗闇から悪魔がやって来る。俺たちを殺しに。

 

 ――ガサ、ガサガサッ


 青年たちは、喉を鳴らして唾を飲み込む。

 

 ――ドサッ!


「!?」

 確かに、悪魔はやって来た。しかし、悪魔は茂みから出てきた直後、こと切れてしまった。

「な、何が起こって…」

 気付けば、あちらこちらから悲鳴が聞こえてくる。全く状況が読めない二人は酷く混乱した。しかし、今がチャンスである。

「…今のうちに逃げよう」

 二人は頷き合い、光の射す方へ駆け抜ける。森を抜け、久しぶりの日の光は、痛いほど目に染みた。

 視界には、開けた草原が広がっていた。

「……」

 二人は、驚きのあまり何も話すことができなかった。別に、草原に驚いたわけではない。二人が驚かずにいられなかったのは、草原を赤く染めるほどの血…そして、その血の持ち主の死体。

 ザッと見ただけでも十数体は転がっていた。

 青年たちは息を飲む。彼らの視線は、屍畑の中心に佇む者に釘付けだった。全身を焦げ茶色のマントでスッポリと包み込み、フードを目深に被っていて顔は見えない。

 マントを身に纏う「彼」は、青年二人に視線を向けた。二人は、まるで蛇に睨まれた蛙のように全く体が動かない。いや、動かせない。マントの彼の、この世の者とは思えないほど強大な魔力を感じ、恐怖で体が動かせないのだ。彼は、青年たちの存在を確認し、抑揚のない声で話す。

「人間か―――」

 彼は、それだけ言うと踵を返して深い森の中へと去ってしまった。完全に姿が見えなくなったことを確認してから、二人はやっと言葉が出るようになった。

「…助かった、のか?」

「とりあえず…な」

「何だったんだ?あのマントの男は―――」

「さあ、だがあれが人間でないことは確かだ」

「でも、不思議だ。あれは悪魔でもない。銀髪だった…黒じゃなく、銀―――」

「今はよそう。俺達は生きている」

 青年はもう一人の青年に微笑んだ。彼も、微笑み返す。

「ああ、生きている…」

 疑問は多くあるが、そんなもの今はどうでもよかった。俺達は生きている。

 生きていることが、こんなにも嬉しく思う事なんて、初めてだった。


 

  ◇◇ ◇◇



 ここはウォーレ島。リヴァインとネルヴァの間にある島だ。

 この島には、人間と精霊が同じ位の比率で住んでいる。そして多くの若者はこの島唯一の学園、シュヴァリエ学園へ通い、そこで将来有能な戦士となる為に勉学と訓練に励んでいる。


 

 青年は島で一番活気のあふれる商店街を歩いていた。サファイアブルーの瞳、左目尻に泣き黒子、銀色の髪。

 街で彼を見かけた人々は皆揃ってこう思っただろう。


 ――美青年、…と。


 青年は街を歩きながらしゃべっていた。

 …黒猫と。


 黒猫は青年の肩に器用に乗っている。そして、青年と話していた。ちゃんとした言葉で…。

 もちろん周りの者には気づかれずに、だが。


「本当に学園へ入るつもりか?」

 黒猫が青年に訊ねる。

「本当にそのつもりだけど?」

 青年は笑顔で答えた。青年の言葉に、黒猫は渋い顔をする。

「旅を止め、学園に入ってどうするつもりだ?お前の目的はそこで果たせるのか?何よりそこに入ったら、お前の正体がバレるかもしれないんだぞ」

 青年は微笑した。

「俺の目的は今よりずっと果たしやすくなると思うよ。学園と俺の目的はほぼ同じはずだからね。正体は…まあ、バレるだろうね、いつかは…。でも俺と同じような存在が何人かいるみたいだし。なんとかなるよ」


 黒猫は嘆息した。

「まあいい、俺はお前の従者だ。何処でだろうと守って見せる」

 青年は柔らかく笑い、黒猫に「ありがとう」と言った。

 そして、今度は冷笑を浮かべて言う。

「目的のために利用できるものは利用しなくちゃね。レヴァン、君もそう思うだろ?」

 青年、ユリウス・オルセンは目の前にそびえる学園を見据えた。


 彼らは会話を終え、シュヴァリエ学園へ向かって歩き出す。



初心者の書いた作品ですので、まともな文章ではないですが読み続けてくださればとても嬉しいです。

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