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【完結】穏やかな午後の、魔法のジャム作り  作者: あめとおと


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鉄面の執事と、輝く魔法市(まほういち)


1. 嵐の予感:鉄面の執事、来襲


お祭りの準備で活気づくエマさんの家に、黒塗りの馬車が止まりました。


降りてきたのは、一分の隙もない礼装に身を包んだセバス。


「セシリア様、お迎えに上がりました。……なお、その薄汚れたエプロンを今すぐ脱ぎ捨てていただければ、本日のことは『悪い夢』として処理いたしますが?」


凍りつく空気。しかし、そこにアル君が焼きたての「精霊の気まぐれパイ」を差し出します。


「おじさん、お疲れ? これ、今焼けたばっかりなんだ。食べて!」


「……私は『おじさん』ではありません。公爵家執事のセ……」


言い切る前に、アル君がパイを口に押し込みました。サクッ、と良い音が響きます。


セバスの眼鏡が、キラリと光りました。


「…………。……このパイ、生地の層の重なりが完璧です。火の精霊の加熱温度、小麦の選定、そしてこの隠し味のベリー……。エマ殿とお見受けします。レシピの……いえ、私を雇っていただけませんか?」


「帰りなさいよ!」というセシリアの叫びも虚しく、セバスは「カイル様の護衛、およびセシリア様の監視」という名目で、速攻でエマさんの助手(戦力外からの超戦力)に収まりました。



2. お祭りの開幕:四人の出店


町の広場では、年に一度の「星降る魔法祭」が始まりました。


四人はエマさんの指導のもと、屋台を出すことに。


• カイル: 騎士の体力を活かし、ひたすら生地をこね、重い樽を運ぶ。町娘たちの視線を釘付けにするが、本人はパンの焼き加減に必死。


• セシリア: 「わたくしの美的センスを見せつけますわ!」と、魔法でパンに金粉を振りかけようとするのを、カイルが全力で止める。


• アル: 呼び込み担当。小さな風の精霊を呼んで、焼きたての香りを広場中に振りまく。


• セバス: 執事のスキルを無駄に使い、行列を1秒の狂いもなくさばき、お釣りを超高速で手渡す。



3. クライマックス:魔法のお菓子対決


お祭りの目玉は、その年の一番美味しい魔法食を決めるコンテスト。

アルとセシリアは、それぞれ「究極の一品」で挑みます。


アルは、「空飛ぶ綿菓子」。


風の精霊と仲良く踊りながら、ふわふわと空中に浮かぶ、食べると体が少しだけ軽くなる不思議なお菓子。子供たちが大喜びで空を仰ぎます。


対するセシリアは、「宝石のコンポート」。


魔法で冷やした果実を、セバスが完璧な手際でカットし、氷の精霊がキラキラと輝くダイヤモンドダストを散らす、見た目も鮮やかな一皿。


「勝負ですわ、アル!」


「負けないよ、お姉さん!」


二人が火花を散らす横で、エマさんとカイルは、売れ残りの小さなパンを分け合って食べていました。


「賑やかになったわねぇ」


「ええ……。疲れに来たはずなのに、なんだか、一番忙しい休日になりました」


そう言いながらも、カイルの顔には、かつての戦場では決して見せなかった、心からの笑みが浮かんでいました。



祭りのあと


お祭りが終わり、夜空に魔法の花火が上がる中、セバスはセシリアにそっと耳打ちしました。


「お嬢様。王都へは『カイル様の心の傷は深く、長期の経過観察が必要』と報告しておきます。……あのパイのレシピを盗み……いえ、習得するまでは」


こうして、エマさんの家にはもう一人、「有能すぎる掃除・調理・会計係」が加わったのでした。



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