弟子(?)のアル君と、ふくらむパン
ある日の台所にて
エマさんのキッチンで、アル君は真剣な顔でボウルと向き合っています。
今日の課題は、「火の精霊をなだめて、パン生地をちょうどよく発酵させること」。
「いいかい、アル。火の精霊はね、構いすぎるとすぐ熱くなっちゃうの。優しく、日向ぼっこをしている時の気分で魔法をかけるんだよ」
エマさんの助言を聞いて、アル君は指先を生地に向けます。
「えっと……日向ぼっこ、日向ぼっこ……。【ポカポカの術】!」
シュンッ!という音と共に、ボウルから温かな光が溢れました。
するとどうでしょう。
パン生地はみるみるうちに膨らみ……膨らみ続け……ボウルを乗り越え、アル君の顔をすっぽりと覆い隠してしまいました。
「わわっ、真っ白で何も見えない! エマさん、助けてー!」
ふかふかの生地に埋もれてバタバタするアル君を見て、エマさんは思わず吹き出してしまいます。
「ふふふ! 随分と元気なパンになりそうね。でも大丈夫、これだけ膨らめば、今日の夕食は町で一番ふわふわなパンが焼けるわよ」
その後の日常
• 失敗もご馳走: 膨らみすぎた生地を二人でちぎって、色んな形のパンを作ります。
• 精霊との仲直り: アル君が「ごめんね」と謝ると、火の精霊もパチパチと薪を鳴らして、ちょうどいい温度でオーブンを温めてくれました。
• 夕暮れの食卓: 焼き上がったパンに、昨日作った「ルビーベリーのジャム」をたっぷり塗って。失敗したはずのパンは、驚くほど軽くて甘い味がしました。




