ホラー短編『かわり』
こんにちは、有馬です
初投稿は短編ホラーにしようと思ってました。
拙い文ですが読んでいただければと思います
あの日、1人のクラスメイトが死んだ
屋上から飛び降りたらしい
学校では「いじめが原因」と問題になって俺が停学扱いだとさ、少しビビらせたり、叩いたりしただけなのに、だから俺は悪くない。
そうだ、少し驚かしただけ、勝手に消えただけ、だからわたしは悪くない…
停学が明けて久しぶりの学校生活、いらないやつはもうこの世にいない。ただ、靴箱にあのクラスメイトの名前が残ってる。
死んだやつの名前なんて、もう消せばいいに。
そう思いながら、久しぶりの学校生活で疲れてしまったのかその日は帰るなりすぐ睡魔に襲われた。
その夜、夢を見た。
長い廊下の奥に人影が立っていた。
暗すぎて顔はわからない。制服の裾が濡れていて、黒い染みが床に広がっていく。
耳にざわめきが残った。
風の音のような、雑音のような……言葉にはならない。
目が覚めると、背中が冷たい汗で濡れていた。
次の夜も夢を見た。
同じ廊下。同じ影。
少し近くなっていた。濡れた布から水滴が落ち、床に音を立てる。
耳の奥で、今度はかすれた声がした。
「……か……っ……」
かろうじて音が言葉の形を持ちかけていた。
喉が焼けつくように乾いて目を覚ました。
また夢を見た。
場所は教室に変わっていた。
窓の外は真っ暗で、灯りひとつなかった。
死んだクラスメイトが机を拭きながら泣いていた。
その前に立って笑っているのは僕自身だった。
冷たい笑み。嫌悪するはずの顔が、自分のものだった。
耳の奥で、声が重なった。
「……だ…かって……」
「……だわっ…て……」
意味がはっきりしないのに、言いたいことは伝わってくる。
「代わって」と。
胸に重しを載せられたように息が詰まった。
別の夜、夢の中で奴が目の前に立っていた。
暗闇の中、濡れた髪が頬に触れる。冷たい匂いがした。
赤く濁った瞳で笑いながら、耳元で囁いた。
──代わって。
低く湿った声。何人もの声が重なり合っていた気がした。
冷たい手が胸に触れた瞬間、心臓が凍りついた。
逃げようとしたが、身体は石のように動かなかった。
そしてある晩。
夢は最初から真っ暗だった。
どこにも光はなく、声だけが響いていた。
──代わって……代わって……代わって……
「代われッッ!!」
囁きにも叫びにも聞こえる。何十もの声が重なり、鼓膜を内側から破ろうとする。
耳をふさいでも無駄だった。声は頭の中から直接響いていた。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
(おれは…おれは…彼女を自殺させてしまったんだ…おれが全部悪かった…だから…)
目を開けると、天井が見えた。
いつもの部屋、いつもの朝。
鏡に映った顔も、確かにいつものままだった。
けれど胸の奥から、誰かが静かに笑っている。
──代わったんだね。
……わたしは。
読んでいただきありがとうございます。
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