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遠くて近い、記憶の路  作者: レンジ
序章 始まりの旅
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5話 堕飛鳥

「…ネガイ…ホコラ」


願いの祠のことか?

洞窟が崩壊しても姿を変えずにいるところを見ると結界が張られてるんだろう。


「紫苑!コイツは?」

「妖怪…それもかなり強い」


え…

これが?

すごくドロドロしてて今すぐ溶けてしまいそうなんですけど…


「本当に…これ強いのか?」

「…見た目で判断したでしょ。良い?この山は一応霊山。それ自体に結界が存在するの。それを突破できたってことは…」


まじかよ…

こんなにキモいのに強いとか…


「龍俊!下がってて」

「!あぁ、わかった」


何でだろう、こういう時紫苑に任せたら良いって全身から伝わってくる。


紫苑は袖をいじりながら光る扇を取り出す。


「良い?よく見ててね。アンタにも()()ができるんだから!」


紫苑は最高の笑みを浮かべながら鳥の方に走り出す。

鳥も紫苑の方へ一直線…じゃなくて俺の方に来てね?


「なあ…これって…」

「龍俊!絶ッッッ対に動かないでね」


紫苑はそう叫ぶとそのまま俺に向かって扇を広げる。


「”光刃(こうじん)”!」


は…

俺の頬を光と風の刃がかすめていく。

刃はそのまま鳥の方に飛んでいき直撃する。ついでに髪の毛も少し散る。


「おい!お前…」

「アンタは黙ってて!」


そのまま光のつむじ風を起こすと鳥に直撃させる。それでもまだ平然としてる鳥…強すぎだろ。

それよりも問題なのは…


「アンタ邪魔なの!」

「コイツが俺のことばっか狙うんだよ」


この鳥、どう考えても俺のことばっか狙ってるよな?

流石にこれ以上逃げてたらそろそろ紫苑のが当たって…

今俺、髪あるよな?


念の為頭を触ってみる。

大丈夫、まだある。

そうホッとしたのもつかの間、今度はちょっと上を鳥の気泡がかすめる。

もうこれ…いじめだろ


…!

さっき避けた気泡が紫苑の方に飛んでいく。


―ドクンッ―


これって…

刀を握ってみると淡い光がまた溢れている。


さっき言ってたよな?

俺にも()()、できるって。


「紫苑!」

「何?…って何考えてんの!?」


多分、紫苑なら自分でなんとかできる…それでも。

後で紫苑に殴られても良い…それでいいから!


―紫苑を守る―


「”慈霊之霞”!」


そのまま気泡を斬りつける。


―!重い…

でも…


「”光刃の舞”」

「―グギャァァァァァッァ」


光をまとった風と霞に包まれていく鳥。

その光で一瞬何も見えなくなって、次に目を開いたときには心臓を貫かれた鳥が転がっていた。


「…終わった?っイタ!」

「やんじゃん…バカ」


コイツ…俺がいなかったら倒せて…たんだろうな、紫苑だし。


「龍俊、さっきの…」

「俺もあんまりわからないけど…あれが紫苑の使ってた力なんだよな?」

「うん。あれが()()()()()アンタの体は、ちゃんと覚えていてくれたんだ」


今の紫苑、嬉しそうだな。

紫苑が嬉しそうなのはちょっと、嬉しいな。


「えっと…それでさっきの鳥は?」

「ああ、多分堕飛鳥(だひちょう)。死んだ鳥に妖怪が取り付いたんだと思う。ただ…」

「どうしたんだ?」


紫苑の顔が若干曇る。

コイツがこんな顔するなんてよっぽどのことなんだろうな。


「ただ、堕飛鳥はそんなに強くない。少なくとも、こんなに苦戦したことはなかったし結界を敗れるほどの力はないはず」

「じゃあ…」

「多分、何かがコイツの力を強くした」


紫苑は面倒くさそうに鳥に淡い光を乗せる。

鳥はその光りに包まれて消えていく。

…多分、成仏したんだと思う。


「…これもなんとかしないとね、一応私、巫女だし」

「…ハハッ」

「何笑ってんの?」


だって、なんやかんや言ってお人好しだななんて、言ったらまた拳骨飛んでくるだろうか絶対言わない。


「じゃあ、俺も頑張るよ」

「当たり前でしょ?多分、アンタがまいた種だし」


確かに、コイツはずっと俺のことを追ってた。

きっとコイツが強くなったのとも関係があるんだろう。

でも、なんとかできると思う。


俺にはこの刀と、


「ほら、もう帰るよ」

「あぁ、わかった」


面倒くさがりで短期で、でも頼りがいがあってお人好しなこいつがいるから。

バトル系初めてかきました…

楽しんでいただけてたら幸いですm(_ _)m

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