2話 紫苑
まだバトルとかはありません…
楽しみにしてくださったら嬉しいですm(_ _)m
「なあ…おいっ…聞いてんのか!」
「いちいちうるさいの!!ったくこっちも暇じゃないんだから…」
駄目だ。
この女、何言っても全然聞く気ない。これじゃ一生…
「お前、一生結婚できないぞ」
「はぁぁぁぁっ?」
あれ?
もしかしてかなりの地雷踏んだ?
さっきまでひょうひょうとした態度を取っていたのに、今度は額に血管を浮かせてキレてる。
「私はねぇぇっ、巫女なの!みーこ!!だから結婚なんてしなくていいの!ったく…私だって街にいれば…」
「そっ…そうだよ!どこまで登らせるつもりだよ!!こんな山の奥…」
来たときと同じ山を登らされてるんだけど、今度はどこに連れてかれるんだ?
「これからは登りたくないんだったら、せいぜいアンタの親父さんに頼むことね。私だって好きでこんな山奥…」
またぶつくさと文句を言う紫苑の後ろを今は大人しくついていくことしかできないと悟ってしょうがなくトロトロ歩く。
それからしばらく歩いて、これ以上歩いたら足が棒になるんじゃないかと思ったときにやっと社が見えてきた。
「…ボロいなぁ」
「なんか言った?」
「いや…」
やっぱりこの女ヤベェな
国一番の問題児として一家の恥な俺にこんなでかい態度するやつはいなかった。
家では呪われた子って嫌われるし、外に一歩でも出ようとしたら絶対嫌がられるし…
だからこっちの方が気が楽ってのもあるけど、これはちょっと…
さっさと中に入ると、意外に造りがしっかりしていて、白鳳家と変わらないくらいには整理されている。
「改めて、私は紫苑。アンタと一年間過ごしてたんだけど…覚えてないのはそこだけ?」
「…知ってると思うけど俺は龍俊。親父に捨てられて何処かに連れて行かれるってとこまでは覚えてる」
「捨てられて…ねぇ」
紫苑は馬鹿馬鹿しそうにあくびをするとポリポリ頭を掻く。
「一応聞くけど、アンタ願いの祠に何願ったの?」
「願いの祠?何だそれ」
「あんたはその祠のとこに倒れてたの。それで目が冷めた頃には何も覚えていなかった。あの祠になにか願ったんじゃないかって思ったんだけど…」
俺が…?
「本当に俺が?」
「じゃなきゃここにいないでしょ」
「…確かに」
紫苑によると、俺が倒れていた願いの祠はこの山の山頂にあるらしくて、その祠に願いを捧げたら代償と引き換えにそれを叶えてくれるらしい。
「でもそれだって怪しいもんよ。あの祠がまだ神器としての役割を果たしていたら良いけど…」
「神器って?」
紫苑は心底面倒くさそうに、でも丁寧に答えてくれる。
「アンタだって時々妖怪が人に迷惑をかけるの聞いたことあるでしょ?それは神が妖怪にやられたせいで歯止めをかける要素がなくなったから私達にまで迷惑をかけるようになったの。で、あの祠は神が人間界においた依代みたいなもの。私達は神器って呼んでるけど、もう妖怪に汚染されてるかもしれないからね。現にアンタは自分の願いを覚えていないわけだし」
なるほど…
俺はパチモンに願掛けしたせいで記憶をなくしたかもしれないってことか…
「それで…俺はどうしたら記憶を取り戻せるんだ?」
「そんなにいる?その記憶」
「は?」
紫苑は真剣な瞳で俺の目を見てる。
それはまるで、俺にどれほどの覚悟があるのか試すようだった。
夏休みの宿題がたっぷりなため、いつかは更新が止まるかもしれません。
いや、絶対止まります!
どうか忘れず楽しみにしててくださいm(_ _)m