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4話 リベラナ


「逃げる気か!」


俺たちは一斉にマックスを追いかけた。


だがその時何処からか虫のような羽音が聴こえてきた。


見上げると頭上に2匹のモンスターが飛んでいた。


頭蓋骨のような頭部に肋骨のような縞模様の腹部。


体長4〜50cmほどの蜂のモンスター、ドクロバチだった。


「これは、ドクロバチだよ」


すると1匹のドクロバチが針をこちらに向けた。


そしてキャルティ目掛けて迫ってくる。


キャルティは横に飛び退いて回避した。


するともう1匹のドクロバチも俺に向かって襲いかかってきた。


俺はそれをロングソードで迎撃しようとした。


しかしドクロバチはそれをヒラリとかわし俺の背後に回り込んだ。


すると背中に痛みが走った。


「つっ!」


どうやら背中を刺されてしまったようだ。


するとそのドクロバチをライズがナイフで一刀両断にした。


体が二つになったドクロバチは地面を転がり脚をジタバタと動かしている。


そしてもう1匹のドクロバチにキャルティがファイアフォースを食らわせた。


敵を一掃し再びマックスを追いかけようとしたその時、俺の体に異変が起こった。


手足が痺れだし目眩がしてくる。


立つこともできなくなり四つん這いになった。


「おい、どうした?」


そしてついに地面に倒れこんでしまった。


「どうやら刺されたようね」


あのドクロバチというモンスターは攻撃力はたいしたことないが針で刺した者を一定時間麻痺させる能力を持っている。


先程背中を刺されたせいで麻痺状態になってしまったようだ。


「くそ、ジェイクが動けるようになるまで待つしかないか」


俺の麻痺が治るまでライズとキャルティはその場で待ち続けた。


そして10分ほどが経過するとようやく俺は立てるようになってきた。


「キャルティ。マックスの現在地は?」


「ダメね。500m以上離れちゃったみたい」


「くそ」


サーチの射程外に逃げられてしまってはもう居場所を感知することはできない。


折角3対1という状況を作ったというのにあのドクロバチのせいでチャンスを逃してしまった。


「これからどうするの? ジェイク」


「取り敢えず近くの町まで行って休もう。3人とも魔力も体力も尽きかけてるしな」


「そうだな」


俺たちはひとまず3kmほど離れた所にあるリベラナという町に行くことにした。






マックスはザーリックとレジーナと合流してことの経緯を話した。


「なんだと! それじゃライズもキャルティも洗脳されたってのか!?」


「ああ。どうするよザーリック」


「どうするもなにも仲間を取り返すしかないだろう。ブレインウォッシュってのは確か3秒間頭に触れれば解けるはずだ。難しいことじゃない」


「けどよ、奴らの居場所はどうやって……」


「エルンの能力に頼るしかないね」


と、レジーナが提案した。


「ああそうだな。コネクトを使って呼び寄せよう」


ザーリックはコネクトの指輪というアイテムを持っている。


この指輪を装備している者は魔法のコネクトを使うことができる。


そしてコネクトとは離れた場所にいる者と会話することができる魔法である。


ザーリックは仲間のエルンにコネクトを使った。


「エルン、聴こえるか」


「聴こえますよザーリック。例のお宝は手に入ったんですか?」


「それなんだが、緊急事態が発生した。」


「緊急事態?」


「詳しくは後で話すが兎に角お前の力が必要だ。グラッドと一緒に直ぐに来てくれ。リベラナの町で落ち合おう」


「なにがあったのか知りませんけど、分かりました。直ぐにそっちに向かいます。リベラナですね」


「ああ頼むぞ」





俺たちはリベラナに到着すると郊外にある一軒家の前に来た。


ドアをノックすると中年の男がでてきた。


「どちらさまですか?」


するとライズがその男を羽交い締めにした。


「な、なにをする!」


そして動けなくなったところで俺が3秒間頭に触れる。


するとその男の瞳が赤くなり抵抗するのをやめた。


「お前の家を一晩使わせてもらう。いいな」


「え? あ……は、はい。どうぞご自由に」


そして俺たちはその家にズカズカと上がりくつろいだ。


宿屋を利用すれば奴らに見つかる可能性が高い。そのためこのような民家を利用することにした。


「ちょっと狭くない? それになんか臭うし」


と、キャルティが不満を垂らす。


「取り敢えず今晩はここで過ごして魔力が回復するのを待とう」


魔力というのは体力と同じように安静にしていれば少しずつ回復するしていく。

もし完全に使い切った状態からだと約12時間経てば全回復する。


「それにしてもヒューマンコンパスを持ってるとは厄介だな」


ライズ達から聞いた話によると奴らの中にヒューマンコンパスという魔法を使える者がいるらしい。


ヒューマンコンパスとは頭に思い浮かべた人間がどの方角にいるのか知ることができる感知魔法だ。

ただし効果がある範囲は半径5kmまでである。


「だが今は別行動をとってるんだよな?」


「ああ、もしザーリックが呼び寄せたとしてもまる一日くらいはかかるんじゃないか」


「だから今のうちに射程外に逃げちゃえばいいんじゃないかな」


「俺もそう思う。今のこのパーティじゃ奴らには勝つ確率は低いだろうし」


ライズの見立てによると今のこの3人と向こうの3人の戦力は分が悪いらしい。


「いや、俺は逃げない。これ程強い戦士を仲間にできるチャンスはそうない。まともに戦って分が悪いならなにか作戦をたてよう」







ザーリックたちはリベラナに到着すると宿屋に泊まった。


「エルン達と合流すればこちらは5人になりますます形勢は有利になる。それは向こうも分かってるはずだ。だから十中八九奴らは直ぐにこの町を離れるだろう」


と、ザーリックは現在の状況を整理する。


「じゃあどうするの? エルン達がくるまでじっと待ってるの?」


「いや、まだ奴らがこの町に留まる可能性もある。だがら手分けして探し出すんだ。もし見つけたら俺のコネクトで連絡しあおう」






そしてザーリックたちは翌朝3人で手分けして捜索を開始した。


マックスは目立たないよう昨日服屋で買った安物のコートを着て注意深く見ながら町を練り歩く。


だが正午近くなっても見つけることができずにいた。


するとザーリックがコネクトで話しかけてきた。


「どうだ? マックス」


「だめだ。見つかんねえよ」


「そうか」


と、必要最小限のことだけ伝えてコネクトを解除した。


「ちくしょう。やっぱりこの町を離れて逃げたのか?」


と、マックスは苛立った様子で壁にもたれかかり水筒の水を飲んだ。


するとその時、標的の3人の姿が目に飛び込んできた。


「いやがった!」


マックスは直ぐに建物の陰に隠れた。


そして町の地図を見ながら現在地を確認する。


そして気づかれないよう慎重に尾行していく。


「もう逃がさねえぞ」


とマックスは鼻息を荒くした。


直ぐにでもザーリックと連絡を取りたいところだがコネクトはザーリックの方からしか使うことはできない。


マックスはザーリックが再びコネクトを使ってくるのをやきもきしながら待ち続けた。


すると3人が角を曲がった。


マックスは小走りしてその角で壁に背をつける。


そして角の向こうに顔を出して3人の後ろ姿を確認する。

















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