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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第二部 ルルーシオ王国編

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街並み

 初回講習が終わった後、受付をした広場に戻る。

 また、あの女の人に絡まれないかビクビクしていたが、広場にはもうバネッサが待っていて、あの人には会う事もなく会場を後にした。

 私の顔色があまり良くなかったのか、バネッサに心配されたが、ちょっと疲れただけと、誤魔化した。


 会場出て、バネッサの案内で市街方面の扉に向かう。

 様々な建物を移動したが、ここは全て入国管理局の敷地内で、周りを見渡すと、敷地内は城門の壁と同じくらいの高さの塀がぐるりと囲んでいるようだ。

 この敷地を抜けて漸くトライア地区に入れる。

 期待と不安が入り混じりながら、今までとは違う大きな扉にあるゲートにサティカを翳して抜けると、そこは大通りだった。


「おおー!!」


 思わず声が出てしまった。

 まず、めちゃめちゃ人が多い。帰宅時間なのかもしれないが行き交う人が多く活気がある。

 人だけでなく、馬車や、車の様な形の魔道車も行き来できる道路の広さは圧巻だ。道路は石畳? 煉瓦のような物が敷き詰められていて、整備されている。

 区画整備もされているのか、前面の道路だけでなく、どの道もとにかく広い。

 大きな馬車が対面通行でき、その両端を人々が余裕で行き来出来る広さだ。車道と歩道は、煉瓦の色で分けられていて、その幅にも余裕がある。


 近代的だなと思いながらもチグハグな部分がある。

 まずは家だ。何というか規則性がない。煉瓦造りの家があるかと思えば、アーレン王国の様な機能性重視ののっぺりした建物もある。かと思えば、精密で繊細なアートのように大きな石から削り取った彫刻のような家もある。かと思えば茅葺き屋根もあり……。なんでもありな感じだ。

 匂いもなんだか色んな匂いが混ざっていて何とも統一性がない。うん。なんでもありだ。

 人も人間だけでなく、多分獣人さんや小人さん? ドワーフさんの様なひともいる。色んな人が種族を超えて話している姿が目についた。

 多様な服装をした人々は皆楽しそうで活気があり、こっちまで元気を貰えそう。私は感嘆の声の後、色々処理が追いつかなくて固まっているとバネッサさんに更に心配された。


「大丈夫?」

「あっ……すみません。なんか凄いなーと思って……」

「まぁ最初は驚くよね? けどこれが毎日だから、いやでもなれるわ! 疲れたでしょう? とりあえずこれから住む家に案内するわね。

 申し訳ないけれど、ここからはちょっと遠いの。もう少し頑張ってね」

「いえ!!大丈夫です! ただびっくりしてるだけなので」

「まぁ今日は雰囲気だけ見てもらって、後日ゆっくり見ましょうね?」


 バネッサはそう言って、歩道を歩き出す。

 大きな交差点では信号もある。初期講習を終えて改めて思ったのは、前世と似通っているところがたくさんあるという事だ。勿論前世には魔道具なんてなかったし、獣人さん達もいなかった。けれどこの地区は前世の日本の記憶がある人が使っているようにしか思えなかった。


 道路沿いにある店の美味しい匂いに興味をひかれるが、まずは生活基盤だ。

 これからお世話になるのは共同住宅の様なところで、寮母さんが主に食事を作ってくれるが、輪番制で食事の準備のお手伝いをするらしい。細かい生活習慣も違うだろう。まだまだ私は覚えないといけない事があるので、落ち着いたら来ようと思う。

 大通りの喧騒を過ぎると、意外に人通りはまばらになっていく。緩やかな坂を登ると一際大きい広場に出た。

 真ん中には噴水があり、それを囲むようにベンチが備え付けられている。その奥にはホログラムが映し出されていた。

 ホログラムの手前には、胸の高さまである塀があり、下を覗くと崖で、その奥は海だった。ホログラムはどうやら宙に浮かんでいるようだ。

 周りに投影機は見当たらない。すごい技術だな。どうやっているのだろう? 魔法? と思っていると、ホログラムに映し出された人が振り返る。


 そのホログラムを見つけた時から、なんとなく予想はしていたが、振り返った事で更に確信した。


 バネッサが髪色を変えた理由が分かった。



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