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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第二部 ルルーシオ王国編

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食堂

 コンコンとノックの音がする。

 時間を見ると正午前だった。

 楽しい時間はあっという間だ。

 私が返事をすると、扉が開き、バネッサが入ってきた。


「フィリア?

 もうちょっとでお昼の時間。初期講習は午後イチからだし、早めにお昼ご飯食べちゃいましょう!

 ここの食堂中々おいしいのよ? これから住む家は、ここからちょっと遠いんだけど、用事で立ち寄る時は昼はここなんだぁ!

 案内するね?」


「はい。ありがとうございます」


 お昼だと言われたらお腹が空いてきた。現金なやつである。

 書庫室を出て、ダンさんに書庫のお礼を言い、そのまま退出した。

 バネッサに連れられて、クネクネ移動する。

 うん。バネッサがいないと道に迷うなと思いつつ、少ししたら食欲をそそる匂いがしてきた。


 一度建物から出て、アーケードを通る。アーケードに沿って芝生と簡易のベンチがたくさん置かれていて、遠くにはテーブルと椅子がセットで置かれている。上にパラソルがついている所まであった。多分、外で食べることも出来るのだろうと思いつつ、アーケードを抜けると大きな二階建ての建物が見えてきた。

 無駄を一切省いたかのような四角い建物は、窓と換気口はあるがそれだけだ。

 それに、目の前に扉のようなものはあるが、真ん中で切れ目があるだけで、取っ手がない。不思議に思っていると、バネッサさんは扉の両側にあった腰の高さまである四角柱に、住民パスを近づける。

 ピッと言う音と共に扉が開く。


「こんな感じで勝手に開く扉をこちらではオートドアって言うんだけど、大体がサティカが必要なの。

 だからこんな風に近づけたらいいからね。許可されてないエリアならブーってなるからすぐ分かるわ。ブーってなっても扉が開かないだけで何もないなら安心してね?」


 めちゃくちゃ先進的だなと思いつつ、私も恐る恐るサティカを近づける。ピッと音が鳴り、入室を許されたようだ。

 これはどんな仕組みなんだろうか? と興味をそそられるが、とりあえず腹ごしらえだ。バネッサに続いて入室した。


 中に入ると更に美味しそうな匂いが充満している。

 左手は規則正しく白いテーブルと長椅子が並んでいて、右手側が五つほどのブースに別れている。その上の看板にはメニューがのっていた。

 正面には色とりどりの食事が並べられている。どうやら正面のブースはバイキング形式らしい。


「今日は何にしよっか??

 気になる食べ物とかある?」


 バネッサが聞いてきたので私は迷わず答えた。


「和食に興味があります!!」


 こちらでも、和食と言うのかはわからなかったが、バネッサさんには通じたらしい。


「なるほどなるほど!

 あっちのブースにラーメンやうどんもあるんだけれど、それは家でも作れるから、今日はバイキングで、少量ずつとってどの味が好きか確認しましょう? 和食ブースはあっちね」


 バイキングのブースもいくつかに別れていて、洋食や中華っぽい食べ物がブース毎に分かれているようだ。

 バイキングブースの1番奥が和食ブースらしく、そちらで色々選ぶことにした。


 和食ブースだけでも何十種類も並んでいて心踊る。

 煮物や漬物、汁物に、だし巻き卵、魚の塩焼きから味付けのりまである。

 ほー!! こちらの世界に来てから初めての和食である。

 嬉しくてウキウキしながら、備え付けの取り皿に盛り付けていった。


 空いている席にバネッサと対面で座り、いただきますの挨拶をしてから食べ始める。和食もあるためか箸も常備されていた。


 久々の和食……美味であったのは言うまでも無かった。


 パリッとした海苔にご飯……それだけで何杯もいける。

 シンプルな豆腐とわかめの味噌汁はほっこりした。

 だし巻き卵……バイキングだと甘めの卵焼きが多いが、ここはダシのきかせた甘さ控えめだった。私が好きな味。

 筑前煮のレンコンはシャキシャキして歯応えがあり、醤油の香りが鼻をくすぐる。懐かしさのあまり、思わず笑みが溢れた。


 お腹が空いたのもあって、一心不乱に食べていた。


 落ち着いた時に、バネッサが慈愛の目で見ていたことに気恥ずかしくなった。


 すっすみません。だって美味しいんだもん。

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